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点群データ 3Dモデル化の手順|メッシュ・サーフェスの選び分け

計測して得た点群は、点が並んでいるだけの状態です。そのままでは面が無いため、寸法を測れる範囲も、渡せる相手も限られます。3Dモデルにすると扱える幅は広がりますが、どの形式へ変換するかで、その後にできることが変わります。
本記事では、点群データを3Dモデルにする手順、メッシュとサーフェスの違いと選び分け、分野ごとの活用例、そして変換して終わりにしないための判定を整理します。
執筆: bestat 編集部
点群データの3Dモデル化とは
点群データの3Dモデル化とは、点の集まりを面を持つデータへ変換することです。
点群は座標を並べたデータで、点と点のつながりを持ちません。そのため拡大すると点の隙間から背景が透け、点が無い位置では寸法を測れません。面にすると、手前の物が奥の物を隠し、面の上の任意の位置で長さを取れるようになります。
変換で増えるのは「どの点とどの点がつながっているか」の情報で、座標そのものは変わりません。精度は計測した時点で決まっており、モデル化で上がることはありません。
点群データを3Dモデル化する手順
大きく3段階です。
1. 点群データを取得する
レーザースキャナーで測るか、写真から復元します。ここで決まるのは、点の細かさ(点密度)、色の有無、そしてどの面が取れていてどの面が空白かです。
取得の段階で見えていなかった面は、後の工程で作ることはできません。埋めれば見た目は整いますが、それは推定であって計測値ではありません。
2. ノイズ除去と位置合わせ
取得したままの点群には、面にしてはいけない点が混ざっています。作業者、通行する車両、植生、反射による浮遊点などです。これらを残したまま面を作ると、通路の真ん中に壁ができます。
複数回に分けて測った場合は、それらを1つの座標系にまとめる位置合わせも行います。ここでのずれは後の全工程に持ち越されるため、断面を表示して同じ面が二重になっていないかを確認します。
3. メッシュまたはサーフェスへ変換する
前処理を終えた点群から面を作ります。どちらの形式にするかで、その後にできることが変わります。
メッシュとサーフェスの選び分け
同じ「面を持つ3Dモデル」でも、面の持ち方が違います。

メッシュ | サーフェス | |
|---|---|---|
面の持ち方 | 三角形や四角形の集まり | 数式で表した曲面(NURBSなど) |
得意な形 | 起伏のある地形、複雑な構造物 | 滑らかな曲面、機械部品 |
実測との関係 | 計測点をそのまま頂点に使える | 形を当てはめるため、ずれが出る |
データ量 | 細かくすると急に増える | 比較的軽い |
向く用途 | 現況を見せる、干渉を確認する | 設計や加工の元にする |
選ぶ基準は、そのデータで何をするかです。
現況を見せる、距離を測る、干渉を確認する — メッシュで足ります。実測に忠実で、点が無い場所は穴として残るため、どこまでが計測結果かが分かります
設計変更の元にする、加工へ渡す — サーフェスが要ります。ただし当てはめの作業が入るため、元の点群とのずれを別に確認する必要があります
迷ったらメッシュから始めるのが確実です。 サーフェス化は工数が大きく、後戻りしにくいためです。用途が「見る・測る」で足りるなら、サーフェスにする必要はありません。
分野ごとの活用例
点群の3Dモデル化は、業種を問わず現況を記録したい場面で使われています。
土木・インフラ
橋梁やトンネルは、竣工時の図面が残っていても補修や改修が反映されていないことがあります。国土交通省 国土技術政策総合研究所は、インフラ維持管理における既設構造物の3次元点群データ計測及びモデル作成の手引きを公開しており、この分野での活用が想定されています。
自治体・防災
自治体が広域を計測して公開している例があります。静岡県は「VIRTUAL SHIZUOKA」として、レーザスキャナ等で測量した3次元点群データをCC BY 4.0に基づいたオープンデータとして公開しており、まちづくり、インフラの維持管理、防災対策などでの活用が想定されています。
都市
国土交通省はPLATEAUを「日本全国の都市デジタルツイン実現プロジェクト」と位置づけ、整備した3D都市モデルをオープンデータとして公開しています。
工場・プラント
配管や架台が密集した設備では、図面だけで改修計画を立てるのが難しくなります。bestatは稼働中の工場での実証で、工場全体をFARO製3Dスキャナーで計測し、一部の設備にはスマートフォンによる撮影を併用しました(出典)。
「3Dモデルになった」で終わらせない
変換が完了しても、それだけでは業務は変わりません。判定すべきなのは、そのモデルを使って、これまで現地で確かめていた判断が何件、机上で終わったかです。
次の3点を確認してください。
判断する人の端末で開けるか。 点数が多いモデルは重く、作業用のPCで開けても現場のタブレットで開けないことがあります。開けなければ精度が高くても使われません。
どこまでが実測かが分かるか。 穴埋めや橋渡しで作った面は推定です。実測の領域と後から見分けられる状態にしておかないと、推定の面を寸法の根拠にしてしまいます。
次の工程が受け取れる形式か。 閲覧用とCAD用では必要な形式が違います。正本をどれにするかを先に決めておきます。
よくある質問
点群データを3Dモデル化するのに専用ソフトは必要ですか
変換の処理には、点群を扱えるソフトが要ります。無償・オープンソースのものでも一通りできますが、大容量を安定して処理できるか、手順を標準化できるかで商用のものと差が出ます。
3Dモデル化すると精度は上がりますか
上がりません。精度は計測した時点で決まっており、変換は「どの点とどの点をつなぐか」を決める処理です。細かいメッシュを作っても、点の間隔より細かい形状は現れません。
CADで編集できるデータになりますか
メッシュのままでは編集できません。寸法を数値で指定して変える操作には、寸法の拘束を持ったCADのモデルが要ります。そこまで進めるには、サーフェス化やCADでの再モデリングという別の工程が必要です。
どのくらい時間がかかりますか
点の数、範囲の広さ、穴埋めが必要な範囲で大きく変わります。見積を比べるときは、どの段階まで含むのか(前処理までか、メッシュまでか、サーフェスまでか)を揃えて確認してください。
まとめ
点群データの3Dモデル化は、次の3点で結果が変わります。
手順は取得・前処理・変換の3段階です。 取得の段階で見えていなかった面は、後の工程では作れません。
メッシュとサーフェスは用途で選びます。 見る・測るならメッシュ、設計や加工へ渡すならサーフェスで、迷ったらメッシュから始めます。
変換の完了は成果ではありません。 判断する人の端末で開けるか、どこまでが実測か分かるか、次の工程が受け取れる形式かを確認します。
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bestat 編集部について
bestat株式会社は、東京大学 松尾研究室発の産業用3Dデータに特化したAIスタートアップです。製造業・インフラ・土木の現場で、画像・動画・点群・360度動画など、現実空間で取得される多様なデータを高精度に3D化し、取得・生成・処理・活用までを一気通貫して支援する「3D.Core」シリーズを開発・提供しています。https://bestat-data.com/3dcore
参考文献
国土交通省 国土技術政策総合研究所「インフラ維持管理における既設構造物の3次元点群データ計測及びモデル作成の手引き」(令和4年4月):https://www.nilim.go.jp/lab/qbg/researchfields/pdf/2204_3d-data-for-infra-maintainance-guidance.pdf
静岡県「静岡県が進める VIRTUAL SHIZUOKA構想 とは?」:https://www.pref.shizuoka.jp/machizukuri/1049255/1052183.html
国土交通省「Project PLATEAU」:https://www.mlit.go.jp/plateau/
note「Monthly bestat 3月号」:https://note.com/bestat/n/nb03beac7e279

