#お役立ちコラム
CloudCompareの使い方|点群の読込み・編集・保存を解説

CloudCompareを開くと、点群を表示する画面のほかに、データの一覧や属性、数多くの処理メニューが並びます。初めて使う場合は、操作するデータを選ぶ場所と、処理後のデータが保存される場所を押さえると進めやすくなります。
この記事では、点群の読込みから切り出し、間引き、位置合わせ、距離計算、保存までを順に説明します。英語メニュー名を併記するため、日本語の説明と画面を照らし合わせて確認できます。
執筆: bestat 編集部
CloudCompareでできることとインストール
CloudCompareは、点群と三角形メッシュを表示・編集・比較するソフトです。点群は座標を持つ点の集まり、メッシュは点を結んだ面で物体の表面を表したデータを指します。もともとは点群どうし、または点群とメッシュの比較を目的に開発されました。公式の概要
点群を開いて形を確かめるほか、必要な部分の抽出、点の間引き、複数のスキャンの位置合わせ、距離の計算などに使えます。データ自体の仕組みから知りたい場合は、点群データとはも参照してください。
インストールは、公式ダウンロードページの「Latest stable release」から、使っているOSの配布先を選びます。2026年9月7日の確認時点では、安定版は2.13.2です。ページ上部の開発版とは区別して選びます。
本稿は安定版で利用できる基本機能を、公式Wikiに沿って説明します。OSやバージョンにより、メニューの表記や使えるプラグインには差があります。
点群の読込みと画面の基本操作
点群を開いたら、左側の「DB Tree」で対象を選び、「Properties」で属性を確認します。画面に見えていることと、操作対象に選ばれていることは別なので、処理の前にデータ名を確認してください。
ファイルを開いて対象を選ぶ
「File → Open」から点群ファイルを選びます。文字列で座標を記録したデータでは、読込み時にX・Y・Zや色などの列を割り当てる場合があります。列の並びは、取得元の説明と照合します。
画面の役割は次のように分かれています。公式の画面構成
場所 | 確認・操作する内容 |
|---|---|
DB Tree | 読み込んだ点群やメッシュの一覧。処理する対象を選択する |
Properties | 選択した対象の点数、表示、色、属性などを確認する |
3D View | 点群を回転・拡大し、形を確認する |
Console | 処理の結果やエラーメッセージを確認する |

出典:CloudCompare公式Wiki「Graphical User Interface」。図中の6がDB Tree、7がProperties、8・9が3D View、10がConsoleです。旧版のv2.5.6 betaの画面なので、利用中の版と配置が異なる場合があります。
通常の3D表示では、マウスの左ボタンを押して動かすと回転、右ボタンを押して動かすと移動、ホイールで拡大・縮小できます。これは視点の操作です。データそのものの位置を変える「Translate/Rotate」とは区別してください。公式の表示モード・座標を動かす操作

複数の点群を使う操作では、DB TreeでCtrlやShiftを押しながら対象を選びます。チェックを外して非表示にする操作では、データ自体は削除されません。公式のDB Tree解説
Global Shiftが表示されたとき
「Global Shift and Scale」は、大きな座標値を持つデータを、細かな桁を保って処理するための設定です。作業中だけ原点に近い座標へ移し、元の位置へ戻すための値を記録します。地図の投影法を変える座標変換とは役割が異なります。
大きな座標の点群を開いてこの画面が出たら、元データの座標系と単位を確認し、シフトの設定を記録してから読み込みます。同じ座標系と単位で記録された複数の点群には、同じシフト値を適用します。
保存時に元の座標を保てるかは、出力形式が必要な精度の数値を扱えるかにも依存します。書き出したファイルを開き直し、既知の点の座標が保たれているか確認すると取り違えを防げます。公式のGlobal Shift解説
必要な範囲を切り出し、点を間引く
範囲を取り出すときは「Segment」、点数を減らすときは「Subsample」を使います。どちらもデータ量を減らせますが、残す部分を選ぶ操作と、点の密度を下げる操作では結果が変わります。
編集前に元データを残し、必要なら「Edit → Clone」で作業用の複製を作ります。処理後は対象の名前と点数を見て、元データと区別してください。

Segmentで範囲を切り出す
DB Treeで点群を選び、「Edit → Segment」を開きます。
3D View上で左クリックし、残したい範囲を多角形で囲みます。右クリックで線を閉じます。
「Segment In」で内側を残すか、「Segment Out」で外側を残すかを選びます。
一時停止して視点を変え、奥側の不要な点まで残っていないか確認します。
必要に応じて囲み直し、確定します。

出典:CloudCompare公式Wiki「Interactive Segmentation Tool」。緑の輪郭で対象を囲み、「Segment In」で内側を残す操作例です。公式資料に掲載された旧版の画面です。
Segmentは画面に投影された点を囲むため、手前の対象と重なった奥の点も同じ範囲に入ります。一方向だけで確定せず、横や上からも確認するのが有効です。確定には、選んだ点と残りを分けて残す方法と、隠れた点を削除する方法があるため、ボタンの説明も確認してください。公式のSegment解説
Subsampleで点数を減らす
「Edit → Subsample」を開き、点数や点の間隔で減らし方を選びます。元の点群の一部を選び出して新しい点群を作る処理で、元の点の位置を動かすものではありません。公式のSubsample解説
方法 | 指定する内容 | 結果の見方 |
|---|---|---|
Random | 残す点数、または割合 | 点をランダムに選ぶ。細い部分にも点が残るか確認する |
Spatial | 残す点どうしの最小間隔 | 間隔を大きくすると点数が減る。輪郭や小さな段差が欠けないか確認する |
Octree | 空間を区切る細かさ | 区切った各領域から点を選ぶ。細かく区切るほど点が多く残る |
初めは細部が見える程度に抑えて間引き、元の点群と表示を切り替えて比べます。点数が減っても、確認したい形が消えていれば設定を戻します。間隔の数値はデータの座標単位に対応するため、メートルとミリメートルを取り違えないようにしてください。
浮いた点を取り除く場合
孤立した点を減らすには、「Tools → Clean → SOR filter」を使えます。周囲の点までの距離を調べ、統計的に離れた点を除く機能です。近傍として調べる点の数と、除去の判定幅を指定します。公式のSOR filter解説
細い部材や疎らな部分も、周囲から離れた点として除かれる可能性があります。まず小さな範囲で結果を比べ、必要な形まで消えていないか確かめます。
複数の点群を位置合わせする
同じ対象を別の位置から計測した点群は、対応する場所を選んでおおよそ重ね、必要に応じて「ICP」で細かく調整します。ICPは、近い点の対応を繰り返し求めながら位置を調整する方法です。

図は位置合わせの概念を示したもので、実測結果ではありません。
対応点を選んで整列する
DB Treeで2つの点群を選び、「Tools → Registration → Align (point pairs picking)」を開きます。
動かさない点群を「Reference」、動かす点群を「Aligned」に指定します。
両方の点群で同じ場所を、同じ順序で3組以上選びます。
「Align」で重なり方を確認し、取り違えた対応点があれば選び直してから確定します。
対応点には、両方のデータで区別できる角などを使います。離れた場所にも対応点を設けると、ある一部分だけが合っている状態を見つけやすくなります。公式のAlign解説
ICPで微調整する
大まかな位置が合った2つの点群を選び、「Tools → Registration → Fine registration (ICP)」を実行します。ここでも基準側と動かす側を確認し、「Final overlap」には、動かす点群のうち基準と重なる部分の割合を設定します。
公式資料では、ICPの前提として、おおよそ整列していることと、重なる部分の形が共通することを挙げています。向きや位置が大きく違う場合は、先に対応点で整列してください。公式のICP解説
寸法を保った位置合わせでは、理由なく「Adjust scale」を有効にしないようにします。この設定は大きさの違いも調整するためです。位置合わせの誤差を示すRMSが小さくても、計測そのものの精度を証明したことにはなりません。
点間距離と点群どうしの差を測る
2点間の距離を知りたい場合は「Point picking」、点群全体の差を色で見たい場合は「Cloud/Cloud Dist.」を使います。前者は選んだ点の間の距離、後者は基準点群に対する各点の距離を求めます。
Point pickingで2点間を測る
「Tools → Point Picking」を開き、2点を選ぶモードで対象上の点を順にクリックします。点間距離に加え、X・Y・Z方向の差などを確認できます。結果を後から残したい場合は、計測ラベルを保存します。公式のPoint picking解説
選べるのはデータに記録された点です。角や端部に点がない場合、選択した点と実物の端は一致しません。表示された数値は、点の密度や元の計測誤差も踏まえて読みます。
Cloud/Cloud Dist.で差を色分けする
2つの点群を選び、「Tools → Distances → Cloud/Cloud Dist.」を開きます。「Reference」が基準、「Compared」が距離を計算する側です。計算した値はCompared側の点群に追加されます。
画面を開いた直後の色と数値は概算なので、「Compute」で本計算を実行してから結果を確認します。結果は「Scalar Field」という、各点に対応する数値の属性として保存されます。公式のCloud-to-Cloud Distance解説

出典:CloudCompare公式Wiki「Cloud-to-Cloud Distance」。右の目盛りと点群の色が対応しています。この掲載例は、近傍の点から局所的な面を作る「Local modelling」を使った結果です。
Local modellingを使わない標準の計算は、基準点群の最も近い点までの距離を求めます。点の密度や欠けにも影響されるため、色の差だけで対象の変形と断定できません。変化を調べる場合は、座標や位置合わせの条件、両方に同じ範囲の点があるかも確認します。

図のように、同じ表面を計測していても点の配置が異なると距離が生じます。点群どうしの距離を、表面どうしの変位としてそのまま読まないことが大切です。
編集結果を保存・書き出しする
CloudCompareで作業を続けるならBIN形式、ほかのソフトへ渡すなら相手が読める交換形式を選びます。ファイルを保存するときも、DB Treeでどのデータを選んでいるかが重要です。
保存したい点群や計測ラベルをDB Treeで選びます。まとめて残す場合は必要な子要素を含むグループを選びます。
「File → Save」を開き、ファイル名と形式を指定します。
保存後に開き直し、点群・色・計測結果など、必要な情報が残っているか確認します。
BINはCloudCompare固有の形式で、点群やメッシュのほか、色、法線、複数のScalar Field、ラベルなどを保存できます。一方、LASやPLYなどの交換形式では、扱える対象や属性が異なります。公式の対応形式一覧
保存形式の候補は、選択した対象の種類と数によって変わります。希望する形式が出ないときは、点群だけを選んでいるか、複数の種類のデータをまとめて選んでいないかを確認してください。公式のSave解説
点群をメッシュに変える場合は、拡張子の変更とは別に面を作る処理が必要です。詳しい考え方は、点群のメッシュ化で説明しています。
うまく操作できないときの確認点
操作が止まったときは、選択対象、表示、データ量、保存形式の順に切り分けます。何を選んだ状態で処理したかを確認すると、設定を大きく変えずに原因を探せます。
症状 | 最初に確かめること |
|---|---|
メニューが選べない | DB Treeで対象を選んだか。点群限定の機能でメッシュを選んでいないか |
読み込んだのに点群が見えない | DB Treeの表示チェック、PropertiesのVisible、視点やズームを確認する |
処理後に元の点群が消えたように見える | DB Treeで元データが非表示になり、新しい点群が追加されていないか |
動作が重い、処理が終わらない | Consoleのメッセージとメモリ使用量を確認する。読み込める場合は範囲を分けて処理する |
保存に失敗する | 選択対象と対応形式を確認する。一部形式では日本語を含むパスも原因になる |
大容量の点群を開けない場合、CloudCompare内で間引く前にメモリ不足になることもあります。取得元でデータを分割するなど、読込み前の対処が必要です。PCの役割と確認方法は、点群処理に必要なパソコンスペックを参照してください。
まとめ
CloudCompareの基本は、DB Treeで対象を選び、必要な処理を行い、その結果を保存する流れです。まず1つの点群で読込み・表示・切り出し・保存を試し、複数データの位置合わせや距離計算へ進むと、操作と結果の対応を追いやすくなります。
切り出しと間引き、視点の変更と座標の移動、作業保存と交換形式への書き出しを区別すると、意図したデータを残しやすくなります。編集後は開き直し、必要な形・座標・属性が保たれているか確認してください。
bestat 編集部について
bestat株式会社は、東京大学 松尾研究室発の産業用3Dデータに特化したAIスタートアップです。製造業・インフラ・土木の現場で、画像・動画・点群・360度動画などから3Dデータを生成・処理・活用する「3D.Core」シリーズを開発・提供しています。

