2026.09.07

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LiDARとは|光で距離を測る仕組み・種類・用途を解説

LiDAR(ライダー)は、自動車の屋根に載ったセンサー、スマートフォンのカメラ周辺、測量用の3Dレーザースキャナなどで使われています。どれもレーザー光で距離を測りますが、1点の距離がどのように立体的なデータになるのかは、外観だけでは分かりません。

この記事では、LiDARの意味と身近な例から始め、距離を測る原理、点群ができるまで、似たセンサーとの違い、方式と載せ方、測りにくい対象を順に説明します。

執筆: bestat 編集部


LiDARとは

LiDARとは、レーザー光を対象へ送り、戻ってきた光から距離や形を測る技術です。Light Detection and Rangingの頭文字を取った名称で、「ライダー」と読みます。

NOAA(米国海洋大気庁)は、パルス状のレーザー光で距離を測るリモートセンシング手法と説明しています。離れた場所から対象を調べるリモートセンシングのうち、LiDARはセンサー自身が光を出す能動型です。

LiDARが直接測るのは、レーザーを反射した場所までの距離です。光を送る向きを変えながら測定を繰り返すと、周囲の形が多数の点の座標として記録されます。この点の集まりが点群です。

LiDARと点群は同じものではありません。LiDARは距離を測る技術・装置で、点群は測定から得られる代表的なデータです。

LiDARはどこで使われているか

LiDARは、身近な距離測定から広い土地の地形計測まで使われています。装置の大きさや測る範囲は違っても、光を送り、反射から距離を求める点は共通します。

  • スマートフォンやタブレット: 周囲の奥行きを捉え、AR表示や室内のスキャンを補助します

  • ロボット掃除機や搬送ロボット: 壁や家具までの距離を測り、自分の位置と移動できる範囲を求めます

  • ゴルフ距離計: 狙った場所までの距離を表示します

  • 自動車: 車、歩行者、縁石などまでの距離と、周囲の形を把握するセンサーの一つとして使われます

  • 測量用3Dレーザースキャナ: 建物、道路、地形、設備などを点群として記録します

  • 航空機やドローン: 上空から地表や樹木を測り、標高モデルや地形図の材料を集めます

産業技術総合研究所も、航空測量や地形図作成に加え、ゴルフ距離計、スマートフォン、AR、自動車などの例を紹介しています(産総研「LiDARとは?」)。

距離を測る仕組み

代表的なLiDARは、短いレーザーパルスを発射し、対象で反射した光を受け取るまでの往復時間を測ります。光は一定の速さで進むため、距離は「光の速さ×往復時間÷2」で求められます。2で割るのは、測った時間に行きと帰りの両方が含まれるからです(NASA Science)。

LiDARが発光し、対象からの反射光の往復時間を測り、走査を繰り返して点群を作る流れ

1回の測定で分かるのは、レーザーを向けた方向にある1点までの距離です。レーザーの向きが分かれば、その距離から点の位置を計算できます。上下左右へ向きを変えて同じ測定を繰り返すことで、対象の輪郭が点の並びとして現れます。

明るさを読むカメラと違い、LiDARは自分で光を出して戻りを測るため、周囲が暗くても距離を取得できます。ただし、暗所で使えることと、すべての材質や天候で同じように測れることは別です。

点群ができるまで

LiDARの測距値は、センサーの向きや位置と組み合わせて初めて3次元の点になります。装置が固定されているか、移動しているかによって、必要な位置情報も変わります。

据置型スキャナなら、装置を置いた位置を基準に、レーザーの水平角・上下角・距離から点の座標を求めます。別の場所へ据え直した場合は、複数回の点群を共通する目印などで位置合わせします。

航空機や車両のように移動しながら測る装置では、GNSS、IMU(加速度や回転を捉えるセンサー)、走査角、校正情報などを組み合わせます。NOAAは、航空LiDARの測距値と位置・姿勢データから、3次元座標を持つ点群ができると説明しています(NOAA)。

点には座標だけでなく、戻ってきた光の強さや、カメラで取得した色を付ける場合があります。国土地理院が提供する航空レーザ測量の点群も、緯度・経度・高さに加え、色情報、レーザーの反射強度、簡易分類を持ちます(国土地理院「点群データ」)。ただし、持つ属性は機器とデータ形式によって異なります。

点群は点の集まりであり、面や部品名を持つCADモデルではありません。点群から表面を作るメッシュ化、不要点の除去、座標の調整、部品のモデリングは別の処理です。

▶ 関連記事: 点群データとは|点が持つ情報の中身と、3Dモデル・CADとの違い

カメラ・レーダー・超音波との違い

LiDARは光で距離と形を測るセンサーです。カメラは色や模様を捉え、レーダーは電波、超音波センサーは音を使って距離や動きを捉えます。

センサー

主に使うもの

得意な情報

注意点

LiDAR

レーザー光

距離、輪郭、3次元位置

反射面、雨・霧、遮蔽の影響を受ける

カメラ

周囲から届く光

色、模様、文字、信号の見た目

暗所、逆光、模様の少ない面で情報が減る

レーダー

電波

距離、相対速度

形の細部はLiDARと異なる粒度になる

超音波

音波

近距離の障害物までの距離

測る範囲と方向の細かさが限られる

どれか一つが常に優れているわけではなく、必要な情報で選びます。たとえば物体の色や文字はカメラが必要です。自動車ではLiDAR、カメラ、レーダー、超音波などを組み合わせ、互いに不足する情報を補います。産総研は、LiDARが距離・形状・位置を3次元で測れる一方、カメラとミリ波レーダーにも異なる役割があると説明しています(産総研)。

LiDARの主な種類

LiDARの種類は、距離の測り方、レーザーを向ける方法、装置を載せる場所という複数の切り口で分かれます。「LiDARの種類」という一つの分類があるわけではありません。

距離の測り方

dToF(Direct Time of Flight)は、パルス光が往復する時間を直接測ります。iToF(Indirect Time of Flight)は、周期的に変化させた光を送り、反射光との位相差から距離を求めます。FMCW(Frequency Modulated Continuous Wave)は、周波数を変えた連続光と反射光の差から距離を求め、相対速度も測れます。

特許庁の技術動向調査は、LiDARの測定原理をdToF、iToF、FMCWに整理しています(特許庁「令和4年度 特許出願技術動向調査―LiDAR―」)。一般向けにはToFとFMCWの2つに大きく分ける説明もあります。ToFの中を直接時間を測るdToFと、位相差を測るiToFに分けるかどうかで数が変わります。

光を向ける方法

回転する機構やミラーでレーザーを振る走査型、一部の光学部品だけを動かす方式、広い範囲へ一度に光を当てるフラッシュ型などがあります。機構の違いは、視野、解像の仕方、装置の大きさ、耐久性、価格に関わりますが、名称だけで性能は決まりません。

装置を載せる場所

  • 地上型: 三脚に据え、周囲を高密度に測ります

  • 手持ち・背負い型: 歩きながら周囲を測り、SLAMで移動軌跡と点群を同時に求めます

  • 車載型: 道路や沿道を走行しながら測ります

  • 航空型: 航空機やドローンから地表を測ります

  • 衛星搭載型: 宇宙から地表、森林、氷床、大気などを観測します

載せ方が変わると、覆える範囲、死角、位置の求め方、必要な安全管理が変わります。センサー単体の性能だけでなく、対象へどう近づき、どこから光を当てるかを含めて計測方法を決めます。

LiDARが苦手なものと条件

LiDARは、レーザー光が対象へ届き、反射光が受光部へ戻ることで測れます。光が別の方向へ反射する、透過する、吸収される、途中で遮られる条件では、点が抜けたり誤った位置に出たりします。

つや消し面では反射光が戻りやすく、鏡面・透明・黒色の面では点が欠けやすい違い
  • 鏡面や金属光沢: 光が別の方向へ強く反射し、受光部へ戻らないことがあります

  • 透明なガラスや水: 光が透過・屈折・鏡面反射し、表面や奥のどこを測った点か分かりにくくなります

  • 黒いゴムや塗装: 光を吸収しやすく、戻り光が弱くなる場合があります

  • 物陰や裏面: 光が届かないため、別の位置から測らない限り点はできません

  • 遠い対象や浅い入射角: 点の間隔やレーザーの当たり方が変わり、細部を捉えにくくなります

  • 雨、霧、ほこり: 空中の粒子で光が散乱し、対象からの戻りと区別しにくくなります。異なる方式の車載LiDARを霧・雪の条件で比較した実験でも、試験した全センサーで性能低下が確認されています(Jokelaほか, 2019

国土地理院の地上レーザースキャナのマニュアルは、水で透過・屈折・鏡面反射が起こること、黒色系の地物では反射率が低いこと、等角度で走査すると遠い場所ほど点の間隔が広がることを挙げています(国土地理院)。

弱点は対象全体へ一律に出るとは限りません。同じ物でも、正面のつや消し面は測れ、斜めの光沢面だけ抜けることがあります。試し測りでは「点があるか」だけでなく、必要な面が必要な密度で取れているかを確認します。

LiDARを使う前に決めること

LiDARを選ぶ前に、成果物で何を判断したいかを決めます。距離を1点だけ知りたいのか、周囲の形を点群で残したいのか、地図へ載せたいのか、CADモデルを作りたいのかで必要な機器と後処理が変わります。

確認する項目は次の通りです。

  • 測りたい範囲と、必要な細部の大きさ

  • 欠けると困る面と、その材質や光沢

  • センサーを置ける位置と、物陰を減らす測定経路

  • 基準にする座標、寸法、目印

  • 点群を閲覧、計測、メッシュ化、CAD化する後工程

  • 結果を確かめる基準寸法や検証点

「高精度なLiDAR」という説明だけでは、目的に合うか判断できません。精度は、距離、入射角、対象の反射、装置の位置姿勢、校正、位置合わせ、後処理を含む計測全体で決まります。必要な面と検証方法を先に書くと、機器の仕様を目的へ結びつけられます。

よくある質問

LiDARは暗い場所でも使えますか

センサー自身がレーザー光を出すため、可視光が少ない暗所でも距離を測れます。ただし、透明・鏡面・黒色の面や、霧・ほこりなど、戻り光を弱める条件の影響は残ります。

LiDARは色も記録できますか

LiDARが基本的に得るのは距離と反射強度です。色付き点群は、併設したカメラの画像を点へ対応付けて作る場合があります。装置によっては色を持たない点群もあります。

LiDARで測れば、そのまま3Dモデルになりますか

測定直後の代表的な出力は点群です。表面を持つメッシュや、部品構造を持つCADモデルが必要なら、位置合わせ、不要点の除去、穴の補完、面の生成、モデリングなどの後処理が要ります。

まとめ

LiDARは、レーザー光の反射を利用して対象までの距離を測る技術です。光の向きを変えながら測定を繰り返し、センサーの位置・姿勢と組み合わせることで、周囲の形を点群として記録できます。

カメラ、レーダー、超音波とは、使う波と得意な情報が違います。LiDARは距離と3次元形状を捉えやすい一方、鏡面、透明、黒色、物陰、雨や霧などでは点が欠ける場合があります。

利用するときは、機種名や最大測距距離から入るのではなく、何を判断するために、どの面を、どの座標と検証方法で測るかを決めます。点群を最終成果物にするのか、メッシュやCADへ変えるのかも先に分けておくと、必要な計測と後処理が見えます。


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bestat 編集部について

bestat株式会社は、東京大学 松尾研究室発の産業用3Dデータに特化したAIスタートアップです。製造業・インフラ・土木の現場で、画像・動画・点群・360度動画など、現実空間で取得される多様なデータを高精度に3D化し、取得・生成・処理・活用までを一気通貫して支援する「3D.Core」シリーズを開発・提供しています。https://bestat-data.com/3dcore

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