2026.09.24

  • #お役立ちコラム

3DCAD図面の作り方|3Dモデルから2D図面を出す手順と注意点

3DCAD図面を作るときは、3Dモデルから正面図などの投影図を生成し、必要な断面図、寸法、公差、注記を加えます。投影はCADが支援しますが、正面の向きや断面位置、製造・検査に残す指示は人が決めます。

この記事では、特定のCADソフトに依存しない作成手順を示します。モデル変更が2D図面へ反映されない原因や、3Dモデルと2D図面のどちらに指示を持たせるかも整理しました。

執筆: bestat 編集部

3DCAD図面とは

「3DCAD図面」は、3D CADで作ったモデルそのもの、またはモデルから生成した2D図面を指す言葉です。受け渡しでは意味を曖昧にせず、「3Dモデル」「3DAモデル」「2D図面」のどれかを明示します。

3DAモデルは、3Dの形状に寸法、公差、注記などの製品定義情報を関連付けたものです。日本自動車工業会(JAMA)と日本自動車部品工業会(JAPIA)は、JIS B 0060シリーズに準拠した3DAモデルガイドラインを公開しています。

呼び方

中身

主な使い方

3Dモデル

立体形状とモデル属性

形状確認、干渉確認、解析、加工データ作成

3DAモデル

3Dモデルに寸法・公差・注記などを関連付けたデータ

3Dを正とした製品定義と後工程への情報伝達

2D図面

正面図・平面図・側面図・断面図などを図面シートに配置した文書

製造、見積り、検査、承認、PDFや紙での共有

2D図面には、立体を平面で伝えるためのビューに加え、加工や検査に必要な要求事項を載せます。裸の3D形状だけでは、公差、表面性状、材質、処理、改訂などが伝わらない場合があります。

3Dモデルから2D図面を作る手順

3Dモデルから2D図面を作る基本手順は、基準を決める、ビューを配置する、指示を加える、出力を確認する、の4段階です。CADごとにコマンド名は違っても、情報を決める順序は共通します。

3Dモデルの向きを決め、投影図を置き、寸法を加えて図面を完成させる4段階

手順1 基準面と正面の向きを決める

最初に、加工、組付け、据付などの基準になる面を確認し、その面が読み取りやすい方向を正面にします。見栄えだけで向きを選ぶと、後から寸法の起点を取りにくくなります。

AutoCADのベースビューに関する公式ヘルプでは、最初に置くベースビューで尺度、表示、方向、位置合わせを設定し、後続の投影ビューは通常その設定を継承すると説明されています。正面を決めたら、図面テンプレート、用紙、投影法、尺度も確認します。

手順2 投影図・断面図・詳細図を配置する

ベースビューから正面図、平面図、側面図などを派生させ、形状が伝わる最小限のビューを置きます。穴、座ぐり、溝、リブなどが隠れ線の重なりだけでは読みにくい場合は、断面図や詳細図を追加します。

AutoCADのモデルドキュメント機能でも、ベースビューから投影ビューを生成し、既存ビューから断面ビューや詳細ビューを作る構造が示されています。ビューを増やす目的は枚数をそろえることではなく、形状と指示対象を誤読なく示すことです。

基準面から正面を決め、投影図と断面図で穴や座ぐりを明確にする考え方

手順3 寸法・公差・注記を入れる

製造や検査に必要な寸法、寸法公差、幾何公差、表面性状、材質、熱処理、表面処理、溶接、数量などを加えます。モデルから寸法や注記を取り込めるCADでも、必要な指示が正しいビューにあり、重複や不足がないかを確認します。

SOLIDWORKS Design 2026の公式ヘルプでは、モデルから寸法、アノテートアイテム、参照ジオメトリを図面へ挿入できます。一方、図面で追加した参照寸法や注記がモデル側へ影響するとは限らないため、どちらを正とするかを決めてから編集します。

手順4 出力形式と受け渡し条件を確認する

図面をPDF、DWG、DXF、またはCAD固有形式で出力します。形式は、受け手が閲覧だけするのか、2D CADで編集するのか、検査に使うのかによって選びます。

DXFやDWGを渡す場合は、対応バージョン、単位、画層、文字、線種が受け手の環境で再現されるかを確認します。PDFも添えると、出力後の見た目を照合できます。

完了の判断は、受け手の環境でファイルを開き、代表寸法、注記、尺度、改訂番号を確認できた状態です。

3Dの投影と単純な2D変換は違う

製造や検査へ渡す図面を作るなら、3D形状を平面の線へ変換するだけでなく、モデルに関連付いた図面ビューを生成します。単純なフラット化では輪郭線を得られても、投影ビューの親子関係やモデル変更への追従が残らない場合があります。

方法

得られるもの

適する用途

注意点

モデルから図面ビューを生成

ベースビュー、投影図、断面図、詳細図

製造図面、検査図面、改訂を伴う図面

モデルとの関連付けと更新状態を確認する

現在の表示を2D線へ変換

その方向から見た線図

輪郭の再利用、説明用の下図

寸法・公差・注記を別に整える必要がある

画面を画像やPDFへ出力

見た目の固定された資料

閲覧、承認、参照

CADでの再編集や形状情報の利用には向かない

図面機能の有無や動作はCADと読み込んだ形式によって異なります。変換機能を選ぶ前に、出力後もモデル変更へ追従させる必要があるかを決めてください。

モデル変更が図面に反映されない原因

モデルと図面が関連付いていても、更新設定、読み込んだデータの種類、注記が参照する形状によっては、図面が最新になりません。自動更新という名称だけで判断せず、変更後の図面を開いて状態を確認します。

モデル変更が図面へ反映される関連付けと、リンクが切れて古い寸法が残る状態の比較

図面ビューが更新されていない

AutoCAD 2026の図面ビュー更新に関する公式ヘルプでは、元の3Dモデルを変更しても、図面ビューを更新するまで反映されないと説明されています。自動更新がオフなら、更新が必要なビューに警告が表示されます。

PDFや印刷物にはCAD上の警告が出ません。出図前にモデルの改訂と図面の改訂を照合し、更新操作後の図面からPDFなどを作り直します。

読み込んだモデルが非自動調整になっている

AutoCADのモデルドキュメント機能は、AutoCADとInventorの3Dモデルから自動調整2D図面を生成します。一方、オートデスク以外の製品で作成された一部の3Dモデルからは、非自動調整2D図面を生成します。

受け取った中間形式や他社CADデータを図面化するときは、モデルを1か所変更し、図面ビューが更新されるかを試します。追従しない場合は、図面の再生成や差分確認を改訂手順へ組み込みます。

形状変更で寸法や注記の参照が外れている

寸法や注記が参照していたエッジを削除すると、関連付けが失われることがあります。AutoCADの公式ヘルプも、更新によって注釈の接続先のエッジが削除された場合、注釈の自動調整が失われると説明しています。

形状変更後は、図面全体を眺めるだけでなく、変更したフィーチャー周辺の寸法、公差、引出線を確認します。モデル変更1件に対し、図面側で手作業が必要になった箇所を記録すると、関連付けが効いていない範囲を把握できます。

3DAモデルと2D図面を使い分ける

3DAモデルと2D図面は、どちらか一方を一律に選ぶものではありません。後工程が3Dデータを参照できるか、検査でどの寸法を使うか、取引先との受け渡し形式は何かを基準に決めます。

JAMA/JAPIAは、3D図と2D図を組み合わせる方法と、二次元図面を持たない3D単独図の両方をガイドラインの対象にしています。3D単独図へ移る場合も、必要な要求事項をモデルへ関連付け、見る側が読み落とさない表示と運用を整える必要があります。

寸法を省略するかは後工程と合意する

JAMA/JAPIAが2026年5月に公開した設計お作法集は、検査・品質保証に必要な寸法を設計モデル上へ指示することを推奨しつつ、後工程と調整して合意できれば省略も検討できるとしています。普通公差を適用する箇所を省略する場合は、普通公差や、設計モデルの形状を正とする旨を明示します。

省略できるかどうかは、モデルに情報があるだけでは決まりません。受け手が対応するCADやビューアでモデルを開き、対象形状と要求事項の関連を確認できることが前提です。検査で使う寸法、問い合わせが起きやすい指示、モデルを開けない相手へ渡す情報は2D図面に残します。

3Dと2Dを併用するときは正本を決める

3Dモデルと2D図面を両方渡す場合は、形状や要求事項が食い違ったときにどちらを優先するかを明記します。改訂番号と変更履歴も正本側で管理し、出力物には参照した正本の版を示します。

2D図面しか残っていない過去品は、新規設計と同時にすべて3D化する必要はありません。再生産、改良、解析など利用予定のある図面から対象を選べます。2D図面から3Dモデルを作る方法は「CAD AI自動化はどこまでできるか」で比較しています。

出図前に確認すること

出図前は、形状が見えるかだけでなく、モデルとの関連、要求事項、受け渡し後の再現まで確認します。次の表を図面テンプレートや検図票へ組み込むと、担当者ごとの確認差を減らせます。

3Dモデルから作った図面を寸法・断面・注記・出力形式まで検図するイメージ

確認項目

確認する内容

見落としたときに起きること

正面と基準

加工・組付けの基準面が読みやすい向きか

寸法の起点が分かりにくい

ビュー

隠れ線だけで判断する箇所が残っていないか

穴や段差を誤読する

表示対象

必要な部品・ソリッド・サーフェスが表示されているか

不要物が出る、必要物が消える

寸法と公差

重複、不足、参照切れがないか

加工や検査の条件が確定しない

注記と属性

材質、処理、数量、改訂が最新か

古い条件で手配する

モデル連携

モデル変更後にビューと注記を更新したか

2D図面だけ古いまま残る

尺度と用紙

尺度表記、用紙、印刷範囲が正しいか

印刷時に読めない、測った値が合わない

出力形式

バージョン、単位、画層、文字が再現されるか

相手の環境で開けない、表示が崩れる

版管理

正本と出力物の改訂番号が一致するか

新旧を判別できない

JAMA/JAPIAの設計お作法集は、3D図面の変換検証で見つかった不具合や表現ミスを踏まえ、オフセット断面、寸法と形状の関連付け、アノテーションの視認性なども扱っています。中間形式で受け渡す場合は、使用するCADとビューアで代表データを変換し、元データとの一致を確かめます。

よくある質問

3DCAD図面は3Dモデルと同じですか?

会話では同じ意味で使われることがありますが、データとしては分けて考えます。3Dモデルは立体形状、3DAモデルは形状に要求事項を関連付けたもの、2D図面は投影図や断面図へ寸法・公差・注記を載せた文書です。

3Dモデルがあれば2D図面は不要ですか?

受け手が3Dモデルと要求事項を確認でき、3Dを正とする運用に合意していれば、2D図面を持たない方法もあります。PDFや紙で承認する、2D CADで編集する、図面を検査記録と照合するといった工程が残る場合は、2D図面を併用する方が情報を渡しやすくなります。

3Dモデルから2D図面を自動で作れますか?

投影図、断面図、モデル内の寸法や注記の配置は、多くの3D CADが支援します。ただし、必要なビューの選定、公差や加工指示の判断、注記の重複・参照切れ、受け手の環境での確認までを無条件に自動化できるわけではありません。

2D CADしかない相手へどう渡しますか?

3D CAD側で2D図面を作り、相手が扱えるDWGやDXFへ出力します。対応バージョンと単位を合わせ、同じ図面のPDFを添付して、相手の環境で開いた結果を照合します。

図面も3Dモデルもない現物から作れますか?

現物を測定して3Dモデルを復元し、そのモデルから2D図面を作ります。接触測定、3Dスキャン、写真測量などは対象の形状と必要な精度で使い分けます。詳しい工程は「リバースエンジニアリング図面の作り方」で解説しています。

まとめ

3DCAD図面は、3Dモデルを平面へ変換しただけの線図ではありません。基準面を決めて必要なビューを配置し、寸法、公差、注記などを加え、受け手の環境で確認できて初めて使える2D図面になります。

特に確認したいのは、モデルと図面のどちらを正とするか、モデル変更が図面へ反映されたか、3D側へ省略した要求事項を受け手が読めるかの3点です。CADの自動生成機能を使った後も、この判断と検図は残ります。


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bestat 編集部について

bestat株式会社は、東京大学 松尾研究室発の産業用3Dデータに特化したAIスタートアップです。製造業・インフラ・土木の現場で、画像・動画・点群・360度動画などから3Dデータを生成・処理・活用する「3D.Core」シリーズを開発・提供しています。

https://bestat-data.com/3dcore

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