2026.09.07

  • #お役立ちコラム

STEPファイルとは|中身・AP242・開き方と受け取り時の確認

STEPファイルは、異なるCADソフトの間で、形状や製品情報を受け渡すためのファイル形式です。拡張子は .step または .stp で、どちらも同じSTEP形式を表します。

部品の3Dデータを受け取ったときは、STEP対応のCADやビューアで開けます。ただし、形が見えても元の編集履歴や公差まで引き継がれたとは限りません。この記事では、開き方、保存される情報、編集・変換の方法、読み込み後の確認点を整理します。

執筆: bestat 編集部

STEPファイルとは

STEPは、製品データの表現と交換を定める国際規格群「ISO 10303」の通称です。一般にSTEPファイルと呼ぶのは、そのうちPart 21の書式で保存した交換ファイルです(NIST)。

CADは、コンピュータで形状や図面を設計するソフトです。CADごとに固有の保存形式があるため、違うソフトへ設計データを渡す際に、共通の交換形式であるSTEPが使われます。

  • 部品の販売サイトから3Dモデルをダウンロードします。

  • 異なるCADを使う相手と、部品や組み立てモデルを共有します。

  • 設計モデルを、加工・解析・検査に使うソフトへ読み込みます。

【画像1をここに挿入 — 同じ青い部品とオレンジのピンを、CAD AからSTEPファイルを介してCAD Bへ受け渡す流れ】

.stepと.stpは同じ形式

.stepと.stpは、拡張子の表記が異なるだけで、精度や保持できる情報が分かれるわけではありません。NISTの解析ツールも、.stp、.step、.p21をPart 21形式の拡張子として案内しています(NIST)。

受け手が拡張子を指定する場合は、その表記で書き出します。ファイル名を変えてもデータ構造は変わらないため、対応していない規格や壊れたデータを、拡張子の変更だけで修復することはできません。

STEPファイルを開く方法

形を確認するだけならSTEP対応のビューア、編集するならCADを選びます。中身の情報や書式の問題を調べたいときは、検証ツールが役立ちます。

目的

ソフトの例

確認できること・注意点

形状や部品構成を見る

CAD Assistant

無償のオフラインビューアです。STEPを読み込み、モデルや部品の構成を確認できます

CADで開き、形状を扱う

FreeCAD

STEPの読み込み・書き出しに対応します。STLへの書き出しも可能です

設計作業へ取り込む

Autodesk Fusion

STEPの読み込みに対応します。元ソフトの全情報を引き継ぐわけではありません

公差・注記・書式を調べる

NIST STEP File Analyzer and Viewer

モデルの表示に加え、製品製造情報の解析や基本的な書式エラーの検出ができます

ソフトを選んだら、次の順に進めます。

  1. ソフト側の「開く」または「インポート」などから、.stepか.stpファイルを選びます。

  2. モデル全体が画面に収まる表示にし、部品の有無と向きを確認します。

  3. 計測機能がある場合は既知の寸法を測り、単位と大きさを照合します。

  4. 編集や変換をする場合は、元ファイルを残して作業用の名前で保存します。

操作名や対応する情報はソフトによって異なります。オンライン型のビューアを選ぶ場合は、データを端末内で処理する方式か、外部サーバーへ送信する方式かも確認します。

STEPに保存される情報と編集の限界

STEPは、形状だけでなく単位、部品構成、寸法・公差などを扱える形式です。実際に保存される内容は、元のモデル、書き出し設定、規格の種類、読み込み側の対応によって変わります。

情報

STEPでの扱い

受け取り後の確認

曲面・立体の形状

面や稜線を使った形状を交換できます

ソリッドか、面だけのサーフェスかを確認します

単位

モデルの長さなどの単位を定義できます

既知の寸法と照合します

アセンブリ

複数部品の構成や位置を表現できます

部品点数、階層、配置を確認します

PMI

寸法、公差、注記などを扱えます

必要な情報が書き出され、読み取れているかを確認します

CADの編集履歴

一般的な形状交換では元の操作履歴を引き継ぎません

穴径などをどう変更するか、CAD側の機能を確認します

アセンブリは複数の部品を組み合わせたモデルです。PMIは「製品製造情報」で、3Dモデルに関連付ける寸法や公差などを指します。NISTは、STEPの交換対象に部品・アセンブリ・PMIを挙げています(NIST)。

形状の編集と履歴の引き継ぎは別

STEPをCADへ読み込むと、対応する機能で面を動かしたり、新しい穴や形状を追加したりできます。一方、作成元で「どのスケッチから押し出し、いつ穴を開けたか」という操作の履歴は、通常のSTEP交換では戻りません。

左の作成元CADには形を作った履歴があり、右の一般的なSTEP交換では完成した立体形状を受け取ることを示す比較図

例えばFusionの公式資料は、タイムライン情報を保持する形式をネイティブ形式のF3Dと説明しています(Autodeskのエクスポート形式)。CAD固有のファイルを「ネイティブ形式」と呼びます。

元と同じ寸法パラメータを使って設計を続けたい場合は、対応するネイティブデータの受け渡しを検討します。STEPから形を編集する場合は、新たに寸法や拘束を設定する作業が必要になることがあります。

公差が表示されることと値を読めることは別

PMIには、人が見て読むための表示情報と、ソフトが寸法や公差の意味を読み取るための情報があります。NISTはそれぞれをgraphical PMI、semantic PMIとして区別しています(NIST)。

左は人が穴径の表示を読み、右は穴と直径・値のデータを関連付けてソフトが意味を読み取る、表示用PMIと機械可読PMIの比較図

図の右側では、穴と直径・値のデータが関連付けられています。寸法や注記が画面に表示されても、検査ソフトがその値や対象面を自動で認識できるとは限りません。必要なのが人による確認か、ソフトによる自動処理かを決め、受け手の環境で確認します。

STEPだけで加工へ進めるかも、必要な指示がそろっているかによります。公差、材質、表面仕上げなどが不足する場合は、図面や仕様書を併せて確認します。

AP203・AP214・AP242と中身の見方

APは「アプリケーションプロトコル」の略で、用途ごとに交換するデータを定めた規格です。AP242は、AP203とAP214を統合した後継に位置付けられます(prostep ivip)。

AP

主な位置付け

選ぶときの確認点

AP203

機械部品やアセンブリの3D設計情報の交換

既存の受け渡し環境が対応する版と情報を確認します

AP214

自動車分野の設計データ交換を中心に発展

受け手が求める形状や付帯情報を再現できるかを確認します

AP242

AP203・AP214を統合し、モデルを中心とする設計データ交換を扱います

PMIなど必要な機能と、双方のソフトが対応する版を確認します

AP名だけでは、ファイルに公差が含まれるかは判断できません。 NISTの公開テストデータには、AP203とAP242の双方に、表示用・機械可読のPMIを含むファイルがあります(NISTのテストモデル)。

AP242にはISO 10303-242:2025などの版があります。新しい版を選ぶだけで互換性が確保されるわけではないため、送り手と受け手の対応範囲を合わせます。

ヘッダ部とデータ部で役割が違う

一般的な未圧縮のSTEPファイルはテキストで記録され、HEADERとDATAという部分を持ちます。HEADERにはファイルの説明やスキーマ名、DATAには形状などを表すデータが記録されます。スキーマは、データの構造を決める定義です(Spatial)。

先頭付近のFILE_SCHEMAを見ると、使われたスキーマを調べる手掛かりになります。テキストエディタで中身を確認する場合は、大容量ファイルの読み込み負荷に注意し、調査用のコピーを使います。

ヘッダの文字を別のAP名に書き換えても、規格の変換にはなりません。受け手の対応に合わせるには、作成元CADの書き出し設定を変更して再出力します。

STL・IGESとの違いと変換方法

STEPはCAD間で設計形状を交換する用途、STLは三角形で表したモデルの共有や造形に向きます。IGESもCADの交換形式で、受け手が指定する場合などに使われます。

形式

主に受け渡す情報

選ぶ場面

STEP

曲面・立体、部品構成、対応範囲内のPMIなど

異なるCADで形状を扱う

STL

三角形による表面形状

3Dプリント用の形やメッシュを渡す

IGES

曲線・面などのCAD形状

IGESを指定する既存ソフトへ渡す

ネイティブ形式

そのCADのモデルと編集情報

対応するCAD環境で設計を継続する

同じ穴あき円筒を、左は滑らかな曲面、右は三角形の網目で表し、拡大図で曲線と折れ線の違いを示すSTEPとSTLの比較例

図は曲面を保持するSTEPの例です。AP242は三角形に分割した形状も対象とするため、拡張子だけで滑らかな曲面の定義が保持されているとは断定できません(ISO 10303-242:2025)。形式全体の比較は、3Dデータの拡張子一覧で確認できます。

STEPをSTLに変換する手順

STEPとSTLの入出力に対応するCADや変換ソフトを使います。例えば、FreeCADは両形式の読み込み・書き出しに対応しています(FreeCAD公式機能一覧)。

  1. STEPファイルを開き、変換する部品やモデルを選びます。

  2. 書き出し形式にSTLを選びます。

  3. 設定できる場合は、曲面を三角形に分ける細かさと単位を確認します。

  4. 書き出したSTLを使うソフトで開き、大きさ、穴、曲面を見比べます。

変換後のSTLには、STEPの部品構成やPMIなどがそのまま残るわけではありません。3Dプリントが目的なら、PrusaSlicerのようにSTEPを直接読み込めるソフトもあるため、先に造形側の対応形式を確認します(PrusaSlicerの公式手順)。

開けない・形が欠ける場合の確認

STEPを正しく開けない原因には、ソフトの対応範囲、書き出し設定、ファイルの破損、モデルの形状不具合などがあります。症状だけで原因を1つに決めず、元のデータと読み込み結果を比べます。

症状

先に確認すること

次に試すこと

ダブルクリックで開かない

STEP対応ソフトがあるか

ソフトの読み込み機能から選びます

読み込みエラーになる

ファイルが最後まで取得できたか、APと版が対応するか

再取得し、作成元に別設定での再出力を依頼します

一部の形や部品が欠ける

非表示の部品、書き出した対象範囲、読み込み時の警告

別の対応ソフトでも開いて比べます

大きさや位置が違う

単位、拡大縮小、配置、データの版

既知の寸法と基準位置を照合します

公差や注記が見えない

元モデルにあるか、出力対象か、表示に対応するか

PMIに対応する環境で確認します

NISTの解析ツールは、基本的なSTEP書式エラーやPMIを調べる手段になります。ただし、ツールで表示できたことだけで、加工や検査に必要な内容がすべてそろったとは判断できません(NIST)。

確認を依頼する際は、作成したCAD名とバージョン、APと版、書き出した部品の範囲、期待する寸法をまとめます。必要な情報をそろえると、データ側とソフト側のどちらを見直すべきかを絞れます。

まとめ

STEPファイルは、異なるCAD間で形状や製品情報を交換する形式です。.stepと.stpは同じ形式を表し、対応するビューアやCADで開けます。

受け取ったら、形状、部品構成、単位、必要な寸法・公差を確認します。AP242などの規格名や拡張子だけに頼らず、書き出し設定と読み込み側の対応を合わせることが、情報を正しく受け渡すポイントです。

2D図面から3Dモデルを用意する場合は、CADのAI自動化でできることも参考になります。


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bestat 編集部について

bestat株式会社は、東京大学 松尾研究室発の産業用3Dデータに特化したAIスタートアップです。製造業・インフラ・土木の現場で、画像・動画・点群・360度動画などから3Dデータを生成・処理・活用する「3D.Core」シリーズを開発・提供しています。

https://bestat-data.com/3dcore

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