#お役立ちコラム
点群データ デメリット6選|失敗を防ぐ対策と導入判断のポイント

点群データの主なデメリットは、データ容量が大きい、処理環境が必要、計測費用がかかる、ノイズが混じる、死角が欠損する、CADのように直接編集しにくい、の6つです。
間引きや計測位置の追加で軽減できる問題と、点群の性質上残る限界を分けて解説します。
執筆: bestat 編集部
点群データのデメリット6選と対策
デメリット | 実務で起きること | 主な対策 | 完全に解消できるか |
|---|---|---|---|
容量が大きい | 保存・転送・表示に時間がかかる | 範囲分割、間引き、用途別の軽量データ | ○ |
PC・ソフトが必要 | 読み込みや回転操作が重い | クラウド閲覧、処理済み形式で納品 | ○ |
取得・処理に費用がかかる | 機材費、現地作業、合成処理が発生 | 外注、対象範囲と成果物の限定 | △ |
ノイズや不要点が混じる | 反射物や移動体が形状判定を邪魔する | 除去処理、現地写真との照合 | △ |
死角が欠損する | 配管裏や機器下面に点がない | 計測位置を増やし、必要面を事前指定 | × |
CADのように編集できない | 部品交換や寸法変更を直接行えない | メッシュ化・CADモデル化を別工程にする | × |
容量や閲覧環境は、取得範囲や納品形式を調整すれば軽減できます。一方、死角の欠損やCADのように編集できない性質は完全には解消できません。以下では、それぞれの原因と対策を順に解説します。
1. データ容量が大きく、保存・共有に時間がかかる
取得範囲や密度が上がるほど点数が増え、保存・転送・表示に時間がかかります。
原点群は保管用に残し、日常の確認には範囲を分割・間引きした軽量版を使います。

2. 高性能なPCや専用ソフトが必要になる
点数が多い点群は、一般的なPCでは表示や計測の動作が重くなります。納品形式に対応するソフトがなければ、データ自体を開けません。
発注前に、実際に使う端末でサンプルを確認します。閲覧だけなら、範囲を絞った軽量データやクラウドビューアでも対応できます。
3. 機材・計測・処理に費用とスキルが必要になる
点群計測には、機材、ソフト、現地作業、データ処理の費用がかかります。内製すれば設備投資と教育が必要になり、外注すれば計測ごとに委託費が発生します。金額だけでなく、自社に残る作業で比較します。
進め方 | 機材と保守 | 熟練者 | 処理の時間 | 閲覧環境 | 繰り返し発生する費用 |
|---|---|---|---|---|---|
機材を自社で持つ | 自社 | 自社 | 自社 | 自社 | 機材の保守、ソフトの年額、教育 |
計測を業者に出す | 業者 | 業者 | 業者 | 自社 | 計測のたびの委託費 |
処理だけ外に出す | 自社 | 一部が業者 | 業者 | 自社 | 処理のたびの委託費 |
現状維持(図面と現地確認) | 不要 | 不要 | 不要 | 不要 | 現地に行く旅費と人日、手戻り |
どの進め方でも、納品データを確認する閲覧環境は自社に必要です。

4. ノイズや不要な点が混じり、形状を誤認しやすい
鏡面や黒色面、移動中の人や車両、複数回の計測位置のずれによって、点が飛んだり形が二重になったりします。ノイズを残すと、寸法の誤計測や不自然なメッシュの原因になります。
現地写真や基準寸法と照合して不要点を除去します。ただし、処理を強くしすぎると細い配管まで消えるため、残す対象を先に決めます。
5. 死角や反射しない面に欠損が生じる
スキャナから見えない配管の裏側や機器の下面には、点が入りません。黒色・鏡面・透明な素材も欠損しやすく、補間で作った面は寸法確認の根拠にできません。
別の位置から見える面なら、計測位置を増やすことで改善できます。どこからも見えない内部や接触面は、現地確認や図面で補います。

写真から点群を作る場合、空白のできかたが変わります。原因が陰から面の条件へ移り、模様の乏しい面や光る面では点が得られません。計測方式ごとの違いはフォトグラメトリとはで扱っています。
点の間隔が粗いと、細部を判別できない
点は遠い面や斜めの面ほど粗くなります。全体を高密度にするのではなく、確認したい対象に合わせて必要箇所だけ細かく計測します。
通路を人と資材が通れるか。粗い点群でも判断できます
フランジのボルトが何本あるか。面が正対していれば読めます。斜めからしか測れないなら読めません
バルブのハンドルを回す空きがあるか。周囲の細かい部材まで点が要ります
「できるだけ高精度」ではなく、「何を判別したいか」を計測業者へ伝えることが重要です。
6. CADのように部品単位で編集できない
点群は座標の集まりで、部品名・寸法・設計履歴を持ちません。距離は測れても、CADのような寸法変更や部品移動はできません。
編集や部品管理が必要なら、メッシュ化・CAD化・属性付与を別工程で行います。

発注の前に計測業者と決めること
発注前に、次の4点を決めます。
何を判別したいか
誰がどの端末で見るか
欠損時に取り直せるか
データをどこへ保管するか
特に、取り直せる日と計測位置を確認しておかないと、欠損したまま納品される可能性があります。
精度を上げても変わらないときの落とし穴
追加投資の前に、次の3点を確認します。
実際の利用者がデータを開いたか
再計測でスキャナの位置を変えられるか
判別したい対象が決まっているか
位置を変えられなければ同じ死角が残り、目的が曖昧なら密度を上げても完了を判断できません。
よくある質問
点群データのメリットは?
測った時点の現況を3Dで残し、離れた場所から形状や距離を確認できることです。
点群データのデータ量はどのくらいですか?
範囲、密度、色情報、計測回数で大きく変わります。利用端末で開ける容量から、範囲と密度を逆算します。
3Dレーザースキャナの光は有害ですか?
安全性は使用する機種のレーザークラスによって異なります。人が作業している区画で計測する場合は、使用機種のクラス、立入制限の要否、目へ直接照射しないための手順を計測業者へ確認し、メーカーの安全指針に従ってください。
点群データの精度はどのくらいですか?
精度は機種だけでなく、距離、角度、対象物の反射で変わります。納品時に、必要な箇所を画面上で判別・計測できるか確認します。
取り直せば、点が無かった場所に点は取れますか?
別の位置から見える面なら、追加計測で改善できます。内部や裏面など、どこからも見えない場所には点を取れません。
まとめ
点群の容量・閲覧環境・費用・ノイズは、取得範囲や納品方法、外注範囲の調整で軽減できます。死角は計測位置を増やして減らし、測れない面は現地確認や図面で補います。
CAD編集が必要な場合は、点群のまま使わず、メッシュ化やCAD化を別工程として計画してください。
3D.Core のサービス紹介資料をダウンロードできます。→ 資料ダウンロード
bestat 編集部について
bestat株式会社は、東京大学 松尾研究室発の産業用3Dデータに特化したAIスタートアップです。製造業・インフラ・土木の現場で、画像・動画・点群・360度動画など、現実空間で取得される多様なデータを高精度に3D化し、取得・生成・処理・活用までを一気通貫して支援する「3D.Core」シリーズを開発・提供しています。 https://bestat-data.com/3dcore
参考文献
国土地理院「地上レーザスキャナを用いた公共測量マニュアル(案)」(平成30年3月):https://www.gsi.go.jp/common/000258811.pdf
PR TIMES「『3D.Core for Point Cloud』を正式ローンチ」(2026年1月7日):https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000024.000091105.html
note「Monthly bestat 3月号」:https://note.com/bestat/n/nb03beac7e279

