2026.09.05

  • #お役立ちコラム

点群処理ソフトの選び方|工程別に必要な機能とクラウド型の違い

点群処理ソフトは、製品名を並べて機能を見比べても決まりません。表示、ノイズ除去、断面作成、メッシュ化といった項目は多くの製品が持っており、一覧の上では差が見えにくいためです。

先に決まっていないと選べないのは、計測したあとの工程のうち、どこを自分の手元で行うかです。整えるところまでか、測って数値を出すところまでか、CADへ渡せる形にするところまでか、それとも関係者に見せられれば足りるのか。担う範囲が変われば、必要な機能も道具の持ち方も入れ替わります。

この記事では、点群処理ソフトの機能を5つに整理したうえで、工程別に要る機能、インストール型とクラウド型の違い、対応形式と計測機材の互換性の確かめ方を説明します。製品ごとの価格相場とレビュー点数の比較は扱いません。

執筆: bestat 編集部


点群処理ソフトでできること

点群処理ソフトの機能は、入出力、表示、整える、分類する、形にするの5つに分かれます。製品ごとの違いは、この5つのうちどこまでを、どの程度自動で行うかに出ます。

機能の分類

主な操作

この機能で決まること

入出力・形式変換

LAS、LAZ、E57、PLYなどの読み書き、計測機器固有の形式の取り込み

手元のデータを開けるか、次の相手へ渡せるか

表示・描画

回転、拡大、断面表示、色や反射強度による着色

数億点の点群を実用的な速度で見られるか

整える

複数スキャンの合成、座標変換、ノイズ除去、間引き

測る工程・形にする工程へ渡せる状態になるか

分類する

地表面、植生、構造物などのクラス分け、不要点の抽出

地形や設備だけを取り出せるか

形にする

メッシュ化、円柱や平面などの形状認識、CADモデル化

CADや解析へ渡せる形になるか

同じ「点群処理ソフト」という呼び方でも、対象範囲は製品によって大きく違います。表示と計測だけを担うものから、分類やCADモデル化まで持つものまであり、名前とカテゴリだけでは範囲が分かりません。5つのうちどこに手が届く製品なのかを、公式ページの機能一覧で確かめる必要があります。

点群そのものの定義から確認したい場合は、点群データとはを先に読むと、以降の説明を追いやすくなります。

選ぶ前に決めるのはどの工程を自分でやるか

必要な機能は、取得した点群をどこまで自分で扱うかで入れ替わります。整える、測る、形にする、見せるのうち、どこを担うかが決まらないと、機能一覧を前にしても取捨選択ができません。

取得から整える・測る・形にする・見せるまでの工程を、インストール型・クラウド型・処理を任せるの3つの持ち方がどこまで担うかで示したフロー図

工程の中身そのものが、使う機材とソフトに左右されます。国土地理院の「地上レーザ測量システムを用いた三次元点群合成マニュアル」は、合成の工程について次のように書いています。

点群合成の具体的な工程は、使用する地上レーザスキャナや処理ソフトウェアに依存する部分が大きく、多様であるという特徴がある。

つまり、標準的な作業手順を先に固定してからソフトを当てはめる形にはなりません。自分が担う範囲を決め、その範囲を実データで通せるかを製品ごとに確かめる順序になります。

整える(合成・座標変換・ノイズ除去)

複数の位置から計測した点群を1つにまとめる点群合成と、業務で使う座標系へ乗せる座標変換が中心です。同マニュアルは合成を自動合成と手動合成に大別し、自動合成は点群データ間の類似性をソフトウェアの計算処理で求める方法、手動合成は同一箇所と特定できる特徴点を作業者が指定する方法と説明しています。

この工程を自分で担うなら、合成できたかどうかを数値で確認できる機能が要ります。同マニュアルは、標定点(座標が分かっている基準の点)の残差と、検証点(精度の確認に使う点)の較差を点検することで、合成と座標変換が適切に行われたかを評価すると定めています。残差や較差を表示せず、合成結果だけを返す製品では、この点検ができません。

測る(距離・断面・土量・差分)

2点間の距離、断面の切り出し、体積や土量の算出、設計データとの差分がこの工程に当たります。測る工程まで自分で担う場合、確かめるのは計測機能の有無だけではありません。

測った値を後から説明できるかが分かれ目になります。どの点群のどの版に対して、いつ、どこを測ったのかが残らないと、数値だけが独り歩きします。計測結果に注記や座標を添えて保存できるか、書き出せるかを試用時に確認します。

形にする(メッシュ化・CADモデル化)

点群からそのままメッシュを作れる製品はあります。エリジオンのInfiPointsは、指定した点群領域をポリゴンメッシュへ変換する機能と、円柱、建屋、鉄骨などの形状を自動でCADモデル化する機能を公式ページで案内しています。

ただし、メッシュができることと、CADで編集できる形になることは別です。面が張られただけの状態と、寸法を変えられる形状データでは、次の工程で扱える範囲が変わります。どこまで必要かは渡す相手で決まるため、点群からメッシュ化する手順で工程ごとの完了条件を確認してから選ぶと判断しやすくなります。

見せる(閲覧と共有)

現況を関係者に見せて確認や合意を取ることが目的なら、整える工程から先の機能は要りません。この場合に効くのは処理性能ではなく、相手の環境で開けることと、権限を分けて共有できることです。

見せる工程だけを切り出せると、点群を処理する人と結果を見る人で必要な機材を分けられます。全員に同じ性能のPCを用意する前提が外れるため、費用の見積もりも変わります。

インストール型とクラウド型の違い

変わるのは、データの置き場所、同時に使える人の範囲、手元の機材に求める性能の3つです。機能名が同じでも、この3点で日々の運用が変わります。

比べる項目

インストール型

クラウド型

データの置き場所

自社のPCやサーバー

事業者の環境へアップロードする

手元の機材

処理性能を満たすPCを使う人数分

表示できる端末で足りることが多い

使える人の範囲

ライセンスを入れた端末

招待した相手。社外を含められる

大きなデータ

端末の上限まで扱える

アップロードと処理の待ち時間が出る

通信のない現場

そのまま使える

使えない

版の管理

自社で更新時期を決める

事業者の更新に従う

インストール型では点群を端末内で処理でき、クラウド型ではアップロードした点群を複数端末から共有するデータ経路の違い

製品単位では二分できない点にも注意が必要です。ScanXは、ブラウザから使う月額制のクラウドサービスです。アップロードした点群をAIがノイズ、地表面、植生、構造物へ自動分類すると公式ページで案内しています。一方、InfiPointsはインストールして使う製品でありながら、ノイズ除去やフィッティングをクラウド処理で行う機能と、クラウド上での情報共有機能を持つと案内しています。

そのため、比較するのは「インストール型かクラウド型か」という製品の分類ではなく、機能ごとにデータがどこで処理されるかです。クラウドへ送る機能がある場合は、保管場所、通信と保管の暗号化、アクセス権限の設定、契約終了後のデータの扱い、情報セキュリティ認証の有無を先に確認します。

使う人数と見せる範囲で選ぶものが変わる

専任1人が処理する場合、部門の複数人が同じデータを扱う場合、社外の相手に見せる場合では、必要なものが変わります。人数が増えるほど、処理機能より共有の仕組みが結果を左右します。

専任1人・部門で複数・社外に見せるの3つの使い方と、インストール型・クラウド型・処理を任せるの組み合わせを示したマトリクス図

専任1人が処理を担うなら、インストール型を1本用意する形が扱いやすくなります。確認するのは、その担当者が不在のときに誰がデータを開けるか、ライセンスが特定の端末に固定されるかどうかです。

部門の複数人が同じ点群を触る場合は、処理機能より先に置き場所と版の管理が問題になります。ファイルを複製して配ると、どれが最新か分からなくなります。ライセンスの数え方が同時起動数か端末数かによって費用も変わるため、見積もりの前に確認します。

社外の相手に見せる場合、相手にソフトを入れてもらう前提は成立しにくくなります。閲覧できる形式へ変換して渡すか、リンクで見せる形にします。

対応形式と機材の互換性の確かめ方

「LAS対応」「E57対応」という表記だけでは足りません。同じ形式名でも、規格の版と、点が持つ属性まで読めるかどうかで結果が変わります。

点群ファイルの互換性を形式名、規格の版、点レコード、色・強度、分類、座標系の層へ順に掘り下げて確認する図

LASは、地理空間情報の標準化団体であるOGC(Open Geospatial Consortium)のコミュニティ標準として公開されています。LAS 1.4の仕様書は点データレコード形式を0から10まで定義し、分類を256クラスまで持てるのは6から10だけと規定しています。座標系の持ち方も分かれ、形式0から5はGeoTIFFかWKT(座標系を文字列で記述する表記)のどちらか、形式6から10はWKTを使うと定められています。「LAS対応」という表記だけでは、この6から10を読めるかどうかは分かりません。

圧縮形式のLAZも、2026年6月30日にOGCのコミュニティ標準として公開されました。LAZ 1.4の仕様書は、LAZがLAS 1.4を可逆圧縮する形式であり、点形式6から10への対応はLAZ 1.4で追加されたと書いています。古い実装のまま「LAZ対応」と書かれている場合、新しい点形式を読めないことがあります。

E57はASTMの規格E2807で定義され、3D計測機が出力する点データ、色や反射強度などの属性、計測機で撮影した2D画像を1つのファイルに収められます。画像まで引き継げるかは受け取る側の実装で決まるため、点だけが開けた状態を対応と見なさず、必要な属性が残るかまで確かめます。

見せるための形式は系統が別です。3D TilesはOGCのコミュニティ標準で、現行版の1.1は、点群を含む大規模な3Dコンテンツを配信して描画するために設計されています。計測結果を保存する形式と、閲覧のために配信する形式は目的が違うため、同じ表に並べても優劣は判断できません。

計測機材との互換性は、公式ページの対応表で確かめます。InfiPointsはTrimble、FARO、Leica、NavVis、XGRIDSの計測データに対応すると案内し、TREND-POINTは点群の入力形式としてTxt、LAS、LAZ、E57、PLYを案内しています。確認は次の順で行うと漏れが出にくくなります。

  1. 現在使っている計測機材が書き出す形式と、その版を控える

  2. 候補ソフトの公式ページで、その形式と版が入力側に記載されているかを見る

  3. 実データを1件渡し、色、反射強度、分類、座標系が残るかを確認する

  4. 書き出し側でも同じ確認を行い、次の相手が開けるかまで見る

形式ごとの位置づけをまとめて把握したい場合は、3Dデータのファイル形式に系統別の整理があります。

土木と製造業で判断の起点が違う

土木や測量では納品する成果品の仕様が先にあり、製造業やプラントでは形状をどこまで取り出せるかが先に来ます。同じ点群でも、確認する機能が変わります。

土木側では、作るものが先に決まっています。国土地理院のマニュアルは全体工程を、成果品の要求仕様の策定、作業計画、作業仕様の策定、オリジナルデータの作成、その他の成果データの作成、成果の取りまとめの6つに区分しています。その他の成果データとしてグラウンドデータ、グリッドデータ、等高線データ、断面図データ、数値地形図データなどを挙げ、どの種類が必要かは目的によって異なるとしています。

そのため、ソフトを見る観点は、要求された成果データを作れるか、点検に使う残差や較差を数値で出せるかになります。TREND-POINTは、グリッドデータ、TIN(三角形の面で地形を表すデータ)、等高線、断面の作成に加え、土量計算や出来形管理を公式ページで案内しています。納品仕様に対応する機能名が公式ページにあるかどうかが、最初のふるいになります。

製造業やプラントでは、既存設備の形状をどこまで取り出せるかが起点になります。配管のような円柱や、鉄骨のように形が決まっている部位を自動で認識できると、CADへ渡すまでの手間が変わります。InfiPointsは、円柱や建屋、鉄骨の自動CADモデル化と、Rebro、Tfas、Revitとの連携を公式ページで案内しています。

分野が違っても、判断の分かれ目は同じところにあります。最終的に必要なのが数値なのか、図面やCADモデルなのか、見えている状態なのかで必要な機能が決まります。業種名で候補を並べる前に、成果物の形を1行で書き出すほうが早く絞れます。

ソフトを持たずに結果だけを受け取る

整える工程と形にする工程を委託し、確認と計測ができる状態のデータだけを受け取る方法もあります。処理を担える人が1人か2人しかいない場合や、処理する人より見る人のほうが多い場合に選択肢になります。

bestatの3D.Core for Point Cloudは、大容量の点群データを軽量な3Dモデルへ変換し、最短当日中に確認・計測できる形で提供します(PR TIMES)。専用ソフトのインストールや高性能PCを必要とせず、手元のPC、スマートフォン、タブレットから確認と計測ができます。

この形ではデータを社外の環境へ預けるため、情報セキュリティの体制が確認項目になります。bestatはISO/IEC 27001:2022およびJIS Q 27001:2023を取得しています(note)。

この持ち方が向かない条件もあります。次のいずれかに当たる場合は、自社にソフトを置く形を選びます。

  • 合成や座標変換のパラメータを自分で調整し、処理の過程まで自社で管理したい

  • 成果品として点群データそのものを納品する必要がある

  • 通信のない環境で処理まで完結させる必要がある

  • 分類や抽出を何度も試しながら、自社の手順そのものを作りたい

費用は対象範囲とデータ量で変わるため、比較する際は同じ範囲で見積もりを取ります。

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よくある質問

無料の点群処理ソフトで足りますか

用途によります。CloudCompareは公式リポジトリで、3Dの点群と三角形メッシュを処理するソフトウェアと説明されており、オープンソースのGPLライセンスで公開されています。表示、点群同士の比較、距離計算などを試すには十分に使えます。

業務の標準にする場合は、使う版を固定できるか、取引先から届く形式を読めるか、不具合が起きたときに誰が原因を調べるかを先に決めます。販売元の窓口に問い合わせる前提は置けないため、社内で確認できる範囲かどうかが判断材料になります。

点群処理にはどのくらいのパソコンが必要ですか

使うソフトと処理内容で変わります。同じ点群でも、見るだけなのか、複数スキャンを合成するのか、分類やメッシュ化まで行うのかで、負荷がかかる部品が変わるためです。製品ごとの公式要件と、実データでの確かめ方は点群処理のパソコンスペックにまとめています。

体験版でどこまで確かめられますか

確かめるのは操作感ではなく、自分のデータが最後まで通るかどうかです。普段扱う規模と、想定する最大規模のデータを1件ずつ用意し、読み込みから整える、測るまでを一度通します。

そのうえで、色、反射強度、分類、座標系が保持されるか、書き出したファイルを受け取る側が開けるかまで確認します。ここまで試せない体験版では、導入後に同じ検証をやり直すことになります。

まとめ

点群処理ソフトの機能は、入出力、表示、整える、分類する、形にするの5つに分かれます。製品差は機能の有無より、どこまでをどの程度自動で行うかに出ます。

選ぶ前に決めるのは、整える、測る、形にする、見せるのどこを自分で担うかです。担う範囲が決まれば、必要な機能も、インストール型・クラウド型・処理を任せるという持ち方も絞れます。人数が増えるほど、処理機能より共有の仕組みが効きます。

対応形式は名前ではなく、規格の版と属性で確かめます。LASは点データレコード形式によって分類の上限と座標系の持ち方が変わり、LAZも版によって読める点形式が違います。実データを1件通し、色、反射強度、分類、座標系が残るかを見るところまでが確認の範囲です。


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bestat 編集部について

bestat株式会社は、東京大学 松尾研究室発の産業用3Dデータに特化したAIスタートアップです。製造業・インフラ・土木の現場で、画像・動画・点群・360度動画など、現実空間で取得される多様なデータを高精度に3D化し、取得・生成・処理・活用までを一気通貫して支援する「3D.Core」シリーズを開発・提供しています。https://bestat-data.com/3dcore

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