2026.09.03

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点群データ カメラ・機器6選|LiDARとの違いと選び方

点群データは、一般的なデジタルカメラだけでなく、深度カメラやLiDAR(レーザー計測)、それらを載せたスマートフォン・ドローンなどから取得できます。ただし、広い現場を測る機器と、小さな対象を手軽に記録する機器は別物です。

この記事では、点群を取得するカメラ・機器を6種類に整理し、違いと選び方をわかりやすく解説します。先に結論を言うと、機種のスペックを見る前に「何を判断するための点群か」「対象の大きさ」「必要精度」を決めることが重要です。

執筆: bestat 編集部


点群データを取得するカメラとは

「点群カメラ」は特定の1製品を指す言葉ではありません。一般のカメラで撮った複数画像から点群を計算する方法と、LiDARやToFなどのセンサーで距離を測り点群を直接得る方法の総称として使われています。

写真測量(フォトグラメトリ)は、重なりのある画像から同じ特徴点を探し、カメラ位置と対象の三次元形状を復元します。一方、LiDARはレーザー光が戻るまでの時間などから距離を測ります。ステレオカメラは左右画像の視差、ToFカメラは光の飛行時間から奥行きを求める方式です(村田製作所「拡がる点群データの活用」)。

カメラ撮影とレーザー計測から点群が生まれる2つの流れを表したビジュアル

点群データを取得する機器6種類の比較

実務で使われる取得方法は、次の6種類に整理できます。同じ分類でも製品による差が大きいため、表は機種を絞り込むための出発点として使ってください。

種類

点群の作り方

得意な対象

主な長所

主な注意点

写真測量用カメラ

複数の写真・動画から三次元形状を復元

部品、建物外観、地形

色や模様を再現しやすく、手持ちのカメラも使える

反射面・透明面・模様の少ない面、暗所が苦手

ステレオ・RGB-D・ToFカメラ

視差または光の飛行時間から深度を算出

ロボット周辺、設備、室内

点群をリアルタイムに扱いやすい

測定距離や屋外光への強さは製品差が大きい

地上型レーザースキャナー(TLS)

三脚に据え、周囲へレーザーを照射

工場、建築物、プラント、地形

広い空間を高密度に測りやすい

死角を埋める据え替えと点群の位置合わせが必要

ハンディ・SLAMスキャナー

歩きながらレーザー計測と自己位置推定

建物内部、通路、稼働現場

広い範囲を短時間で回りやすい

移動経路や自己位置推定のずれが品質に影響

ドローン搭載カメラ・LiDAR

上空から写真撮影またはレーザー計測

地形、屋根、法面、広い構内

地上から届かない場所を面的に取得できる

飛行条件、許可・承認、天候、死角の確認が必要

LiDAR搭載スマホ・タブレット

内蔵LiDARとカメラ、姿勢センサーを利用

室内、小規模設備、部分補完

導入しやすく、その場で結果を確認しやすい

長距離・広範囲・測量成果には不向き

写真測量用カメラ

デジタルカメラ、アクションカメラ、ドローンカメラなどで対象を多方向から撮影し、SfM/MVSソフトで点群化します。写真由来なので色を持つモデルを作りやすく、対象の大きさに合わせてカメラを選べるのが利点です。

一方、水面、光沢の強い素材、模様の乏しい面は対応点を見つけにくく、欠損や変形の原因になります(Pix4Dによる解説)。撮影枚数だけでなく、画像の重なり、ピント、露出、被写体との距離を一定にする手順が必要です。

ステレオカメラ・RGB-Dカメラ・ToFカメラ

ステレオカメラは2台以上のカメラの視差から、RGB-Dカメラはカラー画像と深度画像から点群を生成します。ToFカメラは照射した光が戻るまでの時間から、画面内の各位置の奥行きを測ります。

ロボットの障害物認識、設備の位置検出、検品など、連続して深度を得たい用途に向きます。ただし、測定距離、視野角、屋外対応、深度精度は製品ごとの差が大きいため、カタログでは「何m先で、どの精度か」まで確認します。

地上型レーザースキャナー

三脚に固定して周囲をレーザー計測する方式です。工場や建築物の現況記録、改修設計、出来形確認など、形状を安定して取得したい場面の中心的な選択肢です。たとえばLeica BLK360の公式仕様は、測定範囲0.5〜45m、3D点精度4mm(10m地点)としています(Leica Geosystems公式仕様)。

ただし、この数値は特定機種・所定条件での仕様です。現場では設備の裏側や遮蔽物の向こうにレーザーが届かないため、複数地点から測り、点群を同じ座標へ統合します。必要な据え替え回数まで見積もることが大切です。

ハンディ・SLAMスキャナー

人が持つ、背負う、台車に載せるなどして移動しながら点群を取得します。SLAMは、周囲の形を照合しながら機器自身の位置を推定する技術です。三脚を何度も据え直しにくい建物内部や長い通路を、短時間で記録したいときに向きます。

似た形が続く場所、特徴の少ない長い通路、急な動きでは自己位置推定が不安定になり得ます。始点へ戻る経路を作る、既知点で確認する、速度を一定にするなど、メーカーの推奨手順を含めた試験計測が必要です。

ドローン搭載カメラ・LiDAR

カメラ搭載ドローンは上空から重複写真を撮影して点群化し、LiDAR搭載ドローンはレーザーで地表や構造物までの距離を測ります。屋根、法面、広い造成地など、地上から見渡せない対象に有効です。

屋外飛行では機器性能より先に飛行可否を確認します。空港周辺、緊急用務空域、地上・水面から150m以上、人口集中地区などは許可が必要となる場合があり、夜間・目視外などの飛行方法にも承認の条件があります(国土交通省「無人航空機の飛行禁止空域と飛行の方法」)。

LiDAR搭載スマートフォン・タブレット

LiDAR搭載端末と対応アプリを使えば、室内や設備の一部を手軽に点群化できます。AppleもLiDARスキャナについて、光の距離を測って画素単位の深度情報を利用する仕組みと説明しています(Apple公式)。

スマホは移動しながら自己位置を推定するため、ゆっくり動かすことが重要です。東京都の取得ガイドも、正確な自己位置推定のため「ゆっくりと移動しながらスキャンする」ことを挙げています(東京都「職員による点群データ取得・活用ガイド」)。

カメラ方式とLiDAR方式はどう違う?

選び方の基本は、写真から点群を「計算する」カメラ方式と、距離を「測る」LiDAR方式の違いを理解することです。どちらが常に高精度という関係ではなく、対象物、撮影条件、基準点、機器の性能で結果は変わります。

比較項目

カメラ方式(写真測量)

LiDAR方式

距離の求め方

複数画像の共通点と撮影位置から計算

レーザーの反射から直接計測

色・質感

写真の色情報を生かしやすい

内蔵・外付けカメラで色を付ける製品もある

得意な対象

模様や凹凸があり、十分に明るい対象

形状計測、模様の少ない面、暗所

苦手な対象

透明・反射・単色面、動く対象、暗所

鏡面・透明体、レーザーが遮られる場所

現場での確認

撮影後の解析が必要

取得中に点群を確認できる製品が多い

主なコスト

カメラに加え、解析時間とソフト

センサー本体に加え、位置合わせと処理ソフト

同じ工場設備を写真測量とLiDARで取得した際の特徴を左右で対比したビジュアル

点群カメラ・機器の選び方5ステップ

機器選定は、精度や価格の一覧から始めると判断しにくくなります。次の順番なら、必要以上に高価な機器を選ぶことも、必要な成果が得られない機器を選ぶことも避けやすくなります。

  1. 用途と成果物を決める:現況閲覧、寸法確認、CAD/BIM化、出来形管理など、点群を何に使うかを明文化する

  2. 対象の大きさと距離を測る:部品、1室、工場全体、屋外地形では適する方式が異なる

  3. 必要精度と検証方法を決める:「高精度」ではなく、許容誤差と確認する基準点を数値で決める

  4. 現場の制約を確認する:三脚を置けるか、歩けるか、設備を止められるか、飛行・撮影が許可されるかを確認する

  5. 実データで試す:代表的な難所を同じ手順で2回取得し、欠損、ずれ、処理時間、閲覧環境まで評価する

部品、室内、工場、屋外地形から適した計測機器を選ぶ流れを表した俯瞰ビジュアル

選定時に確認したい仕様

カタログでは「精度」だけでなく、精度が成立する距離と条件、最大・最小測定距離、点群密度、視野角、取得速度、屋外対応を確認します。カラー点群が必要なら、内蔵カメラの有無と色付けにかかる時間も比較します。

運用面では、本体重量、連続稼働時間、データ容量、対応形式、位置合わせ方法、必要なPC性能、ソフトの費用も重要です。取得後に社内で開けない、別ソフトへ渡せないという問題は、センサーの精度では解決できません。

点群の精度を左右する4つの撮り方

同じ機器でも、①対象との距離・角度、②移動速度、③区間の長さ、④明るさで結果が変わります。写真測量では画像の重なりとピント、SLAMやスマホでは自己位置推定が途切れない経路、据置型では死角を補う設置位置が特に重要です。

国土技術政策総合研究所の道路実験では、4K・100fpsのウェアラブルカメラ動画をSfM/MVS処理した点群は概ね鉛直・平面方向±20mm以内でしたが、夜間には±200mmを超える場合がありました。また簡易LiDARは広い範囲ほど精度が落ち、10m程度に分けることが望ましいと報告されています(NILIM研究資料)。これは道路での特定条件の結果であり、工場や部品へ数値をそのまま一般化はできません。

工場設備を正しい距離と一定速度で複数方向から計測する作業イメージ

再現できる撮影手順を残す

試験計測では「きれいに見えるか」だけでなく、必要箇所の欠損率、既知寸法との差、位置合わせ後のずれ、取得から閲覧までの所要時間を記録します。別の担当者が同じ結果を出せるかも確認してください。

手順書には、開始位置、移動経路、対象との距離・角度、移動速度、区間の切り方、照明、再撮影の判定条件を残します。機種のカタログ精度より、この再現性が日常運用の品質を左右します。

用途別のおすすめ

用途

第一候補

選ぶ理由・補足

部品や文化財を色付きで3D化

写真測量用カメラ

多方向から近接撮影しやすい。反射・透明面は対策が必要

ロボットの周囲認識・検品

ステレオ/RGB-D/ToFカメラ

深度を連続取得しやすい。距離と屋外光の条件を確認

工場・建物を改修設計に使う

地上型レーザースキャナー

広い空間を高密度に取得しやすい。死角は据え替えで補う

建物内部を短時間で記録

ハンディ・SLAMスキャナー

歩きながら取得できる。閉ループ経路と既知点で検証

地形・屋根・法面を測る

ドローン搭載カメラ/LiDAR

上空から面的に取得できる。植生の有無と飛行条件で方式を選ぶ

小規模設備の記録・欠損補完

LiDAR搭載スマホ/タブレット

手軽で現場確認が速い。範囲を小さく区切る

1つの方式で全範囲を取る必要はありません。たとえば工場全体は地上型またはSLAM、設備の裏側はスマホ、屋根はドローンというように、死角ごとに方法を組み合わせるほうが合理的な場合があります。

取得後まで含めた導入の流れ

点群活用は、①計測計画、②取得、③ノイズ除去・位置合わせ、④軽量化・変換、⑤共有・計測、⑥CAD/BIM化や解析、という流れで進みます。納品条件には座標系、必要な点密度、ファイル形式、カラーの有無、区画の統合範囲を記載します。

大容量の点群は、専用ソフトや高性能PCがない部門では扱いにくいことがあります。bestatの「3D.Core for Point Cloud」は100GB超の点群にも対応し、用途に応じた軽量化と、ブラウザでの閲覧・共有を支援します(公式サービス情報)。取得機器だけでなく、利用者が実際に開ける状態まで設計してください。

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まとめ

点群データを取得するカメラ・機器は、写真測量、深度カメラ、地上型レーザー、SLAM、ドローン、LiDAR搭載端末の6種類です。色を重視するならカメラ方式、形状を安定して測るならLiDARが候補になりますが、対象と条件によって最適解は変わります。

選定では、用途、対象範囲、許容誤差、現場制約、取得後の使い方を先に決め、代表的な難所で試験計測します。カタログ値だけで決めず、別の担当者でも再現できる撮影手順まで用意することが成功のポイントです。


よくある質問

普通のカメラでも点群データを作れますか?

はい。対象をさまざまな角度から重なりを持たせて撮影し、写真測量ソフトで処理すれば点群を作れます。ただし、寸法精度が必要な場合は基準となる長さや標定点を用意し、成果を検証してください。

LiDARと点群データの違いは何ですか?

LiDARはレーザーで距離を測る技術、点群データは三次元座標を持つ点の集合です。LiDARの出力が点群になる一方、点群は写真測量やステレオカメラからも生成できます。

スマートフォンのLiDARは業務に使えますか?

小規模な設備や室内の現況記録、既存点群の部分的な補完なら有力です。広い範囲や測量成果に使う場合は、既知寸法との比較、区間分割、必要に応じた外部測位機器の利用を検討してください。

点群カメラの価格は何で決まりますか?

センサーの測定距離・精度・速度、本体の移動方式、カメラ、測位機能、付属ソフトで変わります。導入費だけでなく、据え替えや再撮影、解析、ライセンス、PC、教育を含む総コストで比較します。

点群取得を外注するとき、何を伝えればよいですか?

利用目的、対象範囲、必要な箇所、許容誤差、座標系、納品形式、カラーの要否、閲覧者の端末、現場の立入・停止・撮影制限を伝えます。機種を指定するより、成果物の合格条件を明確にするほうが見積もりを比較しやすくなります。


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bestat 編集部について

bestat株式会社は、東京大学 松尾研究室発の産業用3Dデータに特化したAIスタートアップです。製造業・インフラ・土木の現場で、画像・動画・点群・360度動画など、現実空間で取得される多様なデータを高精度に3D化し、取得・生成・処理・活用までを一気通貫して支援する「3D.Core」シリーズを開発・提供しています。

https://bestat-data.com/3dcore


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