2026.09.07

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3Dモデリングとは|手で作る・測って作る・図面から作るの違い

3Dモデリングは、立体の形をコンピュータ上のデータとして作る作業です。ただし、この言葉は3つの違う作業に使われます。頭の中にある形を画面上で作る作業、実物を測ってその形をデータにする作業、そして2Dの図面を読んで立体を組み立てる作業です。

検索して出てくる解説の多くは、1つ目だけを扱っています。手法の名前やソフトの操作は分かっても、必要な3Dデータがどの作り方で手に入るのかまでは分かりません。

この記事では、3Dモデリングという言葉が指す範囲、3Dモデルの中身、形の出どころによる3つの作り方、CADとCGの違い、用途ごとに必要な水準を整理します。

執筆: bestat 編集部


3Dモデリングとは

3Dモデリングとは、立体の形をコンピュータ上で数値として作る作業です。日本産業規格のJIS B 3401:1993「CAD用語」は、モデリングを「コンピュータ内にモデルを作ったり,既存のモデルを変更したりするための技法」と定義しています(日本規格協会)。

この定義は、形を手で作ることに限っていません。実物を測ってデータにする作業も、2Dの図面から立体を組み立てる作業も、同じ「モデルを作る技法」に含まれます。

2Dの図と何が違うのか

2Dの図面は、見る方向を先に決めて描いたものです。正面から見た図、上から見た図、横から見た図を並べ、読む人が頭の中で立体に組み立てます。3Dモデルは形そのものを数値で持つため、見る方向を後から変えられ、任意の位置で断面を取れます。

複数の部品を同じ座標系に並べれば、ぶつかっている箇所を計算で探せます。図面の場合、読む人が気づかなければ見つかりません。

ただし、3Dにしただけで寸法や公差、注記が付いてくるわけではありません。この点は最後の節で扱います。

3Dモデルは何でできているか

3Dモデルの形は、頂点、頂点をつないだ辺、辺で囲まれた面という要素と、それらを置く座標系でできています。

座標系は原点と3本の軸で、頂点はその中の位置をx、y、zの数値で表します。辺は2つの頂点を結ぶ線、面は辺で囲まれた領域です。この面を並べて表面を覆うと、画面上で立体として見えます。

面1枚をポリゴン、その集まりをメッシュと呼ぶのが日常的な使われ方です。同じ規格はポリゴンを「形状を表すための折れ線」と定義しており、規格の言葉と現場での使い方には少しずれがあります。

面の集まりで持つか、面の式で持つか

同じ立体でも、面を三角形の集まりとして持つか、面の形を式として持つかで、データの性質が変わります。

JIS B 3401:1993 は、形の持ち方ごとに用語を分けています。三次元形状を面分によって表現した形状モデルがサーフェスモデル、りょう(稜)線によって表現したものがワイヤーフレームモデルです。形状の占める空間があいまいでなく規定されるように表現したものは、ソリッドモデルと定義されています。国土交通省の「3次元モデル表記標準(案)」も、この3語をJIS B 3401 からの引用として並べています(土木建設業でモデルを作成・表示する際の標準です)。

三角形の集まりは、測って得た点をそのまま頂点に使えます。面の式は、滑らかな曲面を少ないデータで表せます。

同じ工業部品をワイヤーフレーム、サーフェス、ソリッドで表した比較図

同じ形でも、線だけで持つか、表面で持つか、閉じた体積として持つかでデータの性質が変わります。

表面の見え方は形とは別に載っている

画面で見える色や模様は、形とは別の情報です。テクスチャという画像を用意し、UVという対応表で面のどこに貼るかを決めます。JIS B 3401:1993 はレンダリングを「三次元形状の描画において,明るさ及び色を付与して,現実に近い質感を与えること」と定義しています。見た目が精密に見えても、形の精度が高いとは限りません。

何から作るかで3つに分かれる

3Dの形は、手で作る、実物を測って作る、2Dの図面から変換する、のいずれかで生まれます。どれを選べるかは、元になるものが手元にあるかで決まります。

3Dモデリングの3つの入口。手で作る、実物を測る、2D図面から変換する方法が、いずれも3Dモデルにつながる

3Dモデリングには、形の出どころが異なる3つの入口があります。

手で作る

頭の中の形や紙のスケッチをもとに、画面上で形を作ります。よく使われる呼び方は次の3つです。

  • ポリゴンで面を張る — 頂点を置いて面を作り、押し出しや分割で形を整えます。角のある形や、軽さが求められる形に向きます

  • 曲面の式で作る — 制御点を動かして滑らかな曲面を作ります。JIS B 3401:1993 は、簡単な数式で表現することが困難な曲面を自由曲面、その表現に使う関数の一つをNURBS(非一様有理Bスプライン)として定義しています

  • 粘土のように盛る・削る — スカルプトと呼ばれる方法で、生き物や凹凸の多い形に向きます

この3つの分け方は規格で決まったものではなく、ソフトや分野によって呼び方も範囲も揺れます。JIS B 3401:1993 に用語として載っているのは、ポリゴン、自由曲面、NURBS までです。

実物を測って作る

既にある実物を測り、その形をデータにします。レーザースキャナで測るか複数の写真から形を復元すると、まず点の集まりができ、そこから面を作って3Dモデルにします(点群データとは)。

測って作った形には、図面に描かれていない現況が含まれます。後から追加された部材も、経年で変形した箇所も、そのまま形として残ります。

取得手段は1つに絞らなくてもかまいません。bestatが稼働中の工場で行った実証では、工場全体をFARO製3Dスキャナーで計測し、一部の設備はスマートフォンで撮影して併用しました(出典)。この実証の範囲では、同じ対象の中で範囲ごとに手段を変えています。

限界もはっきりしています。測れるのは、測った時点で外から見えている面だけです。内部や、物陰になった面は取得できません。

2D図面から変換する

紙やCADの2D図面から立体を組み立てます。三面図に描かれた輪郭を読み、厚みや穴の位置を解釈して形にします。

人が手で行うこともできますが、AIで自動化する手段もあります。bestatの3D.Core for CAD は、2D図面から3Dデータを自動生成し、最短1営業日で納品します(プレスリリース)。3D.Core CAD Agent では、AIエージェントが図面を読み取り、3Dモデリングを自動化します(出典)。

自動化しても、人が確認する範囲は残ります。記号や注記の解釈、複数の図面で食い違う寸法、図面に描かれていない部分の扱いは、読み取り結果を見て判断することになります。どこまでを機械に任せ、どこから人が見るかは「CADのAI自動化はどこまでできるか」で整理しています。

出どころが違うと、後から直せる範囲が変わる

手で作った形には寸法を決めた人の意図が残り、測って作った形には測った時点の実物が残ります。後から直せる範囲は、この違いで決まります。

CADで寸法を指定して作った形や、図面から変換した形は、「この穴は直径20ミリ」という決めごとを持ちます。数値を変えれば形が追従し、どこを変えたかもたどれます。ただし、受け渡し用の形式へ書き出すと、この決めごとが失われることがあります。

測って作った形は、三角形の集まりです。頂点の座標はありますが、「この面は直径20ミリの円筒である」という意味づけを持ちません。穴を22ミリへ変える操作はできず、面を当て直す作業が必要になります。

出どころ

データに残るもの

やりやすい変更

手間がかかる変更

手で作る

作った人の決めごと、作成の履歴

寸法や比率の変更

実物との食い違いの反映

実物を測る

測った時点の座標

現況の確認、距離の計測

設計としての形状変更

2D図面から変換する

図面に描かれた寸法

図面どおりの修正

図面に無い現況の反映

受け取ったデータで何ができるかは、画面で見ただけでは判断できません。何から作られたものかを聞くと、直せる範囲の見当が付きます。

CADとCGは何が違うのか

目的が違います。CADは寸法どおりの形を作って製造や解析へ渡すためのもので、CGは見え方を作って映像や画面へ出すためのものです。

CADでは、形は数値の指定から生まれます。直径や距離、角度を与え、後から数値を変えれば形が追従します。CGでは、面の集まりとして形を直接作り、光や材質、カメラの設定と組み合わせて画面上の見え方を決めます。

同じ球を作る場合でも、CADは半径という数値があれば足ります。CGでは面をいくつに分けるかを決める必要があり、粗くすると輪郭に多角形が見え、細かくするとデータが重くなります。

同じ球体を例に、寸法で形を決めるCADと、面の細かさや材質、光で見え方を決めるCGを比較した図

CADは寸法を形に反映し、CGは面の分割や材質、光、カメラを組み合わせて見え方を作ります。

軸の取り方も違う

上をどの軸に取るかは、形式やソフトによって違います。Webや映像で使われるglTF 2.0の仕様は、右手系の座標系を使い、+Yを上と定義しています。距離の単位も、すべてメートルと定めています(Khronos Group)。一方、建築・土木で使うIFCでは、既定で+Y軸が地理上の北を指します(buildingSMART)。同じY軸でも、片方は上、もう片方は北です。

単位の決まりも分野で違います。機械製図では、長さの寸法数値は「通常はミリメートルの単位で記入し,単位記号は付けない」と定められています(JIS B 0001:2019 機械製図)。読み込んだモデルが1000倍や1000分の1で表示されるのは、この差が伝わっていないときに起きます。

データを渡すときに、上方向、単位、原点の位置を形式と一緒に伝えておくと、開いた側で直す手間が減ります。

用途で必要な水準が変わる

見せる、検討する、製造や解析へ渡す、の3つで必要な情報が変わります。同じ対象を扱っていても、用途が違えば作り方も変わります。

用途

満たす必要があること

求めなくてよいこと

見せる・共有する

形が分かること、表示が軽いこと

寸法の厳密さ、面のつながり

配置や干渉を検討する

位置と大きさが実物と合っていること

表面の色や質感

製造・解析へ渡す

寸法と公差の情報、面が閉じていること

見た目の質感

見せる・共有、配置・干渉、製造・解析の順に3Dモデルへ必要な情報が増えることを示した図

用途が高度になるほど、正確な位置、閉じた形、寸法や解析に使える情報が必要になります。

表の上の行から下の行へ進むほど、必要な情報が増えます。見せるために作ったモデルを製造の元に使おうとすると不足が出ます。逆に、製造用のモデルは情報としては足りますが、そのままでは重いため、見せる用途では軽くする作業が加わります。

できた3Dモデルが次の工程で通らないとき

形が見えていることと、寸法や公差の情報を持っていることは別です。次の工程で止まったときは、この差をまず確認します。

国土交通省の「3次元モデル表記標準(案)」は、3DAモデルを、形状モデルに構造特性(寸法・注記などのアノテーションと、数量などのアトリビュート)とモデル管理情報を加えたものと定義しています。定義はJIS B 0060シリーズからの引用で、土木建設業を対象とした標準です。立体の形を担うのは、このうち形状モデルの部分だけになります。

渡す前に確認する項目は次のとおりです。

  • 面が閉じているか。穴、裏返った面、重なった面が残っていると、解析や後工程の処理で止まります

  • 寸法・公差・注記をどこで渡すか。モデルに付けるのか、2次元の図面を添えるのかを先に決めます

  • 単位、上方向、原点の位置が受け手と合っているか

  • 相手のソフトが読める形式か。読めない場合は、上流で出し直してもらうほうが失われる情報が少なくなります

よくある質問

3DCADと3DCGは、どちらを覚えれば役に立ちますか

作ったものの行き先で決まります。製造や建設へ渡すならCAD、映像やゲーム、Web表示ならCGです。操作の見た目は似ていますが、CADは寸法を決める操作、CGは見え方を決める操作が中心になります。片方の経験が他方で効くのは、座標系、面の向き、データの軽さといった共通部分です。

AIに3Dモデリングを任せられますか

一部は任せられます。文章や写真から形を生成する手段と、図面を読み取って3Dにする手段が実用化されています。生成された形をそのまま使えるかは、寸法の根拠があるか、面が閉じているかといった用途ごとの水準で決まるため、確認の工程は人の側に残ります。

3Dモデリングという言葉は、業界によって指すものが違いますか

指す範囲が違います。CGの分野では、色や質感を付けて見え方を作るところまでを含めて呼ぶことがあります。土木建設の分野では、国土交通省の表記標準が形状モデルを3DAモデルの構成要素の一つと位置づけており、寸法や注記は形状とは別に扱われます。同じ言葉のまま話を進めると、期待している成果物がずれます。

まとめ

3Dモデリングを整理すると、次の3点になります。

  1. 入口は3つあります。 手で作る、実物を測って作る、2Dの図面から変換する、のどれで作るかは、元になるものが手元にあるかで決まります。

  2. 出どころで、後から直せる範囲が変わります。 手で作った形は寸法の決めごとを持ち、測った形は測った時点の座標を持ちます。受け取ったデータは、何から作られたかを確認します。

  3. 必要な水準は用途で決まります。 見せるだけなら形が分かって軽ければ足り、製造や解析へ渡すなら寸法と公差の情報、そして面が閉じていることが要ります。


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bestat 編集部について

bestat株式会社は、東京大学 松尾研究室発の産業用3Dデータに特化したAIスタートアップです。製造業・インフラ・土木の現場で、画像・動画・点群・360度動画などから3Dデータを生成・処理・活用する「3D.Core」シリーズを開発・提供しています。

https://bestat-data.com/3dcore

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