2026.09.07

  • #お役立ちコラム

オルソ画像とは|空中写真との違いと作り方、点群との使い分け方

オルソ画像は、空中写真を地図と同じように真上から見た位置と大きさへ直した画像です。見た目はふつうの航空写真とよく似ているため、地図に重ねてよいのか、写っているものの長さを測ってよいのかが分かりにくい言葉でもあります。

この記事では、オルソ画像の定義、空中写真がずれて写る理由、作られ方、真正射(トゥルーオルソ)との違いを順に説明します。あわせて、オルソ画像で測れる範囲、国土地理院からの入手方法、点群データと重ねるときに確認する項目を整理します。ドローンの飛行手続きと、作成ソフトの操作手順は扱いません。

執筆: bestat 編集部


オルソ画像とは

オルソ画像は、空中写真に生じている像の位置ずれを取り除き、地図と同じように真上から見た形と位置で表した画像です。国土地理院は「オルソ画像について」で次のように説明しています。

オルソ画像は、写真上の像の位置ズレをなくし空中写真を地図と同じく、真上から見たような傾きのない、正しい大きさと位置に表示される画像に変換したもの

身近なところでは、地図アプリの航空写真表示、自治体が公開している空中写真の地図、ドローンで撮った現場を1枚につないだ平面図が、いずれもオルソ画像です。地図や図面の上に重ねて使えるのは、画像の画素ごとに地上のどの位置に当たるかが決まっているためです。

呼び方は場面で変わります。オルソフォト、正射画像も同じ成果物を指します。公共測量では「写真地図」が正式な作業名です。測量法にもとづいて公共測量の作業方法を定めた作業規程の準則(平成20年国土交通省告示第413号、令和7年3月31日一部改正)は、第308条で写真地図作成を定義しています。数値写真を正射変換して正射投影画像を作り、必要に応じてモザイク画像と写真地図データファイルを作る作業とされています。

空中写真とは何が違うのか

違いは、写真の写り方そのものにあります。空中写真はレンズの1点へ光を集めて撮る中心投影のため、対象が高いほど、また写真の中心から離れるほど、上部が外側へ倒れて写ります。オルソ画像は、この倒れ込みを標高のデータを使って取り除いてあります。

国土地理院は、ずれが生じる理由を次のように説明しています(オルソ画像について)。

航空カメラで撮影された空中写真は、レンズの中心に光束が集まる中心投影なので、レンズの中心から対象物までの距離の違いにより、写真上の像に位置ズレが生じます

中心投影の空中写真では建物が外側へ倒れ、正射変換後は真上から見た位置に直る違い

倒れ込みは、写真の中心から外周へ向かって広がります。国土地理院の調査報告書「固定資産税調査用空中写真撮影の実態に関する調査業務」(平成30年2月)も、同じ見方を示しています。1枚ずつ面で写す一般的な航空カメラ(フレームセンサー)では空中写真が1枚ごとに中心投影となり、写真の中心から外周に向けて地形や構造物が倒れ込んで写る、という説明です。

項目

空中写真(中心投影)

オルソ画像(正射投影)

写り方

レンズの1点から見た像

真上から見た像

高いものの見え方

写真の外側へ倒れる

地表面の高さを基準に位置を直してある

縮尺

場所や高さによって変わる

画像全体でそろう

地図との重ね合わせ

そのままでは合わない

位置情報を持ち、重ねられる

向く使い方

現地の判読、立体視

位置の確認、他の地理空間データとの重ね合わせ

オルソ画像ができるまで

作成は、撮影から始まり、基準になる点の設置、写真をまとめて調整する計算、標高モデルの作成、正射変換、つなぎ合わせの順に進みます。準則第311条は、公共測量での工程を作業計画から成果等の整理まで11段階で定めています。

重なりのある空中写真と標高モデルを使い、位置合わせ、正射変換、モザイクを経てオルソ画像を作る流れ
  1. 作業計画 — 撮影範囲、必要な精度、地上画素寸法(画像の1画素が地上で何メートルに当たるか)を決めます

  2. 標定点の設置 — 地上の位置と高さが分かっている点を用意します

  3. 対空標識の設置 — その点を空中写真上で判別できるようにします

  4. 撮影 — 隣り合う写真に重なりを確保しながら連続撮影します

  5. 同時調整 — 撮影区域全体をまとめて計算し、写真ごとの位置と向きを決めます

  6. 数値地形モデルの作成 — 地表面の高さを面として持たせます

  7. 正射変換 — 中心投影の写真を正射投影の画像へ変換します

  8. モザイク — 隣り合う画像をつなぎ、1枚の画像にします

  9. 写真地図データファイルの作成 — 図郭単位で切り出し、位置情報ファイルを添えます

  10. 品質評価 — 位置ずれや色調差を点検します

  11. 成果等の整理 — メタデータを含めて成果としてまとめます

標定点は、地上の座標が分かっている点です。国土地理院は、撮影前に地上の基準点へ標識を設置して空中写真上で確認する方法と、写真上で形がはっきり分かる場所の水平位置と高さをGNSS測量機などで現地計測する方法を挙げています。

工程の中心にあるのが正射変換です。準則第321条は正射変換を「数値写真を中心投影から正射投影に変換し、正射投影画像を作成する作業」と定義し、第322条は、写真を標定したうえで数値地形モデルを用いて正射投影画像を作ると定めています。オルソ画像の位置は、変換に使う標高モデルの出来にそのまま左右されます。標高モデルが地表面だけを表していれば、地表面より高いものは正しい位置へ直りません。この点が、次に説明する真正射との違いにつながります。

ドローンなど測量用ではないカメラで撮った写真から作る場合も、土台になるのは同じ考え方です。重なりのある写真から撮影位置と地形の形を求める処理は、本サイトの「SfM処理の仕組みとは?」で説明しています。写真から3Dデータを作る全体像は「フォトグラメトリとは?」にまとめています。

真正射(トゥルーオルソ)との違い

分かれ目は、変換に使う標高モデルです。ふつうのオルソ画像は地表面の高さで変換するため、建物や樹木は倒れたまま残ります。真正射は建物や樹木を含む表層の高さを使い、それらも真上から見た位置へ直します。

地表面で補正する通常オルソでは建物の倒れ込みと隠れが残り、表層面で補正する真正射では屋根位置を直して隣接写真で隠れを補う違い

国土地理院の調査報告書は、公共測量での前提を次のように記しています(固定資産税調査用空中写真撮影の実態に関する調査業務)。

公共測量においては、空中写真から写真地図を作成する際に使用する標高は、地表面のものである。したがって、地表面上に起立している建物や樹木などは倒れ込んで写されたままであり、倒れ込んだ先の地物は隠蔽されている

同報告書は、建物や樹木の上の高さを含む標高データを「表層標高」あるいは「DSM: Digital surface model」と呼んでいます。真正射は、このDSMを使って作られる写真地図です。

代償もあります。建物を正しい位置へ動かすと、それまで建物に隠れていた地面が空白になります。埋めるには隣の写真から画像を持ってくる必要があり、同報告書は、すべての隠れた部分が隣接する空中写真に写っていることは不可能に近いと述べています。

重なりを多く取って撮影するのは、この空白を減らすためです。同報告書は、進行方向の重なりを80%、隣接コースとの重なりを60%として撮影している市町があると報告し、隠れた部分を減らすと高さ方向の精度は下がる一方で、表層標高を自動で抽出できる確率が高くなると記しています。

見え方の面でも違いが出ます。同報告書は、真正射は位置精度が高まる一方で、影や側壁といった人が立体感を認識する情報を失うため、高層建物の屋上と更地などを区別しにくくなり、人による経年変化の抽出には向いていないと指摘しています。位置を優先するか、判読のしやすさを優先するかで選ぶものが変わります。

都市部で建物の倒れ込みを小さくするには

撮影高度を下げるだけでは解決しません。倒れ込みは、地表面より高いものが写真の中心から外れた位置に写るときに生じるため、高度を変えても写真の周辺部では残ります。実務で効くのは次の2点です。

  • 重なりを増やし、各写真の中心付近だけを使って画像をつなぐ

  • 建物の高さを含む標高モデルへ切り替え、隠れた部分を隣の写真から埋める

どちらも撮影枚数と処理量が増えます。倒れ込みの少ないオルソ画像を依頼するときは、対象の範囲と、屋根の位置まで正しくしたいのかを先に決めておくと、費用と工期の見積りが噛み合いやすくなります。

オルソ画像で測れること・測れないこと

読めるのは水平方向の位置と、そこから求まる距離や面積です。高さの情報は画像に入っていないため、標高、高低差、体積は別のデータが要ります。

公共測量の作業規程は、この使い分けをそのまま作業手順にしています。準則第429条は、UAV(無人航空機)で撮った写真から点群を作る測量について、点検のために必要に応じて写真地図を作成できると定めています。そのうえで、検証点の平面位置は写真地図の上で位置を確認して座標を求め、標高は近くの点群から内挿して求めるとしています。平面位置は画像から、高さは点群から、と役割が分かれています。

読める位置の精度にも標準があります。準則第310条第2項は、写真地図の精度を次のように定めています。

地図情報レベル

水平位置(標準偏差)

地上画素寸法

撮影縮尺

グリッド間隔

標高点(標準偏差)

500

0.5m以内

0.1m以内

1/3,000〜1/4,000

5m以内

0.5m以内

1000

1.0m以内

0.2m以内

1/6,000〜1/8,000

10m以内

0.5m以内

2500

2.5m以内

0.4m以内

1/10,000〜1/12,500

25m以内

1.0m以内

5000

5.0m以内

0.8m以内

1/20,000〜1/25,000

50m以内

2.5m以内

10000

10.0m以内

1.0m以内

1/30,000

50m以内

5.0m以内

地図情報レベルは、準則第105条で数値地形図データの地図表現精度を表す指標と定義され、レベル500が縮尺1/500に相当します。表のグリッド間隔と標高点は、正射変換に使う数値地形モデル側の標準です。

同じレベル表記でも、成果の種類によって求められる精度は違います。数値地形図データの水平位置の標準偏差は、レベル500で0.25m以内(準則第105条)と定められており、写真地図の0.5m以内より厳しい値です。「レベル500だから同じ精度」とは読めません。

測る前に押さえておきたい限界があります。

  • 高さを持ちません。 断面や体積が要る場合は、点群か数値標高モデルを別に用意します

  • 地表面より高い部分の位置は直っていません。 ふつうのオルソ画像で屋根や樹冠の輪郭をなぞると、建物や樹木の実際の位置とずれます

  • 面積は水平投影の面積です。 斜面の実面積は、傾きを持つデータからでないと求まりません

つなぎ目にも注意が要ります。準則第324条は、モザイクについて、線状の対象物では不整合が生じないように努め、その他の対象物では水平位置の精度を満たすものとすると定めています。第325条は接合部の点検項目として、著しい歪みや段差の有無、色調の著しい相違を挙げています。道路や水路のような細長いものが接合部でずれて見えることは、点検の対象になるほど起こりうる現象です。

オルソ画像の入手方法

方法は2つです。国土地理院が公開しているものを使うか、自分で撮って作るかです。

国土地理院の「電子国土基本図(オルソ画像)」は、撮影した空中写真を位置ずれのない画像へ変換し、正しい位置情報を付与することで、さまざまな地理空間情報と重ね合わせられる形にした画像情報です。地理院地図で閲覧でき、地理院タイルとしても配信されています。

データ

提供範囲

ズームレベル

全国最新写真(シームレス)

日本全国

14〜18

電子国土基本図(オルソ画像)(2007年〜)

日本全国

14〜18

簡易空中写真(2004年〜)

日本全国(整備箇所)

14〜18

利用するときは国土地理院コンテンツ利用規約に従い、「出典:国土地理院ウェブサイト(当該ページのURL)」のように出典を記載します。編集・加工した場合は、加工したことも併せて記載します。公共測量の成果を複製・使用する場合は、その成果を得た測量計画機関の承認が必要です。

公開されている画像で足りるかどうかは、撮影時期と地上画素寸法で決まります。設備の増設後や被災後のように直近の状態を見たい場合や、地図で判別できない細かさが要る場合は、自分で撮って作ることになります。そのとき必要になるのは、重なりを確保した連続写真、地上の座標が分かる標定点、そして正射変換に使う標高モデルの3つです。成果を公共測量として扱うなら、準則が定める工程と精度の標準に合わせます。

点群・3Dモデルとの関係

オルソ画像と点群は、同じ撮影から作られる別の成果物です。オルソ画像は高さを持たない平面の画像で、点群は1点ずつ3次元の座標を持つデータです。点群の中身は本サイトの「点群データとは」で説明しています。

同じ撮影範囲を表すオルソ画像はXYの水平位置を、点群はXYにZの高さを加えた立体形状を持つ関係

国土地理院の「UAVを用いた公共測量マニュアル(案)」(平成29年3月改正版)は、第71条の解説で、点群から作ったサーフェスモデルに空中写真の画像を貼ることで、写真地図(三次元オルソ画像)を作成できると述べています。同じ撮影データから、平面の画像と3次元の形状の両方が出てくる関係です。

点群と重ねてもずれるとき

確認する項目は次のとおりです。

  • 座標系 — 平面直角座標系の系番号と測地系が、点群側と画像側でそろっているか

  • 座標系の指定 — 準則第327条は、写真地図データファイルをTIFF形式で、位置情報ファイルをワールドファイル形式で格納すると定めています。ワールドファイルは画像を平面へ置くための値だけを持つため、どの座標系の平面かは読み込む側で指定します

  • 高さの基準 — 点群が標高で作られているか、楕円体高で作られているか。基準が違うと全体が上下にずれます

  • 画像を貼る面 — オルソ画像は高さを持たないため、3次元の画面では標高0の面や地形の面に貼ります。貼る面が実際の地面と違えば、見かけの位置もずれます

この4項目は、オルソ画像が平面の情報しか持たないことを前提に、足りない高さの情報をどこから与えるかを決めるための確認です。

bestatは、撮影したデータから3Dデータを生成する側でこの分野に関わっています。3D.Coreでは、エンジニアがスマートフォン・360度カメラ・ドローンのカメラなどで撮影するだけで、大掛かりな機材がなくても高精度な3Dデータを自動生成します(出典)。

取得した大容量の点群を、確認・計測しやすい軽い3Dモデルへ変換したい場合は、3D.Core for Point Cloudから相談できます。

よくある質問

オルソ画像を地図サービスに重ねられますか

重ねられます。多くの地図サービスは画像をタイルとして読み込むため、配信できる形式へ変換し、地図側が使う座標系へ合わせます。Web地図で広く使われる座標系はWebメルカトルなので、平面直角座標系で作ったオルソ画像は変換が必要です。国土地理院の画像を使う場合は、コンテンツ利用規約に従って出典を記載します。

オルソ画像と写真地図は同じものですか

指しているものは同じです。公共測量では「写真地図」が作業と成果の名称で、準則第308条がその作業を定義しています。オルソ画像、オルソフォト、正射画像は、同じ成果物を指す一般的な呼び方です。

撮り直さずに古い写真からオルソ画像を作れますか

条件がそろえば作れます。必要なのは、隣り合う写真に十分な重なりがあること、画像上で位置を確認できる点を現地や既存の図面で押さえられること、そして当時の地形に合う標高モデルを用意できることです。撮影時のカメラの情報が残っていない写真では、これらを画像から推定することになるため、得られる位置の確からしさを見積もりにくくなります。

まとめ

  1. オルソ画像は、空中写真の位置ずれを取り除き、地図と同じ真上からの位置と大きさで表した画像です。 地図や図面へ重ねられるのは、画素ごとに地上の位置が決まっているためです。

  2. ふつうのオルソ画像は地表面の標高で変換するため、建物や樹木は倒れたまま残ります。 屋根の位置まで正しくしたい場合は表層の標高を使う真正射になり、重なりの多い撮影と、隠れた部分を埋める処理が加わります。

  3. 読めるのは水平方向の位置と距離で、高さは持ちません。 標高や体積が要るなら点群や標高モデルを併せて用意し、重ねるときは座標系と高さの基準をそろえます。


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bestat 編集部について

bestat株式会社は、東京大学 松尾研究室発の産業用3Dデータに特化したAIスタートアップです。製造業・インフラ・土木の現場で、画像・動画・点群・360度動画などから3Dデータを生成・処理・活用する「3D.Core」シリーズを開発・提供しています。https://bestat-data.com/3dcore

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