2026.09.03

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点群データ軽量化|重くなる原因と間引き・圧縮・分割の選び方

点群データを軽くする方法には、主に「間引き」「圧縮」「分割」「メッシュ化」の4つがあります。4つともファイルを軽くできますが、元のデータに戻せるかどうかは方法によって違います。たとえば間引きは点そのものを削るため、あとから元に戻せません。目的に合わない方法を選ぶと、ファイルは軽くなったのに、必要な部分の寸法が測れなくなることがあります。

この記事では、まず点群データが重くなる原因を整理します。そのうえで、4つの方法の違いと、使い道に合わせてどこまで軽くしてよいかの目安を解説します。

執筆: bestat 編集部


点群データが重くなる原因

点群データの容量は、おおよそ「点の数 × 1点あたりの情報量」で決まります。これに加えて、同じ場所を重ねて計測した分や、保存形式の違いによっても容量が増えます。

原因

確認するところ

主な対策

点の数

計測密度の設定、計測した範囲、スキャンの回数

間引き、切り出し

1点あたりの情報量

色、反射強度、分類、時刻などの属性

使わない情報(色など)を削る、形式を変える

重複

複数回の計測で重なった部分

重複部分の間引き

保存形式

拡張子、テキストかバイナリか、圧縮の有無

圧縮形式への変換

1点あたりの情報量は、点にどんな情報を持たせるかで決まります。点群の代表的な形式であるOGCのLAS 1.4仕様では、位置などの基本情報だけなら1点20バイトですが、計測時刻を加えると28バイトになります。わずか8バイトの差でも、1億点あれば800MBの差になります。

重複は、同じ場所を複数の位置から計測したときに生じます。重なった部分には、同じ面の点が何重にも記録されます。データをつなぎ合わせたあと、一部だけ点が極端に詰まっている場合は、計測の設定を見直す前に重複を確認しましょう。

保存形式でも差が出ます。座標を文字で書き出すテキスト形式(.xyzや.csvなど)は、同じ点数でも、LASのようなバイナリ形式(コンピューターが直接読み書きする形式)より容量が大きくなります。

▶ 関連記事: 点群データとは|仕組み・取得方法・3Dモデルとの違い

軽量化の手段は4つに分かれる

軽量化の方法は、「点を減らす」「圧縮する」「分けて扱う」「メッシュに変える」の4つに分けられます。元のデータに戻せるかどうかが方法ごとに違うため、区別して考えることが大切です。

  • 点を減らす(間引き・切り出し):点そのものを削るため、元に戻せません

  • 圧縮する(LAZなどへの変換):ファイルを展開すれば、元と同じデータに戻ります

  • 分けて配る(分割・タイル化・LOD):元のデータはそのまま残り、一度に読み込む量だけが減ります

  • 持ち方を変える(メッシュ化):点を面に置き換えるため、1点ごとの計測値は残りません

間引き・圧縮・分割・メッシュ化の4手段を、一度に読む量と元へ戻せるかの2軸で比べたマトリクス図

「データが重くて開けない」ときに効果があるのは、開いたときに読み込む点の数を減らす方法(間引き・切り出し・分割・メッシュ化)です。圧縮はファイルサイズを小さくしますが、開くときには元の大きさに戻るため、開いたときの重さは変わりません。

間引きと切り出しで点を減らす

これは容量を最も大きく減らせる一方で、元に戻せない方法です。間引きは、残す点を選んでそれ以外を削る操作です。残った点の位置は変わりません。

無料の点群処理ソフトCloudCompareの公式解説でも、間引き後の点群は元の点群から一部を抜き出したもので、残った点の位置や色などの情報はそのまま保たれると説明されています(Edit\Subsample)。同ソフトでは、残す点の数や割合、点と点の最小間隔などを指定して間引けます。

つまり、間引いても1点ごとの位置の正確さは変わらず、点の密度(点の詰まり具合)だけが下がります。密度が下がると、細かい凹凸や細いパイプなど、もともと点が少ない部分から形が分からなくなっていきます。

割合を指定して間引くと、点が多い場所も少ない場所も同じ比率で減るため、もともと点が少ない部分がさらにまばらになります。点と点の最小間隔を指定する方法なら、例えば「5mm間隔で残す」のように、使い道に合わせて残す細かさを決められます。

切り出し(クリッピング)は、必要な範囲だけを残してそれ以外を削る操作です。削った部分は元に戻せないため、元のデータは別に保存しておき、コピーに対して行います。

国や自治体が行う測量(公共測量)のルールでも、点を減らすことは認められていますが、計算で点を増やすことは認められていません。国土地理院「地上レーザ測量システムを用いた三次元点群合成マニュアル」第43条は、計測点の選定を次のように定めています。

計測点は、要求仕様及び計測条件を損なわないように間引くことができるものとする。 内挿処理による点群データの細密化は、行ってはならない。

これは公共測量向けのルールで、民間の設備計測に当てはめる義務はありません。それでも、「先に必要な精度を決め、その範囲内で減らす」「足りない点を計算で補わない」という考え方は、どんな用途にも共通します。

なお、ノイズ除去(余計な点や、人などの写り込みを消す作業)でも点は減ります。ただし、目的はデータの品質を上げることなので、軽量化とは分けて考えます。

圧縮で情報を保ったまま小さくする

LAZは、点群の標準的な形式であるLASを、元に戻せる方法で圧縮したファイル形式です。ZIPファイルと同じように、展開すれば元と同じデータに戻ります。ファイルサイズは小さくなりますが、点の数や位置は変わりません。

OGCのコミュニティ標準「LAZ 1.4」(文書番号24-070r1、2026年6月30日公開)は、LAZがLASファイルを可逆圧縮(lossless compression)で圧縮する形式だと定義しています。LASのヘッダなどの構造はそのままで、点データブロックだけが圧縮されます。点データはチャンクという単位に分けて格納され、任意の1点を読むときは、その点が含まれるチャンクだけを展開すれば済みます。LAS 1.4のポイントデータレコード形式6から10では、チャンクをさらに層に分け、必要なフィールドだけを展開できます。

圧縮で改善するのは、保存に必要な容量と、データの受け渡しにかかる時間です。ソフトで開くときには元の大きさに戻るため、LAZに変換しても「開くと重い」状態は解消しません。

渡す前には、相手のソフトがLAZを読めるかを確認します。読めない場合は、LASのまま渡すか、相手が開ける形式へ変換します。

▶ 関連記事: 3Dデータ 拡張子一覧|メッシュ・ソリッド・点群の違いと選び方

分割・タイル化・LODで配る

これはデータを分けて、一度に読み込む量を減らす方法です。分割は、場所や対象ごとにファイルを分けます。タイル化とLODは、見ている場所や距離に応じて、表示する細かさを自動で切り替えます。

分割の基準は3通りあります。

  • 範囲で分ける:場所で分ける:一定の大きさの区画ごとに分ける。境目で形が途切れないよう、隣の区画と重ねる幅を決めておく

  • 対象で分ける:対象で分ける:床、建物、設備など、対象ごとにファイルを分ける

  • 用途で分ける:用途で分ける:現場確認用の軽い版と、計測用の元のデータを分けて持つ

LOD(Level of Detail=3Dデータの詳細度)は、見る距離や重要度に応じて表現の細かさを切り替える考え方で、OGCの標準「3D Tiles 1.1」(文書番号22-025r4)は、写真測量の成果、3D建物、BIM/CAD、点群といった大容量の3D地理空間コンテンツを配信・描画するために設計された仕様です。階層構造と、描画できる内容を届けるタイル形式の集合を定義しており、タイル形式には点群(Point Cloud)が含まれます。

同仕様では、タイルはHierarchical Level of Detail(階層的詳細度)を組み込んだ木構造に並びます。各タイルには、簡略化した表現が元の形状に対して持つ誤差がメートル単位で付きます。閲覧側はこの誤差を画面上の許容誤差と比べ、そのタイルで足りるか、より細かい子タイルへ切り替えるかを実行時に判断します。遠くから全体を見ているときは粗いデータ、近づいたときだけ細かいデータが読み込まれるため、端末への負担を抑えられます。

原データからタイル化とLODを経て手元の端末で表示されるまでの3段階を示した図

タイル化とLODの利点は、元のデータを残したまま、端末が読み込む量を抑えられることです。間引きと違い、近づけば元の細かさで確認できます。ただし、データをタイルに変換する処理と、それを表示できるビューアなどの仕組みが必要です。

クラウドで共有する前に決めること

共有の方法を選ぶ前に、「誰が、何のためにデータを見るのか」を決めておきます。次の4点が決まれば、元のデータをそのまま共有するか、軽量版を配るか、閲覧用のサービスを使うかを判断できます。

  • 見る人の数と範囲(外部の関係者を含むか)

  • 見るだけか、寸法を測るか

  • ダウンロードを許すか、閲覧だけにするか

  • 原データの保管場所と、配布した軽量版との対応

寸法を測る予定があるなら、軽量版にも測定に必要な細かさを残します。見るだけなら、スマートフォンなどでも開ける軽い形式を選べます。

メッシュに変えて持ち方を変える

メッシュ化は、点と点を三角形の面でつなぎ、表面のある形に置き換える処理です。表示に必要なデータは大きく減りますが、1点ごとの計測値は残りません。

画面上はなめらかにつながった形に見えますが、点と点の間を埋めた面は、実際に計測した値ではなく計算で補ったものです。また、点ごとに持っていた反射の強さや分類などの情報も、そのままでは引き継がれません。

同じ曲がり配管を点群と三角形メッシュで比べ、点群は1点ごとの値を持ち、メッシュは点の間を面でつなぐことを示した対比図

向く用途と向かない用途は次のように分かれます。

  • 向いている:形や配置を見せたい、設備同士がぶつからないか(干渉)や搬入経路を確認したい、専用ソフトを持っていない相手に渡したい

  • 向いていない:1点ごとの位置や情報を使って分析したい、元のデータとして保管したい、あとで細かいデータに戻したい

▶ 関連記事: 点群メッシュ化の手順|変換の流れ・面の調整・メッシュサイズの決め方

bestatの3D.Core for Point Cloudは、大容量の点群データを軽量な3Dモデルへ変換し、最短当日中に確認・計測できる形で提供します。専用ソフトのインストールや高性能PCを必要とせず、手元のPC、スマートフォン、タブレットから確認と計測ができます。→ 点群の範囲と用途を伝えて相談する

どこまで軽くしてよいかは用途で決まる

どこまで点を減らしてよいかは、データを「見るだけ」なのか、「寸法を測る」のか、「設計や分析に使う」のかで変わります。先に使い道を決め、そこから必要な細かさを逆算しましょう。

同じ配管設備の点群を間引くと、太い本体は残る一方で細い配管と小さなバルブが先に消える変化を示した前後比較図

たとえば国土地理院の測量マニュアルでは、地形図などを作るときに必要な点の密度を、作るものごとに定めています。同じ現場でも、作るものによって必要な密度は10倍以上変わります。なお、これは地形の測量向けの基準で、設備や建屋の計測にそのまま当てはめるものではありません。

用途

具体例

必要な細かさの目安

向いている方法

形と配置を見る

レイアウト、干渉、進捗の確認

見て形が分かる程度

メッシュ化、LOD、粗い間引き版

現況を測る

寸法、離隔、変位、偏差

測りたい部分のうち最も小さいものにも、点が複数のる程度

点の間隔を指定した間引き

設計・解析へ渡す

CAD化、シミュレーション、設計との比較

受け取る側が求める精度に合わせる

元のデータは残し、配る分だけ軽くする

間引きや切り出しは元に戻せないため、軽くする前に必ず元のデータを保存しておきましょう。軽量版はコピーから作り、どの元データから作ったかが分かるファイル名を付けておくと安心です。

軽くしても解決しないとき

データを軽くしても改善しない場合は、症状から原因を絞り込みます。原因は多くの場合、データを開くパソコンの性能、渡したファイルの形式、計測した時点のデータのいずれかにあります。

状態

考えられる原因

対処

LAZへ変換したが開くと重い

圧縮しても、開くときの点の数は変わらない

間引き、切り出し、分割へ移る

軽量版は開くが回転や拡大が引っかかる

パソコンの性能不足

パソコンの性能を確認する

自分は開けるが相手が開けない

相手のソフトがその形式に対応していない

相手が読める形式へ変換する

軽くしたら測れなくなった

点を減らしすぎた

元のデータから作り直す

軽くしても見たい面が写っていない

計測した時点で、その面に点がない

追加計測を検討する

パソコンの性能が原因の場合は、CPU、メモリ、GPU(VRAM)のどれが上限に達しているかで対処が変わります。判断の順序は点群処理 パソコンスペック|CPU・メモリ・GPUの選び方で整理しています。

見たい面が写っていない場合は、データをどう加工しても補えません。計測機器から見えなかった面や、機器から遠く点がまばらな場所は、計測の時点でデータが取れていないためです。取得段階で決まる範囲は点群データ デメリット6選|失敗を防ぐ対策と導入判断のポイントにまとめています。

よくある質問

LASとLAZは何が違いますか。

LASは点群データの標準的なファイル形式で、LAZはLASを圧縮した形式です。ZIPと同じく展開すれば元のデータに戻るため、中身は変わりません。どちらも国際標準化団体OGCの規格として公開されています。

無料のソフトでも軽量化はできますか。

できます。LAZへの圧縮は、無料で公開されているLASzipというツールで行えます。間引きも、無料ソフトのCloudCompareでできます。ただし、扱えるデータの大きさはパソコンの性能に左右されます。

まとめ

点群データの容量は、主に点の数と1点あたりの情報量で決まり、計測の重なりや保存形式によっても増えます。まず何が容量を増やしているかを確認すると、選ぶべき方法が絞れます。

軽量化の手段は4つあり、元のデータに戻せるかどうかが異なります。圧縮と分割は、元のデータを残したまま扱いやすくする方法です。圧縮は保存や受け渡しのファイルサイズを小さくし、分割は一度に開く量を減らします。どちらも点の数は減りません。
間引き・切り出し・メッシュ化は、データを大きく軽くできる方法です。ただし、消した点や細かい形は元に戻せません。そのため、どこまで減らすかは、データを何に使うかに合わせて決めます。

どこまで軽くしてよいかは、データの使い道によって決まります。元のデータは必ず残し、「見る用」「測る用」など目的別に軽量版を作っておけば、必要になったときに作り直せます。


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bestat 編集部について

bestat株式会社は、東京大学 松尾研究室発の産業用3Dデータに特化したAIスタートアップです。製造業・インフラ・土木の現場で、画像・動画・点群・360度動画などから3Dデータを生成・処理・活用する「3D.Core」シリーズを開発・提供しています。https://bestat-data.com/3dcore

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