2026.09.03

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点群データ取得方法|機材の選び方と計測手順をわかりやすく解説

点群データは、レーザーで距離を測る方法と、複数の写真から形状を計算する方法で取得できます。機材を先に選ぶのではなく、「何を判断するために、どの範囲を、どの細かさで測るか」を決めるのが失敗を減らす近道です。

本記事では、5つの代表的な取得方法の違いと選び方、下見からデータ共有までの手順を、工場・設備の計測を中心に解説します。

執筆: bestat 編集部

点群データとは

点群データは、物体や地形の表面をX・Y・Zの座標を持つ多数の点で表した3次元データです。機器や設定によって、色、レーザー反射強度、分類などの情報も持ちます。国土地理院が公開する航空レーザ点群も、緯度・経度・高さに加えて色情報や反射強度などを含みます(国土地理院「点群データ」)。

点群は「点の集合」であり、そのままCADの面や部品にはなりません。用途によって、ノイズ除去、複数計測の位置合わせ、座標変換、間引き、メッシュ化、CAD化などの後処理が必要です。

点群データを取得する5つの方法

代表的な方法は、地上型レーザースキャナー、ハンディ・バックパック型LiDAR、スマートフォン・タブレット、写真測量、ドローン計測です。レーザーは対象までの距離を直接測り、写真測量は重なりのある画像から同じ特徴点を探して3次元座標を計算します。

地上型レーザー、ハンディLiDAR、スマートフォン、カメラ、ドローンによる点群取得方法

取得方法

得意な対象

特徴

主な注意点

地上型レーザースキャナー(TLS)

工場、建屋、設備、構造物

据え置いて高密度に計測しやすい

複数位置のデータ結合と死角対策が必要

ハンディ・バックパック型LiDAR

屋内、通路、広い施設

歩きながら短時間で取得しやすい

自己位置推定のずれ、往復時の重複に注意

スマートフォン・タブレット

小範囲、補測、現況記録

手軽で、その場で確認しやすい

範囲・距離・端末性能に制約がある

写真測量(SfM)

物体、外観、色が重要な対象

一般的なカメラでも始められる

光沢・透明・無地・暗所が苦手

ドローン

屋根、造成地、斜面、広域

人が近づきにくい範囲を上空から取得

飛行ルール、天候、屋内・狭所に制約

国土地理院は、地上レーザ測量を、レーザーが届く範囲を短時間で網羅的かつ高精度に取得できる方法と説明しています(地上レーザ測量システムを用いた三次元点群合成マニュアル)。一方、レーザーが届かない裏側には点が生まれないため、据える位置と重なりを計画する必要があります。

取得方法の選び方

選定基準は、必要精度、対象範囲、現場条件、色の必要性、更新頻度の5つです。「最高性能の機材」ではなく、用途に必要な品質を現場条件の中で安定して得られる方法を選びます。

条件

向きやすい方法

設備間の離隔や据付位置を確認したい

地上型レーザースキャナー

建屋内を短時間で一周して現況を残したい

ハンディ・バックパック型LiDAR

既存点群の小さな欠損を現場担当者が補いたい

スマートフォン・タブレット

製品外観や色・テクスチャを重視したい

写真測量

屋根・造成地・斜面など広域を測りたい

ドローンレーザーまたはドローン写真測量

必要精度、範囲、現場条件、色情報、更新頻度から取得方法を選ぶ様子

必要精度と「見たい最小物」を決める

「高精度で」では、計測仕様を決められません。通路幅を100 mm単位で確認するのか、アンカーボルトを数mm単位で確認するのかを具体化します。見たい最小物が小さくなるほど、対象へ近づく、点密度を上げる、別の計測方法を併用するといった対応が必要です。

精度、点間隔、再現性は分けて考えます。点が細かく並んでいても、全体の位置がずれていれば図面とは重なりません。既存CADや別日の点群と比較するなら、座標系、基準点、検証点を計画に入れます。

対象範囲と計測時間を確認する

小さな設備の補測と、工場棟全体の現況取得では適した方法が違います。短時間で広く歩けるSLAM型は全体把握に向き、据え置き型は重要箇所を複数方向から丁寧に取る用途に向きます。必要に応じて「全体は可動式、重要設備は据え置き式」のように組み合わせます。

設備停止が必要なら、計測時間だけでなく立入制限、機材移動、その場での確認時間も含めます。次に停止できる日が遠い場合は、必須範囲を先に測る優先順位を決めます。

光・表面・遮蔽物を確認する

写真やカメラで自己位置を推定する方式は、暗所や模様の少ない場所で不安定になりやすくなります。東京都の点群取得ガイドでは、使用機材などで基準は異なるとした上で、検証したスマートフォン構成では2.5ルクス未満で適切に取得できない可能性が高いとしています(東京都「職員による点群データ取得・活用ガイド」)。

黒い面、鏡面、透明体、水面は欠損やノイズの原因になります。配管の裏や設備の下面は方式にかかわらず死角になるため、現地で機器を置ける場所を確認し、必要なら足場・照明・一時撤去を手配します。

点群データ取得の手順

工程は、目的・仕様の決定、下見、計測、現地確認、後処理・納品の5段階です。東京都のガイドも「事前準備、点群データ取得、後処理」の流れで整理しており、国土技術政策総合研究所の手引きも現地踏査と計測後確認を独立した工程に置いています(国総研「3次元点群データ計測及びモデル作成の手引き」)。

目的設定、下見、計測、現地確認、後処理と納品の5段階

1. 目的と仕様を決める

利用者、判断したいこと、対象範囲、必要精度、座標系、色情報、納品形式を1枚にまとめます。納品物には、原データ、処理済み点群、位置合わせ情報、取得条件、欠損箇所、精度確認結果を含めるかを決めます。

発注時は「工場を点群化」ではなく、「搬入経路の最小幅を確認できる点群」のように用途を伝えます。用途が決まれば、必要な面と不要な細部を分けられます。

2. 下見と計測計画を行う

機器を置く位置または歩行経路、位置間の重なり、立入制限、設備停止、照明、電源、反射物、移動物を確認します。人物や車両が通ると安全リスクとノイズが増えるため、時間帯と区画管理も決めます。

固定式では、同じ対象を異なる方向から測り、共通部分を確保します。可動式では、急旋回や無計画な往復を避け、ループが閉じる経路を作ります。

3. 計測しながら品質を確認する

機器の水平・校正状態、保存先、バッテリー、時刻を確認してから計測します。重要面にはできるだけ正対し、距離と入射角が大きくなりすぎない位置を選びます。

その場で点群を表示し、重要対象、区画の継ぎ目、死角を確認します。機材を片付ける前なら再計測できますが、撤収後は設備停止や立入申請からやり直す可能性があります。

4. 位置合わせ・ノイズ除去・座標変換を行う

複数位置の点群を共通部分やターゲットで位置合わせし、通行人、反射ノイズ、不要物を除きます。別データと重ねる場合は、指定座標系へ変換し、検証点でずれを確認します。

軽量化のために点を間引く場合は、原データを別に保管します。判断に必要な小物まで消えていないか、実際の利用端末で確認してから共有版を確定します。

5. 納品・共有する

納品は、原データ、利用用データ、計測記録の3点セットにします。計測記録には、機材、設定、取得日時、座標系、基準点、対象外範囲、欠損、処理内容を残します。

大容量点群は受け取れても開けないことがあります。利用者のPCやタブレットで表示・計測できるかを納品条件に含め、必要に応じて軽量版やWebビューアを用意します。

自社計測と外注の判断基準

狭い範囲を頻繁に記録し、用途が現況確認に限られるなら自社計測が向きます。広範囲、高精度、公共座標、第三者へ説明できる精度管理、危険区域が必要なら専門業者へ依頼しやすい領域です。

自社計測が向く

外注が向く

小範囲の補測・日常記録

工場棟・構造物・広域地形

同じ対象を頻繁に更新

一度の停止時間で確実に取得

相対的な形状確認が中心

絶対座標や精度証明が必要

社内利用に限定

設計・施工・検査へ使用

判断が難しい場合は、重要設備1台で試験計測し、見たい最小物が読めるか、CADと重なるか、利用端末で開けるかを確認します。機材スペックの比較より、実データで合否を決める方が確実です。

取得時によくある失敗と対策

点群取得で起きる死角、位置ずれ、移動体ノイズ、過大容量の4つの失敗

失敗

主な原因

対策

配管裏や下面が抜ける

1方向からしか計測していない

据える位置を増やし、重要面へ正対する

区画の継ぎ目が二重になる

共通部分や基準点が不足

重なりとターゲットを計画する

人や車両がノイズになる

立入制限がない

時間帯を選び、作業区画を管理する

データが重くて開けない

目的なく高密度で取得

原寸を保管し、用途別に間引き・分割する

図面と重ならない

座標系・基準点が未指定

発注仕様と納品記録に明記する

最も大きな失敗は、取得できたかどうかだけで撤収することです。現場を離れる前に「判断したい対象が読めるか」を確認してください。点数が多くても、必要な面が欠けていれば使える点群ではありません。

よくある質問

iPhoneやiPadで点群データを取得できますか?

LiDAR搭載端末や対応アプリで取得できます。設備の補測、室内の概略、現況記録には便利ですが、端末・アプリ・環境で精度が変わります。設計や検査に使う場合は既知寸法や検証点で確認し、必要なら専門機器と併用します。

写真から点群データを作れますか?

作れます。対象を異なる角度から重なりを持たせて撮影し、SfMソフトで共通の特徴点からカメラ位置と形状を推定します。光沢、透明、無地、動く対象は復元しにくいため、撮影条件とスケール基準の準備が重要です。

点群データの主なファイル形式は?

LAS/LAZ、E57、PLY、PTS/PTX、XYZなどがあります。ソフト間で対応形式、座標、色、反射強度の保持状況が異なるため、納品形式は利用ソフトで事前に読み込みテストをします。

点群からCADデータを作れますか?

作れますが、自動的に編集可能なCADへ変わるわけではありません。点群を参照して断面線を引く、メッシュ化する、サーフェスやソリッドを作り直すなど、用途に応じた工程が必要です。

まとめ

点群データの取得方法は、必要精度と対象範囲、現場条件から選びます。方法が決まったら、下見で死角と基準点を計画し、現地を離れる前に重要対象・継ぎ目・欠損を確認してください。原データだけでなく、処理済みデータと計測記録までそろって初めて再利用できます。

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bestat 編集部について

bestat株式会社は、東京大学 松尾研究室発の産業用3Dデータに特化したAIスタートアップです。製造業・インフラ・土木の現場で、画像・動画・点群・360度動画などから3Dデータを生成・処理・活用する「3D.Core」シリーズを開発・提供しています。

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