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点群データ軽量化|重くなる原因と間引き・圧縮・分割の選び方

点群データの軽量化には、間引き、圧縮、分割、メッシュ化といった性質の違う操作が含まれます。どれを使っても容量は減りますが、点が消えるのか、展開すれば元へ戻るのかが違うため、選び方によっては測れないデータだけが手元に残ります。
この記事では、容量が増える原因を点の数・1点あたりの情報量・重複・保存形式に切り分けたうえで、4つの手段が何を残して何を失うのか、用途からどこまで軽くしてよいかを整理します。
執筆: bestat 編集部
点群データが重くなる原因
点群の容量は、点の数と1点あたりの情報量の掛け算でほぼ決まります。ここへ、重ねて計測した範囲の重複と、保存形式の効率が上乗せされます。
原因 | 確認するところ | 主に効く手段 |
|---|---|---|
点の数 | 計測密度の設定、計測した範囲、スキャンの回数 | 間引き、切り出し |
1点あたりの情報量 | 色、反射強度、分類、時刻などの属性 | 使わない属性を外す、形式の変更 |
重複 | 重ねて計測した範囲、合成後の点密度の偏り | 重複部分の間引き |
保存形式 | 拡張子、テキストかバイナリか、圧縮の有無 | 圧縮形式への変換 |
1点あたりの情報量は、形式の仕様として決まっています。OGCのLAS 1.4仕様では、ポイントデータレコード形式0が1点あたり20バイトを占め、形式1はここへGPS時刻の8バイトを、形式2は色の3チャンネル(各2バイト)を加えます。形式6から10では基本部分が30バイトになります。1点あたり8バイトの差でも、1億点あれば800MBの差です。
重複は、同じ面を複数の位置から計測したときに生じます。重なった範囲には同じ面の点が何重にも入るため、合成後の点密度が場所によって大きく偏っている場合は、密度の設定より先に重複を疑います。
保存形式でも差が出ます。座標を文字列として書くテキスト形式(.xyzや.csvなど)は、同じ点数でも固定長のバイナリ形式より容量が増えます。
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軽量化の手段は4つに分かれる
軽量化と呼ばれる操作は、点を減らす、圧縮する、分けて配る、持ち方を変える、の4つに分かれます。分けて考える理由は、元へ戻せるかどうかが手段ごとに違うからです。
点を減らす(間引き・切り出し):点そのものが消え、元へは戻りません
圧縮する(LAZなどへの変換):展開すれば同じ点と属性が戻ります
分けて配る(分割・タイル化・LOD):原データは残り、一度に読む量だけが減ります
持ち方を変える(メッシュ化):点の集まりが面に置き換わり、1点ごとの値は残りません

「開けない」という症状に直結するのは、開いたときにメモリへ載る点数を減らす手段です。圧縮と分割は保管や受け渡しの容量に効きますが、展開したあとの点数そのものは変わりません。
間引きと切り出しで点を減らす
容量への効きが最も大きく、元へは戻せない手段です。間引きは残す点を選ぶ操作なので、選ばれた点の座標は動きません。
無償の点群処理ソフトCloudCompareの公式Wikiは、間引き後の点群を入力点群の部分集合と説明し、元の点は移動しないため、スカラー場、色、法線といった特徴が保たれるとしています(Edit\Subsample)。同ツールの間引きには、点数を指定する方法、割合を指定する方法、最小の点間隔を指定する方法、オクツリーを使う方法があります。
したがって、間引きで下がるのは1点ごとの位置精度ではなく、点の密度です。密度が下がると、細かい凹凸や細い部材のように、もともと点が数個しか当たっていない形状から順に表現できなくなります。
割合を指定する方法は、密な場所も粗い場所も同じ比率で減らすため、点が少ない面をさらに薄くします。最小の点間隔を指定する方法なら、残る点の間隔を用途から決められます。
切り出し(クリッピング)は、判断に使う範囲だけを残す操作です。範囲外の点は戻らないため、原データを別に保管したうえで、配布用の複製に対して行います。
公共測量の規定も、減らす方向だけを認めています。国土地理院「地上レーザ測量システムを用いた三次元点群合成マニュアル」第43条は、計測点の選定を次のように定めています。
計測点は、要求仕様及び計測条件を損なわないように間引くことができるものとする。 内挿処理による点群データの細密化は、行ってはならない。
同条の運用基準は、計測距離の短いもの、入射角の大きなものを優先して残すとしています。これは公共測量の作業規定であり、民間の設備計測に義務として適用されるものではありません。ただし、要求仕様を先に決めてその範囲で減らすこと、足りなくなった密度を計算では埋めないことは、用途を問わず共通します。
外れ値や写り込みを消すノイズ除去でも点は減りますが、目的が容量ではなく品質のため、残すか消すかの判断は別に立てます。
圧縮で情報を保ったまま小さくする
LAZはLASを可逆圧縮した形式で、展開すれば同じ点と属性が戻ります。容量は減り、点の数も座標も変わりません。
OGCのコミュニティ標準「LAZ 1.4」(文書番号24-070r1、2026年6月30日公開)は、LAZがLASファイルを可逆圧縮(lossless compression)で圧縮する形式だと定義しています。LASのヘッダなどの構造はそのままで、点データブロックだけが圧縮されます。点データはチャンクという単位に分けて格納され、任意の1点を読むときは、その点が含まれるチャンクだけを展開すれば済みます。LAS 1.4のポイントデータレコード形式6から10では、チャンクをさらに層に分け、必要なフィールドだけを展開できます。
圧縮が効くのは、保管する容量と、受け渡しにかかる時間です。開いたときにメモリへ載るのは展開後のデータなので、LAZへ変換しても「開くと重い」は変わりません。ここを取り違えると、変換したのに症状が改善しないという結果になります。
渡す前には、相手のソフトがLAZを読めるかを確認します。読めない場合は、LASのまま渡すか、相手が開ける形式へ変換します。
▶ 関連記事: 3Dデータ 拡張子一覧|メッシュ・ソリッド・点群の違いと選び方
分割・タイル化・LODで配る
一度に読む量を減らす手段です。分割は範囲や対象でファイルを分け、タイル化とLODは見ている位置に応じて粗さを切り替えます。
分割の基準は3通りあります。
範囲で分ける:一定の大きさの区画に切る。区画の境界と、重ねる幅の扱いを先に決めておく
対象で分ける:地表、建物、設備、植生など、分類ごとにファイルを分ける
用途で分ける:現地確認用の粗い版と、計測用の原データを別に持つ
LOD(Level of Detail、3Dデータの詳細度)は、見る距離や重要度に応じて表現の細かさを切り替える考え方です。OGCの標準「3D Tiles 1.1」(文書番号22-025r4)は、写真測量の成果、3D建物、BIM/CAD、点群といった大容量の3D地理空間コンテンツを配信・描画するために設計された仕様です。階層構造と、描画できる内容を届けるタイル形式の集合を定義しており、タイル形式には点群(Point Cloud)が含まれます。
同仕様では、タイルは階層的詳細度(Hierarchical Level of Detail)を組み込んだ木構造に並びます。各タイルには、簡略化した表現が元の形状に対して持つ誤差がメートル単位で付きます。閲覧側はこの誤差を画面上の許容誤差と比べ、そのタイルで足りるか、より細かい子タイルへ切り替えるかを実行時に判断します。遠くを見ているときは粗いタイル、近づいたときだけ細かいタイルが読み込まれる仕組みです。

タイル化とLODの利点は、原データを残したまま端末が読む量を制御できることです。間引きと違い、細かく見たい場所では元の密度に戻れます。その代わり、タイルを作る処理と、タイルを配信して読み込む仕組みが要ります。
クラウドで共有する前に決めること
共有の手段より先に決めるのは、誰が何をするかです。次の4つが決まると、原データの共有、軽量版の配布、閲覧の仕組みのどれが要るかが分かれます。
見る人の数と範囲(外部の関係者を含むか)
見るだけか、寸法を測るか
ダウンロードを許すか、閲覧だけにするか
原データの保管場所と、配布した軽量版との対応
寸法を測る予定があるなら、軽量版でも測った値の根拠が残る形にします。見るだけなら、端末側の要件が軽い形式を選べます。
メッシュに変えて持ち方を変える
点の集まりを三角形の面へ置き換えると、表示に必要なデータは大きく減ります。その代わり、1点ごとの計測値は残りません。
メッシュ化では、点と点の間に面が張られます。画面上は連続した形に見えますが、埋まった部分は測った値ではなく、面の張り方によって決まります。反射強度や分類のように点が持っていた属性も、そのままでは引き継がれません。

向く用途と向かない用途は次のように分かれます。
向く:形と配置を見せる、干渉や搬入経路を検討する、専用ソフトを持たない相手へ渡す
向かない:1点ごとの座標や属性を使う解析、原データとしての保管、あとから密度を戻したい場合
▶ 関連記事: 点群メッシュ化の手順|変換の流れ・面の調整・メッシュサイズの決め方
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どこまで軽くしてよいかは用途で決まる
必要な点密度は、見るのか、測るのか、設計や解析へ渡すのかで変わります。先に用途と必要な密度を決め、その範囲で減らす量を決めます。

国土地理院のマニュアルは、成果品ごとに要求点密度を定めています。グラウンドデータ、グリッドデータ、等高線データでは、1点/0.1㎡から1点/0.01㎡(10点/㎡から100点/㎡)が標準です。数値地形図データを作る場合は、地図情報レベル250(表現の細かさを示す区分)で地形が1点/0.11㎡(9点/㎡)、地物が1点/6.25cm²(1600点/㎡)とされています。同じ現場でも、何を作るかと何を写すかで必要な密度は大きく変わります。同マニュアル第44条は、要求点密度を満たさない場合に追加計測と再合成を求めています。
用途 | 判断すること | 必要な密度の決め方 | 選びやすい手段 |
|---|---|---|---|
形と配置を見る | レイアウト、干渉、進捗の確認 | 見て判断する形状が残る密度 | メッシュ化、LOD、粗い間引き版 |
現況を測る | 寸法、離隔、変位、偏差 | 測りたい最小の形状に点が複数当たる間隔 | 最小の点間隔を決めた間引き、範囲の切り出し |
設計・解析へ渡す | CAD化、シミュレーション、設計との比較 | 受け取り側の要求仕様に合わせる | 原データを保持し、配布版だけ軽くする |
前提として、原データは軽量化の前に保管します。間引きと切り出しは元へ戻せないため、軽量版は配布用の複製として作り、どの原データから作ったかが分かる名前を付けます。
軽くしても解決しないとき
データ側の手を尽くしても改善しない場合は、症状の出方から切り分けます。原因は、開く環境、渡す形式、取得時点のデータのいずれかに移ります。
症状 | 疑うところ | 次の手 |
|---|---|---|
LAZへ変換したが開くと重い | 展開後の点数は変わらない | 間引き、切り出し、分割へ移る |
軽量版は開くが回転や拡大が引っかかる | 表示側の性能 | 端末の構成を確認する |
自分は開けるが相手が開けない | 形式とソフトの対応 | 相手が読める形式へ変換する |
軽くしたら測れなくなった | 用途に対して減らしすぎ | 原データから必要な密度で作り直す |
軽くしても見たい面が写っていない | 取得時点で点が無い | 追加計測を検討する |
表示側を疑う場合は、CPU、メモリ、GPU・VRAMのどれが上限に達しているかで対処が変わります。判断の順序は点群処理 パソコンスペック|CPU・メモリ・GPUの選び方で整理しています。
見たい面が写っていない場合だけは、データ側の操作では埋まりません。計測時に見えていなかった面や、機器から遠く点が薄い場所は、間引きや圧縮を行う前から情報が無い状態です。取得段階で決まる範囲は点群データ デメリット6選|失敗を防ぐ対策と導入判断のポイントにまとめています。
よくある質問
LASとLAZは何が違いますか。
LASは点群を機器やソフトの間で受け渡すためのオープンな形式で、LAZはそのLASを可逆圧縮した形式です。OGCはどちらもコミュニティ標準として公開しています。LAZはLASのヘッダ構造を保ったまま点データブロックだけを圧縮し、既定の拡張子はlazです。中身の意味は変わらないため、展開すれば同じ点と属性が得られます。
無料のソフトでも軽量化はできますか。
できます。LAZの圧縮を担うLASzipは、2011年にオープンソースとして公開されています(OGC「LAZ 1.4 Community Standard」)。間引きも無償のCloudCompareに実装されており、点数の指定、割合の指定、最小の点間隔の指定、オクツリーの4方式を選べます。ただし、開いて処理できるデータ量は使う端末の性能に左右されます。
まとめ
点群データの容量は、点の数と1点あたりの情報量でほぼ決まり、重複と保存形式が上乗せされます。どこが効いているかを先に確認すると、当てる手段が絞れます。
手段は4つに分かれ、元へ戻せるかが違います。圧縮と分割は原データを保ったまま容量と読み込み量に効きますが、展開後の点数は減りません。間引き、切り出し、メッシュ化は戻せない代わりに効きが大きく、失うものを用途から決める必要があります。
どこまで軽くしてよいかは用途で決まります。原データは残したうえで、見るための版、測るための版を配布用に作ると、後から作り直せる状態を保てます。
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bestat 編集部について
bestat株式会社は、東京大学 松尾研究室発の産業用3Dデータに特化したAIスタートアップです。製造業・インフラ・土木の現場で、画像・動画・点群・360度動画などから3Dデータを生成・処理・活用する「3D.Core」シリーズを開発・提供しています。https://bestat-data.com/3dcore
参考文献
OGC「LAZ 1.4 Community Standard」(文書番号24-070r1、2026年6月30日公開、2026年9月3日確認)
OGC「LAS Specification 1.4 Community Standard」(文書番号17-030r1、2026年9月3日確認)
OGC「3D Tiles 1.1」(文書番号22-025r4、2026年9月3日確認)
国土地理院「地上レーザ測量システムを用いた三次元点群合成マニュアル」(令和6年3月初版、令和8年3月一部改正)
CloudCompare「Edit\Subsample」(2026年9月3日確認)
PR TIMES「大規模点群データの確認・計測を最短当日中に可能にする『3D.Core for Point Cloud』を提供開始」(2026年1月7日)

