2026.09.07

  • #お役立ちコラム

3Dモデリング外注費用の決まり方|相場の読み方と見積の取り方

「3Dモデリングを外注するといくらかかるのか」を調べると、数千円から数百万円までの金額が並びます。同じ「3Dモデルを1つ作る」依頼でも、対象の形、元にする材料、納品物の指定によって通る工程が入れ替わるため、相場の平均値からは自分の案件の金額が決まりません。

この記事では、外注費用が何で動くのかを工程の側から整理します。公開されている相場が何を前提にした金額なのか、見積を取る前に自分で決めておくこと、受け取った見積書をどう割って読むか、内製と比べるときに何を同じ物差しへ載せるかを扱います。金額を挙げる箇所は、すべて出所と対象を添えた引用です。

執筆: bestat 編集部


3Dモデリングの外注費用は何で決まるか

外注費用は、対象の形の複雑さ、元にする材料、納品物の指定で動きます。公開されている相場が広い幅を持つのは、この3項目が伏せられたまま平均されているためです。

  • 対象の形の複雑さ: 曲面の多さ、部品の数、内部構造や可動部の有無。作る面が増えるほど作業時間が伸びます

  • 元にする材料: 言葉やイメージだけか、写真か、2D図面か、現物や点群か。材料によって、形を決める作業が発注側に残るのか受注側へ移るのかが変わります

  • 納品物の指定: ファイル形式、面の持ち方、寸法の合否基準、修正回数、権利の扱い。同じ形を作っても、渡す形が変われば工程が変わります

これに納期が加わります。短納期は人を増やすか他の案件を止めることになるため、割増として金額に乗ります。

見積を出す側は、この3項目が決まらないうちは幅で答えるしかありません。「いくらですか」と聞いて幅の広い答えが返ってくるときは、条件がまだ書かれていない状態です。

3Dモデリングの外注費用を左右する、形状の複雑さ・元にする材料・納品物の指定・納期の関係

外注費用は、3つの主な条件に納期を加えた組み合わせで決まります。

公開されている相場は何を前提にしているか

公開されている金額の多くは、キャラクターやアバターの制作を前提にしています。図面や現物から3Dデータを作る場合とは材料も検収の仕方も違うため、同じ表をそのまま当てられません。

クラウドソーシングTimes(クラウドワークス)の2025年版の記事は、対象別の費用相場を次のように示しています(クラウドソーシングTimes)。

対象

記載されている金額

人型キャラクター

5〜100万円

人型以外(動物キャラクターなど)

数千円〜50万円

既製品の購入費

数千円〜10万円

VTuberとして使用する費用

80〜100万円

同じ記事は外注先別の相場も分けており、3Dモデル制作企業が50万〜数百万円、個人のデザイナー・クリエイターが10〜100万円、クラウドソーシングが5〜30万円としています。

SketchUp Pro Japan(アルファコックス)は、対象別の目安を文章で書いています。人型キャラクターはシンプルなものなら数万円から、高度に詳細なキャラクターでは数十万円以上が相場だとしています。動物キャラクターは10万円から30万円程度で、特殊な生物やファンタジーの生き物では50万円を超えることも少なくないと書かれています。工業製品については、単純な機械部品のモデリングで数万円から、高度に複雑な機械や大型の工業設備では数百万円にも及ぶとしています(SketchUp Pro Japan)。

読み取れるのは、金額そのものより幅の大きさです。人型キャラクターという同じ対象で、下限と上限が20倍離れています。どちらのページも、その幅がどの条件で決まるのか(作業時間、期間、修正回数、権利の扱い)を金額に紐づけていません。

内訳の項目もCG制作に寄っています。クラウドソーシングTimesが挙げる内訳は、モデリング10〜50万円、テクスチャ5〜15万円、リギング5〜20万円です。テクスチャは表面の質感を作る作業、リギングはモデルを動かすための骨組みを設定する作業を指します。2D図面や現物を元にする案件では、この2工程が必要にならないことが多く、代わりに図面や実測値との突き合わせが加わります。相場表を自分の案件へ当てる前に、内訳の項目が同じかどうかを確かめます。

元にする材料で工程が変わる

同じ「3Dモデルを1つ作る」依頼でも、何を元にするかで通る工程が入れ替わります。言葉やイメージだけの状態から始めるのか、写真か、2D図面か、現物や点群かで、形を決める作業がどちら側に残るのかが変わります。

イメージ・写真・2D図面・現物や点群から3Dモデルを作る場合の工程の違い

元にする材料が変わると、3Dモデルへ至るまでに必要な設計、復元、計測、検証の工程も変わります。

言葉やイメージだけがある

形そのものを決める作業が費用の中心になります。参考画像や言葉の仕様から案を作り、確認して直す往復が発生するためです。

この状態では、何をもって完成とするのかが依頼の時点で決まっていません。修正回数の上限を書いていない見積は、往復の回数だけ金額が動きます。公開されている相場が想定しているのは、多くがこの状態です。

写真がある

形の手がかりはありますが、寸法は写真に写りません。実寸へ合わせるには、写り込んだ既知の長さか、別に測った基準の値が要ります。

複数の写真から形を復元する手法(フォトグラメトリ)を使う場合、費用は撮影枚数と対象の表面の状態で動きます。光沢のある面や透明な面は写真から形を求めにくく、その部分だけ人が作り足す作業が加わります。

2D図面がある

形は図面の側ですでに決まっているため、費用は図面を読んで3Dにする工程と、図面と突き合わせて確かめる工程に集まります。ここで効いてくるのは図面の状態です。

DXFやDWG、CADから出力したPDFでは、線が線分のデータとして、寸法が文字として記録されています。紙をスキャンしたPDFや写真では、線も文字も画素の並びでしかなく、読み取りに推定が加わります。同じ枚数でも、後者は確認と修正の工数が増えます。改訂版が混在していて最新版を1枚に特定できない図面は、3Dにしても誰も正だと言えないため、版の確定が先に必要です。

bestat の 3D.Core for CAD は、2D図面から3Dデータを自動生成し、最短1営業日で納品します(プレスリリース)。3D.Core CAD Agent では、AIエージェントが図面を読み取って3Dモデリングを自動化します(note)。どちらの場合も、出力を確認して下流で使える形に仕上げる工程は人の側に残ります。受け取ったあとの確認工数を、見積の外へ置かないようにします。

▶ 関連記事: CAD AI 自動化はどこまでできるか|2D図面3D化の判断基準

現物や点群がある

計測の費用と、計測データから3Dモデルを作る費用が別々に立ちます。現物を持ち込めるのか、現地へ行く必要があるのかで、前者が大きく変わります。

3Dスキャナで測った結果は点群(測った点の座標の集まり)で、点の並びであって面ではありません。干渉を確認したり寸法を測ったりするには、面を持つ形へ変換する工程が加わります。図面が残っていない部品や設備が対象なら、3Dモデルに加えて図面まで作るかどうかで金額の桁が変わります。

▶ 関連記事: リバースエンジニアリング 図面の作り方|現物から3D化する5段階の手順

納品物の指定で金額が動く

何の形式で、どの精度で、何回直すところまでを含むのかを決めていないと、同じ依頼でも見積が割れます。割れた金額を並べても、前提が違うため比較になりません。

決めておく項目

決めていない場合に起きること

発注時に書く形

ファイル形式

開けない形式で届き、変換の往復が発生する

使うソフトと版を指定する

面の持ち方

三角形の集まりで届き、寸法を指定した編集ができない

編集するならCADの面(ソリッド・サーフェス)と書く

寸法と公差

見た目は似ているが、寸法が図面や現物と合わない

合否の基準にする寸法と、許容するずれを書く

修正回数

何度でも直す前提で受け取られ、追加費用の交渉になる

回数と、超えた場合の扱いを書く

権利の扱い

納品後の改変や再利用ができない

譲渡か利用許諾か、譲渡なら範囲を書く

確認する環境

受け取った側が開けず、確認が止まる

誰がどの端末で確認するかを書く

見落としやすいのは確認する環境です。専用ソフトが必要な形式で納品されると、そのソフトを持つ担当者だけが確認できる状態になり、順番待ちが発生します。bestat の 3D.Core for Point Cloud は、専用ソフトのインストールや高性能PCを必要とせず、手元のPC・スマートフォン・タブレットから確認と計測ができる形で提供しています。大容量の点群データを軽量な3Dモデルへ変換し、最短当日中に受け取れます(PR TIMES)。

見積を取る前に決めておくこと

用途、対象の点数、元にする材料の状態、納品形式、期限を先に固めます。この5項目を1枚に書いて同じ文面で複数社へ渡すと、返ってきた金額の差が条件の差なのか、見積の前提の差なのかを見分けられます。

  • 用途: そのデータで終わらせたい判断を1つ書く。見せて説明する、干渉を確認する、寸法を測る、製造へ渡す、のどれか

  • 対象の点数: 1点なのか、同種のものが何十点あるのか。数が多い場合は、1点目と2点目以降で単価が変わるかを聞く

  • 材料の状態: 図面ならファイル形式と枚数、最新版を特定できるか。現物なら持ち込めるか現地か。点群なら取得済みか未取得か

  • 納品形式: 前節の表の項目。決めきれない場合も「誰がどのソフトで開くか」までは書ける

  • 期限: 使う日から逆算した期限。急ぐ理由がなければ、標準の納期を聞いてから決める

用途を決めずに「できるだけ高精度で」と伝えると、金額は上がります。精度は目的が決まらないと上限も決まらないためです。用途を1つ書くと、必要な精度が決まると同時に、外してよい作り込みも見えます。見せて説明するだけの用途に製造向けの精度を求めていないかも、この段階で確かめられます。

見積書を工程別に割って読む

合計金額を見る前に、材料を整える費用、モデルを作る費用、確認と修正の費用へ割ります。一式でしか書かれていない見積は、あとで金額が動いたときに、どこが増えたのかを追えません。

工程

含まれる作業

金額を動かす要因

材料を整える

図面の版の特定、スキャン図面の読み取り、現物の計測、点群の位置合わせ

元データの状態、対象の大きさ、現地作業の有無

モデルを作る

形状の作成、面の作り込み、質感や動きの設定

形の複雑さ、部品の数、面の持ち方

確認と修正

図面や現物との突き合わせ、修正の往復、納品形式への変換

合否の基準の有無、修正回数の上限

3Dモデリングの見積を、材料を整える・モデルを作る・確認と修正の3工程に分けて読む図

一式の金額だけでなく、どの工程にどの作業が含まれるかを分けて確認します。

先に挙げたクラウドソーシングTimesの内訳(モデリング・テクスチャ・リギング)は、この表の「モデルを作る」の中を割ったものです。何もない状態から作るCG制作では、材料を整える工程が小さいため、その割り方で足ります。図面や現物を元にする案件では材料を整える工程が独立した費用として立つので、同じ割り方では読めません。

見積を受け取ったら、3つの工程それぞれについて、何が起きたら金額が変わるのかを聞きます。追加費用の請求は「どの工程が増えたか」の形で説明されるため、最初に割っておけば、交渉ではなく確認で済みます。

内製と外注を同じ物差しで比べる

外注の見積と内製を比べるなら、内製側も人の時間、習熟にかかる期間、ソフトと機材の費用を、同じ期間で数えます。外注の費用は金額として1枚で出てきますが、内製の費用は各所に分散していて、数えないと0円に見えます。

数える項目

内製

外注

人の時間

作業する人の時間×時間単価

条件を書く時間と、受け取って確認する時間

習熟

手順が固まるまでの期間と作り直し

条件の伝え方が固まるまでの往復

ソフト・機材

ライセンス費、PC、計測機器

確認できる環境の用意

件数が増えたとき

人か時間を増やす

件数に比例して増える

終わったあとに残るもの

手順と知見

成果物

内製と外注の費用項目を同じ期間で比較する考え方

どちらかを常に安いと決めるのではなく、両方の費用項目を同じ期間へ揃えて比べます。

内製の人の時間には、作業そのものだけでなく、その間に進まない業務の分も含まれます。担当者がモデリングをしている間に止まる仕事があるなら、それも同じ期間の中で数えます。

数える期間を先に決める

1件だけを見ると内製が安く見え、年単位で数えるとソフトのライセンス費と習熟の期間が加わります。同じ年単位でも、外注の側は件数に比例して増えます。どちらが安いかは、数える期間を決めるまで決まりません。

期間は、そのデータを使う業務が一巡する単位で決めます。年に数回しか発生しない案件と、毎月発生する案件では、同じ「年間」でも意味が違います。件数と発生の頻度を先に書き出してから、期間を決めます。

1件目の費用で判断しない

1件目には、どちらの側にも立ち上げの費用が含まれます。内製の1件目には手順を決める時間と作り直しが、外注の1件目には条件を伝える時間と受入基準を作る時間が含まれます。

比べるのは2件目以降です。1件目の実績だけで年間を推計すると、内製も外注も高く出ます。同じ対象を両方で1件ずつ試して、2件目にかかった時間を記録すると、実際の差が見えます。

よくある質問

作った3Dモデルの著作権は誰のものになりますか

契約で決める項目です。著作権法は、著作権を譲渡する契約において第27条または第28条に規定する権利が譲渡の目的として特掲されていないときは、これらの権利は譲渡した者に留保されたものと推定する、と定めています(著作権法第61条第2項)。第27条は翻訳権・翻案権等、第28条は二次的著作物の利用に関する原著作者の権利です。

そのため、著作権を譲り受ける契約であっても、この2つの条文を契約書に明記していなければ、納品されたモデルを改変して使う権利は譲渡されていないと推定されます。発注時に確認するのは、権利を譲渡するのか利用許諾にとどめるのか、譲渡するなら第27条と第28条を含むと書いてあるか、制作過程の作業ファイルも納品対象に含むか、の3点です。

何のソフトで作るかを確認する必要はありますか

必要です。使うソフトによって、納品できる形式と、後から編集できる範囲が変わります。

確認するのは、ソフト名とバージョン、納品形式、作業ファイルを受け取れるかの3点です。作業ファイルを受け取っても、同じソフトが社内になければ開けません。編集を自社で続ける前提なら、社内にあるソフトで開ける形式を先に指定します。編集しない前提なら、確認用の軽い形式だけで足ります。

点群データからBIMモデルや図面を作る場合、費用の考え方は変わりますか

工程の割り方は同じで、それぞれの工程の中身が変わります。BIM(建物の3次元モデルへ部材の情報を持たせたもの)を作る作業は、点群の見た目を再現するのではなく、点群を柱・梁・壁・配管といった部材へ置き換える作業です。

そのため「モデルを作る」費用は、面の多さではなく、置き換える部材の種類と数で動きます。「材料を整える」費用には、現地での計測と、複数回に分けて測ったデータの位置合わせが加わります。見積を取るときは、対象範囲を面積や階数で示し、どの部材まで作るのかを一覧で指定します。

bestatの料金はいくらですか

料金は要問い合わせです。条件によって通る工程が変わるため、元にする材料と納品形式を伺ってからのお見積りになります。

納期として公表しているのは次の2点です。3D.Core for CAD は2D図面から3Dデータを自動生成し、最短1営業日で納品します(プレスリリース)。3D.Core for Point Cloud は大容量の点群データを軽量な3Dモデルへ変換し、最短当日中に確認・計測できる形で提供します(PR TIMES)。

まとめ

  1. 相場は前提を確かめてから読みます。 公開されている金額の多くはキャラクター・アバター制作が前提で、内訳もテクスチャやリギングを含みます。図面や現物を元にする案件では、内訳の項目そのものが入れ替わります。

  2. 金額を動かすのは、対象の形と、元にする材料と、納品物の指定です。 材料が変われば通る工程が変わり、納品物の指定が抜けていれば、同じ依頼でも見積が割れます。

  3. 見積は工程別に割って読み、内製とは同じ期間で比べます。 材料を整える、モデルを作る、確認と修正の3つへ割り、内製側は人の時間と習熟とソフト費を同じ期間で数えます。


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bestat 編集部について

bestat株式会社は、東京大学 松尾研究室発の産業用3Dデータに特化したAIスタートアップです。製造業・インフラ・土木の現場で、画像・動画・点群・360度動画など、現実空間で取得される多様なデータを高精度に3D化し、取得・生成・処理・活用までを一気通貫して支援する「3D.Core」シリーズを開発・提供しています。https://bestat-data.com/3dcore

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