2026.09.07

  • #お役立ちコラム

Scaniverseの使い方|撮影・編集・出力と精度の注意点

Scaniverseは、スマートフォンを動かして物体や空間を撮影し、3Dデータを作るアプリです。撮影から編集、書き出しまで進めるには、最初に使う画面と、作りたいデータの種類を確認します。

現在は端末内で処理するClassicと、複数の撮影データをクラウドで処理するNewが併存しています。本記事ではClassicの基本操作を中心に、Newで大きな空間を扱う手順と、出力形式・共有・精度の注意点を説明します。仕様は2026年9月7日に確認した公式情報を基にしています。

執筆: bestat 編集部

始める前にClassicとNewを確認する

物体や小さな空間を撮り、その端末で結果を作るならClassicから始められます。複数のスキャンをまとめて広い場所を再現したい場合は、Newの撮影・アップロード手順を使います。公式FAQ

確認項目

Classic

New

作業の単位

1回ずつのスキャン

場所を表すSiteに複数のスキャンをまとめる

3Dデータを作る場所

端末内

クラウド

始めるときの操作

ライブラリから新規スキャン

アカウントを作り、Siteを作成

接続の考え方

撮影・処理はオフラインでも可能

撮影後のアップロードとクラウド処理に接続が必要

Classicの撮影・処理は無料で利用できます。Newにも無料プランがありますが、クラウド処理の利用量には枠があります。「無料で端末内処理」というClassicの説明を、Newの全機能に当てはめないようにしてください。App Storeの提供元説明

対応端末と画面を確かめる

アプリはApp StoreまたはGoogle Playから入手します。iOS版のインストール要件は、確認時点でiOS 16.6以降とA12 Bionic以降です。インストールできても、Splatの作成など一部機能は端末によって異なります。

Newの公式Quickstartは、iPhone 13以降を対応端末として挙げています。AndroidではGalaxy S24・Pixel 8以降相当、Android 14以降が目安です。これはNewの案内であり、Classicの最低要件とは区別します。

起動時に利用する画面を選ぶ案内が出たら、単独スキャンはClassic、大空間の作成はNewを選びます。すでにClassicを利用している場合は、Libraryの設定から「Discover the New Scaniverse」でNewへ進めます。Newを使うには、Classicとは別にアカウントを作成します。

Scaniverseの公式ガイドに掲載されたChoose your experience画面。上にClassic、下にNewの選択肢が並ぶ

出典:Niantic Spatial「Scaniverseのはじめ方」。ClassicとNewを選ぶ画面例です。図では下側のNewが選択されています。透過部分は白地で表示しています。

MeshとSplatを用途で選ぶ

形状を3D編集ソフトへ渡したい場合はMesh、撮影した場所の見え方を立体的に見せたい場合はSplatを選びます。どちらを選ぶかで、処理方法と書き出せるデータが変わります。

Mesh(メッシュ)は、三角形などの面で物体の表面を表すデータです。Splatは、色や広がりを持つ多数の粒で見え方を再現する3D Gaussian Splattingのデータを指します。見た目が似ていても、同じ構造ではありません。Scaniverseの旧公式ヘルプ

同じ椅子を、左は接続した三角形の面、右は広がりと向きを持つ粒で表したMeshとSplatの構造の違い

三角形の面と粒の広がりを強調した概念図です。

やりたいこと

最初に選ぶモード

確認すること

物体の形を編集ソフトへ取り込む

Mesh

受け取り側が対応する形式、面の欠損、縮尺

場所の雰囲気や見え方を共有する

Splat

Splatに対応する閲覧方法、撮っていない方向の崩れ

寸法を参照しながら作業する

形状を扱えるMeshを中心に検討

実物との差と、用途で許せる誤差

Splatでもアプリ内で2点を指定して距離を表示できますが、値が出ることだけで精度を判断しないでください。外部ソフトへ渡す場合も、Splatを通常のメッシュとして読み込めるとは限りません。提供元のSplat機能説明

Classicでスキャン・処理する手順

Classicでは、新規スキャンから方式を選び、対象の周囲を撮影してから処理・保存へ進みます。最初は一つの椅子や机など、全体を見渡せる対象で書き出しまで試すと、使うモードと出力先の組み合わせを確かめられます。

撮影を開始する

以下はClassicの基本的な流れです。日本語・英語の表示や端末によって文言が異なるため、機能名を手がかりに操作してください。

  1. ライブラリの「New Scan」から、新しいスキャンを作ります。

  2. MeshまたはSplatを選びます。Meshで対象サイズの選択が出たら、小物・中型の物体・広い範囲から撮影対象に合うものを選びます。

  3. 録画ボタンを押し、対象を画面に入れながらゆっくり移動します。

  4. 横や背面、上から見た面などを撮影し、停止ボタンで撮影を終えます。

Meshのボタン順と保存までの画面は、HoloLabの操作ガイドでも確認できます。

撮影では、スマートフォンの位置を変え、直前に撮った面も画面に残すのが基本です。その場でパノラマ写真のように端末の向きだけを変えると、物体の裏側や側面を十分に捉えられません。対象の周囲を移動しながら、高さと距離にも変化を付けます。公式の撮影ガイド

同じ位置でスマートフォンを回転する撮影と、椅子の周囲へ位置を変えて複数の面を撮る撮影の違い

図は撮影位置の違いを示す概念図です。撮影時間を延ばすだけでなく、まだ見えていない面を別の位置から捉えることを優先します。

処理してライブラリへ保存する

撮影後は処理を実行します。Meshで処理モードを選ぶ画面が出た場合、小物の細部にはDetail、物体や部屋にはAreaなど、画面の対象説明に合わせて選びます。処理結果を回転させ、必要な面が残っていることを確認して保存します。

ClassicのSplatは端末内で処理されます。処理中はアプリを開いたままにし、すぐに処理しない場合は、後で処理する選択肢を使います。保存後は回転・移動・拡大で結果を見られます。提供元のSplat作成案内

過去のスキャンをSplatへ作り直す場合は、元の撮影データ(rawデータ)が残っていることが条件です。対応するスキャンを開き、メニューの「Reprocess Scan」からSplatを選びます。完成したメッシュだけを別形式で保存する操作とは異なります。旧公式ヘルプの再処理案内

編集して保存・エクスポートする

保存したスキャンを開いて不要な範囲を取り除き、その後に目的の形式で書き出します。ライブラリへの保存、PC向けのファイル出力、リンクによる共有、地図への公開は、それぞれ別の操作です。

トリミングと見え方を調整する

編集画面のトリミングで、対象の周囲に写った不要な床や背景を除きます。Splatでは明るさやコントラストも調整できます。App Storeの提供元説明

一方向から見てきれいでも、回転すると背面が抜けていることがあります。切り取る前に全方向から確認してください。欠けた面は、明るさの調整では復元できないため、撮影範囲を見直します。

形式を選んでPCへ渡す

ClassicのMeshでは「Share」から「Export Model」へ進み、形式と保存先を選びます。iPhone内に残すならファイル保存を使い、保存先に「このiPhone内」を選びます。PCへ渡す場合は、保存したファイルをUSBメモリや、利用するファイル共有サービスで転送します。

データ

代表的な出力形式

受け取り側の確認

ClassicのMesh

OBJ、FBX、GLB、USDZ

形式に対応する3Dソフトで、形・色・大きさを確認

ClassicのSplat

PLY、SPZ

Gaussian Splattingに対応するソフトで確認

Newで生成したデータ

PLY、SPZ、GLB、FBX、USDZなど

作ったデータの種類と、ダウンロード画面の形式を確認

Classicの対応形式はApp Store、Newは公式のアセット確認・出力ガイドに基づきます。Newの形式一覧は、各データをすべての形式へ変換できるという意味ではありません。

NewのScaniverse WebでSiteのAssetsを開いた公式画面。生成した空間のプレビューと右側のDownloadボタンが見える

出典:Niantic Spatial公式プレス素材「Scaniverse for Web」。NewのWeb画面例です。右側に生成済みのデータ種類とDownloadがあり、ClassicのShare画面とは異なります。透過部分は白地で表示しています。

SPZはSplat用の形式です。拡張子をOBJやSTLへ変更しても、編集用の面や3Dプリント用の形は作られません。Splatを扱いたいのか、メッシュが必要なのかを受け取り側と合わせてから出力します。SPZの公式リポジトリ

▶ 関連記事: 3Dデータの拡張子一覧

リンク共有と地図への公開を区別する

ClassicでSplatの共有リンクを作ると、データはアップロードされ、相手はブラウザから閲覧できます。地図に載せる投稿と、地図に掲載しないリンク共有の選択肢は分かれています。提供元の共有機能案内

地図に表示しないリンクも、端末内だけに保存されたファイルとは異なります。外へ出したくない室内や物体を扱う場合は、共有リンクを作る前に、ファイル保存で目的を満たせるか確認します。

大きな空間はNewで複数スキャンをつなぐ

部屋が連続する空間や広い場所では、NewのSiteに複数のスキャンを保存し、まとめて3Dデータを生成できます。撮影範囲の境目に同じ物体や壁の特徴が写るようにすると、別のスキャンをつなぐ手がかりになります。

二つの部屋から入口付近の同じ特徴を撮影し、スキャンをつなぐ共通部分を確保する見取り図

Newの公式日本語ガイドに沿った手順は次のとおりです。

  1. Newのアカウントを作成し、撮影する場所のSiteを作ります。

  2. Siteを開いて「+ Capture」を選び、赤いボタンで撮影を開始します。撮影を終えたら、結果を確認して保存します。

  3. 足りない範囲を追加撮影します。部屋同士をつなぐ場合は、扉や廊下の共通部分も含めます。

  4. Scansからアップロードし、品質確認に合格した撮影データを選びます。

  5. アセット生成でMeshやSplatを指定し、使用量を確認して処理を実行します。

  6. Assetsで生成結果を確認し、必要な形式でダウンロードします。

Scaniverse Newの公式実機画面。左はCaptureで撮影中、中央はAssetsの生成結果、右はLocalizeの位置推定確認

出典:Niantic Spatial公式プレス素材「Scaniverse Capabilities」。左の撮影中画面と、中央の生成後のAssets画面に注目してください。右はVPSによる位置推定の確認で、スキャンの保存とは別の機能です。透過部分は白地で表示しています。

Newのモバイル撮影は1回あたり最大5分と案内されています。ただし、制限時間まで撮れば品質が上がるわけではありません。長く撮り続けるより、同じ特徴を含む短いスキャンを追加して、欠けた範囲を補います。公式Quickstart

NewのSiteは既定で非公開ですが、処理のためにクラウドへ送信されます。また、VPS用の「Production」設定は、現実の場所で端末の位置を推定するための設定です。Classicの地図投稿や、ローカルファイルの出力と混同しないでください。

うまく撮れない原因と直し方

スキャンが欠ける場合は撮影の重なり、歪む場合は視点や特徴の不足、他のソフトで開けない場合は出力形式を確認します。原因に合う工程へ戻ると、同じ撮影を繰り返す負担を減らせます。

症状

主な確認点

戻る作業

裏側や天井、床が抜ける

その面が複数の方向から写っているか

対象の周囲や上下から追加撮影

穴が多い、形が途切れる

直前の視点との重なりがあるか

移動を緩め、写っていた特徴を再び画面へ入れる

鏡・ガラスの形が崩れる

反射や透明面に依存していないか

周囲の安定した特徴も撮り、必要な寸法は別途計測

人や動く物が残る

撮影中に対象が動いていないか

静止した対象を中心に撮り直す

Newで部屋同士がつながらない

扉や廊下に共通の特徴が写っているか

境目をまたぐ撮影を追加

書き出したSplatが開けない

受け取り側がSplat用PLY・SPZに対応しているか

対応形式で再出力し、相手のソフトで確認

撮影に起因する欠損や部屋の断絶は、公式のトラブル対応でも挙げられています。反射・透明面、動く対象への注意は、撮影ガイドを参照してください。

Newで撮り足した場合は、追加分を含めてアセットを再生成します。再生成後にも同じ場所を確認し、穴やつなぎ目が改善したかを見ます。屋外の広い範囲では、位置が徐々にずれるドリフトも起こり得るため、全体の形まで確認します。

寸法を使う前に精度と用途を確かめる

寸法を使って判断する場合は、実物の長さと出力後のデータを照合します。見た目の鮮明さと、必要な誤差に収まるかは別に確認する項目です。

Niantic Spatialの精度説明は、取得方法、センサー構成、撮影範囲、処理によって精度が変わるとしています。同ページの「センチメートル級」は、複数センサーを使う取得サービスの説明であり、すべてのスマートフォン撮影に当てはまる値ではありません。

現物の輪郭を濃紺の実線、生成形状の輪郭をマゼンタの破線で重ね、形のずれを確認する概念図

図は輪郭の差を説明用に強調したもので、特定の機器の測定結果ではありません。

業務の寸法確認に使うなら、次の順序で評価できます。これはアプリの保証値ではなく、用途への適合を確かめるための確認手順です。

  1. 記録・閲覧・寸法確認など、データを何に使うか決めます。

  2. 寸法確認が必要なら、使いたい箇所の許容誤差を決めます。

  3. 対象の複数箇所を巻尺などで測り、同じ両端を3Dデータでも測ります。

  4. 外部ソフトへ出力した後も、大きさや単位が変わっていないか確認します。

  5. 差が用途で許せる範囲を超える場合は、再撮影や別の計測方法を検討します。

場所の様子を共有する用途なら、必要な方向から見えるか、見せたい範囲が欠けていないかが判断材料になります。部品の寸法確認や広い場所の位置関係に使うなら、その用途に必要な精度を確認できる計測方法も比較します。

取得後にメッシュへ変換しても、元の計測誤差や見えていない面が自動的に解消されるわけではありません。変換と精度改善を分けて考える必要があります。

▶ 関連記事: 点群のメッシュ化

まとめ

Scaniverseを使い始めるときは、ClassicかNewを確認し、目的に合わせてMeshかSplatを選びます。まず小さな対象で撮影から保存・出力まで試し、使うソフトで開けることを確認してください。

大きな空間は複数スキャンの重なりを確保し、寸法を使う場合は実測値と照合します。撮影が完了した時点に加えて、実際の用途で確認できたところまでを一連の作業として進めます。

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bestat 編集部について

bestat株式会社は、東京大学 松尾研究室発の産業用3Dデータに特化したAIスタートアップです。製造業・インフラ・土木の現場で、画像・動画・点群・360度動画などから3Dデータを生成・処理・活用する「3D.Core」シリーズを開発・提供しています。

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