#3D.Core
鋼橋補修の“施工前検討”を支える、現場目線の3D活用
— 検証フェーズから見え始めた、3Dの使いどころ —

Key View:現場で磨かれる3D活用
老朽化が進むインフラ設備の保守・補修において、現場では今もなお「図面にない現況」と向き合う場面が少なくありません。IHIインフラスクエアでは、こうした課題に対し、まずは検証的に3D.Coreを導入し、鋼橋補修における現況把握や情報共有への活用を試みてきました。その後、実際の現場で使ってみる中で、3D.Coreは単なる3Dデータ生成の手段にとどまらず、施工前検討や関係者間の認識合わせを支えるツールとしての手応えが見え始めています。本事例では、まだ検証段階にありながらも、現場での試行錯誤を通じて浮かび上がってきた「3Dの使いどころ」を、現場目線で紹介します。
株式会社IHIインフラスクエアについて
株式会社IHIインフラスクエア(旧:IHIインフラシステム)は、橋梁分野を中心に、社会インフラの設計・製作・施工・保全を担うエンジニアリング企業です。補修・保全の現場に長年向き合う中で、設計と施工、そして現場をつなぐ実践的な技術とノウハウを蓄積し、日本のインフラを支え続けています。
今回は10月に公開した「IHIインフラスクエア、鋼橋の保守・補修のデジタル化にbestatの『3D.Core』を活用」のニュースをまとめたタイミングから、さらに活用が進んだと伺い、直近の状況についてお話をお伺いしました。
今回お話を伺った皆さま
橋梁建設本部 デジタル改革部 部長 松橋 弘幸様
橋梁建設本部 デジタル改革部 ICT推進第二グループ 課長代理 河上 祐作様
橋梁建設本部 デジタル改革部 ICT推進第二グループ 課長代理 三浦 幸将様
橋梁建設本部 デジタル改革部 ICT推進第二グループ 畠中 光太朗様
3D.Core導入の背景
—鋼橋補修の検討において、どのような課題がありましたか?
松橋様:鋼橋の補修では、まず「現況を正しく把握する」ことが非常に重要です。
ただ、図面が古かったり、実際には図面に載っていない部材が存在していたりと、図面と現地の状況が一致しないケースも少なくありません。
また、橋の桁内部や橋脚周辺など、暗くて狭く、構造が複雑な箇所も多く、その状況を設計担当や発注者に説明すること自体が難しい、という課題がありました。
—3D.Core導入の決め手は何だったのでしょうか?
松橋様:これまでも写真やドローン、3D計測などは活用してきましたが、準備やデータ処理に手間がかかり、必ずしも日常的に使えるものではありませんでした。
河上様:3D.Coreは、スマートフォンや360度カメラといった現場で扱いやすいデバイスで撮影できること、そして撮影データをアップロードするだけで比較的短時間で3D化できることが魅力でした。
「まずは検証として使ってみる」
そう判断できるハードルの低さが、導入の後押しになりました。
施工性を共有・確認する“コミュニケーションツール”としての活用
—実際の現場では、どのように使われていますか?
河上様:桁内部の検討では、ミリ単位の高精度な計測というより、「通れるのか」「部材をどう搬入できるのか」といった施工性を確認するための情報が重要になります。


3Dで見られるようになると、設計図面だけでは分からなかった構造や、図面に記載されていなかった部材の存在にも気づきやすくなりました。
関係者全員が同じ3Dを見ながら話せるので、「ここがこうなっている」という説明が非常にスムーズになります。
暗所・狭隘部でも、まずは検証できる
—最近、構造物内部も3D化していらっしゃるのを拝見しました。暗くて狭い場所の撮影に不安はありませんでしたか?
三浦様:そうですね、新たな活用方法を模索しながら色々な試行をしています。その一つなのですが、最初は正直、不安はありました。場所によっては、錆止めなどの暗い色の塗装が施され照明もない場所が多く、「本当に3Dとして使えるのか」と。
ただ、照明を工夫しながら撮影してみると、施工前検討には十分な情報量の3Dデータが得られることが分かってきました。準備が大変な据え置き型3Dスキャナーを使わなくても、まずは現況を可視化して検討できる。この点は、現場にとって大きなメリットだと感じています。
空間全体を把握するための3D
—そのほかのシーンでも活用されていますか?
畠中様:補修工事では、橋の下部空間を資材置き場や作業ヤードとして使うこともあり、その配置検討の利用も進めています。こうした空間を3Dで把握できると、車両や資材の動線、高さや幅の制約などを空間として直感的に検討できるようになります。
特定の案件に限らず、補修工事全般に共通する検討シーンで、3Dの有効性を感じています。
検証を通じて見え始めた、次の可能性
—今後、3D活用はどのように広がっていくとお考えですか?
松橋様:現時点では、まだ検証フェーズではありますが、実際に使ってみることで「どういう場面で3Dが効くのか」が少しずつ見えてきました。
特に、施工前の検討や関係者間の認識合わせといった部分では、3Dが有効な“共通言語”になり得ると感じています。
今後は、こうした検証結果を踏まえながらさらに検証を進め、現場にとって無理のない形で活用の幅を拡げていければと考えています。
編集後記|検証の現場から立ち上がる、次のスタンダード
鋼橋補修の現場では、施主や工事に携わる様々な関係者に「現場をどう共有するか」が重要なテーマの一つです。IHIインフラスクエアで進められている3D.Coreの活用は、まだ検証段階にありながらも、現場での実践を通じて“使いどころ”が具体化し始めています。
bestatは今後も、現場の試行錯誤に寄り添いながら、3Dデータを「作る」だけでなく、「現場で使い続けられる」かたちへと進化させていきます。リアルな現場で得られる知見とデジタルの力をつなぎ、インフラ保全における次のスタンダードづくりを支援していきます。


