#お役立ちコラム
E57ファイルとは|中身と開き方、LASとの違いと変換の注意

E57ファイルは、レーザースキャナなどで計測した点群を、機器やソフトの違いを越えて受け渡すためのファイルです。
この記事では、E57の中身、構造化スキャンと統合済み点群の違い、LASとの違い、開く方法、変換で落ちる情報、受け渡し時の確認項目を順に整理します。
執筆: bestat 編集部
E57ファイルとは
E57ファイルは、レーザースキャナなどの3Dイメージングシステムが作る点群・画像・メタデータを、メーカーに依存せず保存・交換するためのファイル形式です。仕様は、国際的な標準化団体ASTMの規格ASTM E2807で定められています。
規格の参照実装を公開するlibE57.orgは、E57を「コンパクトでベンダー中立な形式」と説明しています。特定メーカーの機器やソフトに縛られず、会社をまたいで計測結果を渡すために設計された、という意味です。Rhinoの日本語ヘルプも、同じ内容を「コンパクトなメーカー独立の形式」と表現しています。
ここでいう点群は、物の表面を多数の点で表したデータです。E57はその点群に、計測時の状況を示すメタデータと画像を添えて1つのファイルにまとめます。点群そのものの性質や取得方法は点群データとはで整理しています。
E57ファイルに入っているもの
E57には、点の座標のほかに、スキャンごとの位置と姿勢、撮影した画像、色や反射強度をまとめて格納できます。どこまで実際に含まれるかはファイルごとに違うため、受け取ったら中身を確認します。
格納できるもの | 内容 | 確認しておくこと |
|---|---|---|
点の座標 | 直交(XYZ)・円筒(CYL)・球面(RAE)のいずれかで表す | どの表し方かによって、読めるソフトが変わる |
色・反射強度 | RGBの色と、レーザーの戻りの強さ | 記録されているかはファイルによる |
スキャン位置と姿勢 | スキャナ原点の位置と向き(Pose) | 統合済みの点群では残らない |
画像 | パノラマ画像やカメラ画像と、その投影モデル | ピンホール・球面・円筒のどれで投影したか |
行と列の番号 | 構造化スキャンの格子上の位置 | 無効点を含むかどうか |
メーカー独自の項目 | 拡張として追加された情報 | 読む側が拡張に対応しているか |
座標の表し方と画像の投影モデルは、libE57の座標系の説明にまとまっています。拡張は、規格本体にない項目をメーカーが足すための仕組みです。libE57.orgは、法線(E57_EXT_surface_normals)や地形分類(E57_LEICA_Terrain_Classification)を定義済みの例として挙げています。
ヘッダ・XML・バイナリに分かれている
E57は、ファイル先頭のヘッダ、メタデータを書いたXML、点や画像の実体を収めたバイナリの部分に分かれます。libE57.orgのFAQによると、点データと画像はバイナリ部分に置かれ、センサーの姿勢などのメタデータはXMLに書かれます。バイナリはXMLの中へ埋め込まれず、別の場所に置かれてXMLから参照されます。
この構造のおかげで、XMLの部分だけを取り出せば、点を全部読み込まなくてもスキャン数や座標の範囲を確認できます。libE57.orgは、XMLを抜き出すツール(e57xmldump)とE2807への適合を検証するツール(validate57)をTest Dataページで配布しています。
座標はスキャナ座標系とPoseで決まる
点は、まずスキャナのメーカーが定める座標系で記録され、Poseと呼ばれる位置と向きの情報によってファイル内の世界座標へ変換されます。libE57の説明では、この世界座標系は右手系でZ軸が上を向き、長さはメートル、角度はラジアンで表します。
ここでの世界座標は、あくまでファイル内部の基準です。公共座標系に合わせてあるかどうかは書き出した側の設定によるため、地図や図面と重ねる予定があるなら、基準点の情報とあわせて確認します。載せ替えの手順は点群 座標変換で扱っています。
構造化スキャンと統合済み点群の違い
構造化スキャンは、スキャンごとに分けたまま、スキャン位置と行・列の格子を残したデータです。統合済み(非構造化)点群は、複数のスキャンを1つにまとめたもので、どの点がどのスキャンから来たかは残りません。進める向きは構造化から統合への一方向で、統合したE57からスキャン単位へ戻すことはできません。
比較項目 | 構造化スキャン | 統合済み(非構造化)点群 |
|---|---|---|
スキャンの区別 | スキャン単位で分かれる | 1つの点群にまとまる |
スキャン位置と姿勢 | Poseとして残る | 残らない |
行・列の格子 | 残る | 残らない |
パノラマとしての表示 | できる | できない |
位置合わせのやり直し | できる | できない |
無効点 | 格子を保つために含むことがある | 通常は含まない |
Autodesk ReCapのヘルプは、構造化スキャンデータが必要な作業として、位置合わせ、測量点の追加、点群のメッシュ化、パノラマ表示、クラウドでの共有を挙げています。統合したあとで同じ作業が必要になっても、元の構造化データが手元になければやり直せません。
無効点は、スキャナがその方向で反射を受け取れなかった点です。libE57.orgのTest Dataには、無効点を残した構造化スキャンと、無効点を取り除いたファイルの両方が置かれています。取り除くと容量は小さくなる一方、格子は歯抜けになります。
E57とLAS・LAZの違い
E57はASTMが定めた汎用の交換形式で、LASはASPRS(米国写真測量・リモートセンシング学会)が航空レーザ測量のために作った形式です。E57は点ごとに持たせる項目と、それを表すビット数を選べます。LASはレコード形式ごとに項目が決まっています。
比較項目 | E57 | LAS・LAZ |
|---|---|---|
策定した団体 | ASTM(規格 E2807) | ASPRS |
主な出どころ | 航空レーザ測量 | |
点の属性 | 項目とビット数を選べる | |
座標の表し方 | 直交・円筒・球面 | 直交 |
行・列の格子 | 持てる | 持たない |
画像 | 同じファイルへ格納できる | 格納しない |
誤り検出 | — | |
圧縮 | 可逆圧縮は任意で、書き手が使うかを決める | 点データを可逆圧縮したものがLAZ |
大きさの上限 | 約18エクサバイト(1.8×10の19乗バイト) | レコード数が約42億 |
主な違いは、libE57.orgのFAQにあるE57とLASの比較に沿って整理しました。同FAQは、LASが航空計測の必要に合わせて設計されており、地上型スキャナのデータにも使えるものの、当てはまらない項目を無視して使うことになる、と述べています。
使い分けは、残したい情報で決まります。スキャンごとの位置や撮影画像を一緒に渡すならE57、地表面や植生といった分類やリターン情報を生かすならLASが候補です。点群以外も含めた形式全体の見取り図は、3Dデータ 拡張子一覧にまとめています。
E57ファイルを開く方法
E57を開く道筋は3つあります。E57に対応した点群ソフトで直接開くか、専用ソフトで取り込んでからCADへ渡すか、別の形式へ変換してから開くかです。無料のGISソフトのように、E57に対応していないものもあります。
道筋 | 例 | 注意点 |
|---|---|---|
対応ソフトで直接開く | Rhino 8はE57インポートのプラグインを備え、CloudCompareはE57入出力のプラグインを同梱する | 同じ製品名でも、版や構成によって使えないことがある |
専用ソフトで取り込む | Autodesk ReCapがE57を読み込み、RCS・RCPとして保存する | AutoCADにアタッチできるのはRCSとRCPで、.e57 は直接アタッチできない |
別の形式へ変換する | PDALなどでLAS・LAZやテキスト形式へ書き出す | 変換先が持てない情報は引き継がれない |
対応していない例 | QGISが扱う点群はEPTとLAS・LAZ | いったん別形式へ変換してから読み込む |
ReCapは書き出しでもE57を選べます。ただし構造化E57での書き出しは、プロジェクト内で行った削除や切り取りを反映しない、全データの書き出しになると明記されています。書き出したファイルを再び渡す前に、消したはずの範囲が残っていないかを確認します。
開けないときに確かめること
症状 | 確かめること |
|---|---|
読み込みの形式一覧にE57が出ない | 使っている版・エディションがE57に対応しているか。対応していなければ変換して読む |
読み込みが途中で止まる、エラーになる | 転送が最後まで終わっているか、CRC32のチェックサムに異常がないか |
開けるが動作が重い、強制終了する | 点数に対するメモリとGPU。スキャン単位に分けて読み込む |
点が表示されない、位置がおかしい | 球面座標や無効点への対応、Poseの読み方 |
原因がソフト側かファイル側かは、別の対応ソフトで同じファイルを開いてみると切り分けられます。どちらでも開けないならファイルを疑い、片方だけで開けるならソフトの対応範囲を疑います。読み込みに必要な端末側の条件は、点群処理 パソコンスペックで整理しています。
変換すると何が落ちるか
変換先の形式が持てない情報は引き継がれません。スキャンの区別、撮影した画像、行と列の格子、球面座標の点群、無効点の区別が代表例です。
変換で起きること | 根拠・理由 | 影響 |
|---|---|---|
複数スキャンが1つになる | PDALのE57リーダーは、1ファイル内の複数の点群をまとめて1つとして読む | スキャン単位での確認や位置合わせのやり直しができない |
一部の属性が消える | すべての点群に共通する項目だけを読む | 一部のスキャンにしかない色や強度が残らない |
球面座標の点群を読めない | 球面形式で保存された点群には対応していない | 直交座標で書き出し直す必要がある |
無効点の区別が変わる | cartesianInvalidState を Omit へ割り当てる | 絞り込みをしないと無効点が混ざる |
画像が付いてこない | LAS・LAZ、PLY、XYZは画像を格納しない | パノラマ画像や写真との対応が失われる |
E57からLAZへ変換するツールが、出力を「非構造化のLAZ」と明記している例もあります(e57-to-laz)。メーカー独自の拡張も、読み込む側が対応していなければ引き継がれません。変換したあとは、点数、座標の範囲、必要な属性が残っているかを確認してから次の工程へ渡します。
受け取るとき・渡すときの確認項目
E57を受け取ったら、構造化かどうか、座標の基準、単位、画像の有無、ファイルの分け方の5つを先に確認します。渡す側になったときも、この5つを書き添えると、受け取った相手が自分の環境で扱えるかを判断できます。
確認項目 | 何を見る・何を聞く | これで決まること |
|---|---|---|
構造化か統合済みか | スキャンごとに分かれているか、Poseと行・列があるか | 位置合わせのやり直しやパノラマ表示ができるか |
座標の基準 | ファイル内の世界座標が何を原点にしているか、公共座標に合わせてあるか | 図面や他の点群と重なるか |
単位 | メートルとラジアンのまま書き出されているか | 寸法や角度をそのまま読めるか |
画像の有無 | パノラマ画像やカメラ画像を含むか | 現場の見た目を後から確認できるか |
ファイルの分け方 | 1ファイルか、スキャン単位で分かれているか | 読み込みの手順と必要な容量 |
公共工事の成果として渡す場合は、発注者の要領で指定された形式も確認します。国土交通省の「3次元計測技術を用いた出来形管理要領(案)令和8年3月版」は、計測点群データの電子成果品として「CSV、LandXML、LAS 等のポイントファイル」を挙げています。この文書にE57の記載はありません。計測時や受け渡しにE57を使う場合でも、納品形式は別に確かめる必要があります。
よくある質問
E57ファイルのサンプルはどこで手に入りますか
libE57.orgのTest Dataページで、E57の例が種類ごとに公開されています。直交座標だけのもの、色と反射強度を含むもの、球面座標のもの、行と列を持つ構造化スキャン、複数スキャンを含むものが分かれて置かれています。
無効点を残したファイルと取り除いたファイルが両方あるため、手元のソフトがどちらをどう読むかを比べられます。同じページには、XMLを抜き出すツールとE2807への適合を検証するツールも置かれています。
E57ファイルが壊れていないかを確かめられますか
確かめられます。E57は、ファイルを区切って誤り検出符号を持たせる設計です。libE57.orgが公開する要求仕様の文書(2009年7月版)には、誤り検出符号の計算は任意ではないと書かれています。1か所の破損でファイル全体が読めなくなることを避ける狙いがあります。
実際の検証には、CRC32のチェックサムをすべて検証するツールが使えます。E57のRust実装には、内容を評価する前に壊れたファイルを見つけるための e57-check-crc が付属しています。
まとめ
E57は、点群・画像・メタデータをメーカーに依存せず交換するための形式で、ASTM E2807で規定されています。点の座標だけでなく、スキャンごとの位置と姿勢、撮影した画像まで同じファイルへ格納できる点が、航空計測向けに作られたLASとの主な違いです。
同じ .e57 でも、スキャン単位の情報を保った構造化スキャンと、1つにまとめた統合済み点群とでは、後からできることが変わります。統合したデータからスキャン単位へは戻せないため、元のファイルは残しておきます。
受け取ったE57は、構造化かどうか、座標の基準、単位、画像の有無、ファイルの分け方を確認してから次の工程へ渡します。別の形式へ変換する場合は、変換先が持てない情報を先に把握しておきます。
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