2026.09.07

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【種類別】3Dレーザースキャナの価格相場|公開価格の例と総額の見方

3Dレーザースキャナは、レーザーを当てて物や空間の形を測り、立体のデータにする機器です。価格は、10万円台で買える小物向けの手持ち機から、三脚に据えて使う数百万円の機器、海外でUS$10万前後の遠くまで測れる機器まで、大きな開きがあります。ただし、この差は性能の違いだけで生まれるものではありません。何を測る機器か、ソフトが付いているか、税込かどうか、どの国の価格か、本体だけかセットか、といった条件の違いも含まれています。

この記事では、2026年9月1日にメーカーと正規販売店のサイトで確認できた公開価格を使い、種類別に整理します。米ドルで表示された価格は円に換算せず、国内の円価格と分けて載せました。これらは税・輸入費・送料を含まない場合があるため、国内の税込価格とは直接比べられません。後半では、本体以外にかかる費用(ソフト、パソコン、付属品、研修、保守)と、購入せずに済ませる方法(レンタル、計測の外部委託)も紹介します。

執筆: bestat 編集部


3Dレーザースキャナの価格は種類でどう違うか

価格を比べる前に、機器の種類を分けておきます。手のひらサイズの部品を測る機器と、建物を丸ごと測る機器では、測る対象も得られるデータもまったく違うからです。主な種類は、小物を手に持ってなぞるように測る「手持ち型」、持って歩きながら建物の中などを測る「歩行型」、三脚に据えて周囲を測る「据え置き型」の3つです。

小物向け手持ち型、地上据え置き型、歩行型SLAMの計測方法の違い

種類

主な対象

使い方

公開価格の例

小物向け手持ち型

部品、造形物、人体など

対象のまわりで機器を動かして測る

国内公式で140,000円(税込、セール価格)

計測向け手持ち型

部品、金型、製品など

目印のシールなどを使い、細かい寸法まで測る

海外メーカー価格でUS$25,600

歩行型SLAM

建物の中、通路、設備のまわりなど

機器を持って歩きながら測る

日本語公式ショップの米ドル表示でUS$42,800、US$60,540

地上据え置き型(TLS)

建物、工場設備、地形、大型構造物など

三脚に据え、場所を変えながら何回か測る

国内セットで6,984,890円(税込)

長距離据え置き型

建物、大型設備、橋梁など

離れた場所から広い範囲を測る

海外メーカー価格でUS$97,800

この表の数字は、市場全体の最安値や最高値ではありません。相場の目安として、公開ページで販売条件まで確認できた製品を例に挙げています。価格を見るときは、同じ行の対象と使い方もあわせて確認してください。

小物向け手持ち型の価格

小物向けでは、国内の公式ストアで10万円台の機器が販売されています。一方、製品の品質検査や、実物から設計データを作り直す「リバースエンジニアリング」に使う機器は、海外メーカー価格でUS$2万を超える例があります。

CCrealityの日本公式ストアでは、レーザーを使うCR-Scan Raptorが140,000円(税込)で表示されています。通常価格は175,000円で、140,000円は2026年9月1日時点のセール価格です(Creality Japan)。

Artec 3Dの計測向け手持ちスキャナPoint IIは、メーカー希望小売価格がUS$25,600(税・輸入費別)です。測ったデータを処理するソフトは、別に購入する必要があります(Artec 3D価格一覧)。

2つの機器は同じ「手持ち型」でも、どちらを選んでもよいという関係ではありません。価格を比べる前に、測る物の大きさ、どこまで細かい寸法が必要か、最終的にどんな形式のデータがほしいかを整理しましょう。黒い物や光沢のある物を測りにくい機種や、測る物に目印のシールを貼る必要がある機種もあるため、あわせて確認します。

歩行型SLAMの価格

歩行型は、機器を手に持って歩きながら、建物の中や設備のまわりを測る機器です。SLAM(スラム)と呼ばれる技術を使い、機器が今どこにあるかを推定しながら周囲の形を記録します。公開例では、BLK2GO PULSEがUS$42,800、BLK2GOがUS$60,540です。

Leica Geosystemsの日本語公式ショップでは、この2機種が米ドルで表示されています。BLK2GOには確認時点で期間限定のUS$37,550も表示されていましたが、常にこの価格というわけではありません。ページ上では日本の消費税を含むかどうかを確認できないため、国内で購入する場合は、税、送料、保証、サポートの内容を販売窓口に確認してください(Leica Geosystems公式ショップ)。

歩行型は短時間で広い範囲を測りやすい反面、機器の位置を推定しながら測るため、歩く距離が長いほど誤差がたまることがあります。建物の図面と正確に重ねたい場合などは、別の方法での測量や、ほかの機器との組み合わせが必要になる場合もあります。本体の価格だけでなく、測ったデータを図面などの位置に合わせる作業や、精度を確かめる作業の費用も見積に含めましょう。

地上据え置き型の価格

据え置き型は、三脚に据えて周囲を測る機器です。建物や大きな設備を、場所を変えながら何回かに分けて測ります。ここでは、国内で販売されているセットと、米ドルで表示されている小型機・長距離機の例を紹介します。

国内の正規代理店が掲載しているFARO Focus Premium 70は、6,984,890円(税込)です。本体、カメラ、三脚などの一式を含みます。ただし、送料とデータを編集するソフトは含まれていません。初めてFocusを購入する場合は、メーカーの導入トレーニングも別料金です(KYOTO's 3D STUDIO)。

小型のLeica BLK360は、公式ショップでUS$26,500です。本体、バッテリー、充電器、ケース、一定期間のクラウド利用権などがセットになっています。三脚は別売りです(Leica BLK360)。

遠くまで測れるArtec Ray IIは、メーカー希望小売価格がUS$97,800(税・輸入費別)です。三脚、背負って運ぶためのバックパック、処理ソフトArtec Studioの5年分の利用権が付いたセット(Premium Pack)は、US$109,600です(Artec Ray II、Premium Pack)。本体とセットの価格差だけで判断せず、ソフトを何年使えるかまでそろえて比べましょう。

本体以外にかかる費用

導入にかかる費用は、本体、ソフト、付属品、研修、保守、データ処理の合計です。本体価格が同じでも、買ってすぐ測り始められるセットと、ソフトや三脚を別に買う必要がある本体のみの商品では、総額が変わります。

3Dレーザースキャナの導入費を構成する本体、ソフト、付属品、研修、保守、処理

ソフトウェア

3Dレーザースキャナで測ったデータは、「点群」と呼ばれる無数の点の集まりです。ソフトは、測定から活用まで、次のような場面で使います。
・機器の操作と測定
・何回かに分けて測ったデータをつなぎ合わせる
・人や車など、写り込んだ不要な部分を消す
・ほかのソフトで開ける形式に書き出す
・設計用のデータ(CAD)、建物の3Dモデル(BIM)、検査用のデータに変換する
これらが1つのソフトですべてできるとは限りません。

ArtecのスキャナはArtec Studio(別売り)でデータを処理します。また、点群から編集できる設計データを作るGeomagic Design Xは、US$20,990で公開されています。これはArtec Studioとは目的が違う、後の工程で使うソフトです(Artec 3D価格一覧)。

付属品とPC

三脚、予備バッテリー、充電器、位置合わせ用の目印(ターゲット)、運搬ケースなどが必要です。Leicaの公式ショップでは、BLK360用のバッテリーがUS$270、充電器(マルチチャージャー)がUS$350、三脚がUS$480と表示されています。必要な数を確認し、本体の見積に加えておきましょう。

パソコンは、使うソフトが求める性能によって必要な金額が大きく変わるため、一律の相場はありません。今あるパソコンで足りるかどうかは、普段扱う規模のデータを実際に処理して確かめます。点群データは容量が大きいため、保存用の記憶装置とバックアップの費用も、パソコンとは別に考えましょう。

研修、保守、校正

操作研修では、基本操作に加えて、測る位置の決め方、測り漏れの確認方法、データのつなぎ合わせ、書き出しまで教えてもらえるかを確認します。FARO Focus Premium 70の公開例では、初回のメーカー導入トレーニングが約560,000円(税込)です。

保守については、保証期間、故障したときの代わりの機器、定期点検、校正(測定の精度を点検・調整すること)、修理時の送料、ソフトの更新を分けて確認します。「1年保証」と「保守契約」は同じではありません。修理中にレンタル機が必要になるなら、その費用も運用費に含めます。

データ処理と成果物の作成

測ったあとには、データのつなぎ合わせ、不要な部分の削除、図面などの位置に合わせる作業、データ量を減らす間引き、3Dモデルへの変換、図面化などが残ります。これらを社内でどこまで行うかで、人手とソフトの費用が変わります。

見積を依頼するときは、最終的にほしいデータの形も伝えましょう。点群データがあればよいのか、それともブラウザで見られる形式、設計用データ(CAD・BIM)、平面図まで必要なのかによって、後の作業にかかる費用は大きく変わります。

レンタルと計測委託の価格

使う回数が少ない場合は、購入だけでなく、レンタルと計測委託も比べてみましょう。レンタルは機器を借りて自分たちで測る方法、計測委託は専門の会社に現地での計測とデータ処理を頼む方法です。検討するときは、受け取るデータの形をそろえます。

方法

公開価格の例

確認したい点

機器レンタル

1日100,000円〜

ヤマイチテクノ。FARO、Artecなど。税込かどうかはページ上で確認できない

機器レンタル

据え置き型Focus Premium 150が5日間で352,000円(税込)、歩行型Orbis Premiumが5日間で258,500円(税込)

クモノスEC。送料無料。三脚や処理用パソコンなどのセット内容と補償は商品ページで確認する

計測委託(建築・土木の現場)

1日およそ200,000円〜

クモノスFAQ。現場の広さや状況で変わる。税込かどうかは確認できない

出典は、ヤマイチテクノ、クモノスEC、クモノスFAQです(クモノスECのレンタル期間と送料は、2026年10月7日に確認)。

レンタルでは、運送、保険、壊してしまったときの費用負担、ソフト、パソコン、操作説明が料金に含まれるかを確認します。計測委託では、交通費や現地での作業費に加えて、データ処理がどこまで含まれるか、どんな形式でデータを受け取れるか、測り直しの条件はどうなっているかを確認しましょう。1日あたりの金額が安く見えても、データ処理が含まれていなければ、同じ条件の見積とはいえません。

総額をどう比較するか

まず、何年分の費用で比べるかを決めます。そのうえで、次の費用を1つの表に並べます。公開価格がない項目は0円にせず、「見積が必要」と書いて残しておきます。

  • 初期費用: 本体、1年目のソフト、三脚、バッテリー、ケース、パソコン、研修

  • 年間費用: ソフトの更新、クラウド、保守、校正、データの保存、保険

  • 案件ごとにかかる費用: 現地までの移動、計測する人の作業時間、データ処理、成果物の作成

  • 停止時の費用: 修理中の代わりの機器、測り直し、データの復旧

  • 使い終わる時の費用: データの移行、ソフトの契約終了後にデータを見るための費用、機器の処分

購入とレンタルを比べるときは、「1年に何日使えば元が取れるか」だけで決めないことが大切です。購入後にデータ処理を担当する人を確保できるか、必要な精度が出ているかを確かめられるか、ソフトの更新を続けられるかまで含めて判断しましょう。

見積前に決めること

見積を頼むときは、機種名より先に、何を測って何がほしいのかを伝えます。次の点を決めておくと、販売会社、レンタル会社、計測会社の見積を同じ基準で比べられます。

  • 測る物の大きさ、材質、屋内か屋外か、測る範囲

  • 必要な寸法の精度と、その確かめ方

  • 測る頻度、1回あたりの期間、同時に使う台数

  • データのつなぎ合わせ、不要な部分の削除、図面などの位置に合わせる作業を誰が行うか

  • 最終的にほしいデータの形式と、それを開くソフト

  • 税、送料、輸入費、設置、研修、保守が含まれているか

  • 本体だけかセットか、付属ソフトの利用期間と更新費

販売店には、「本体だけの見積」と「1年目に必要な一式の見積」を分けて依頼しましょう。2年目以降の更新・保守費も別に書いてもらうと、セール価格や1年目だけの特典に左右されずに比べられます。

まとめ

3Dレーザースキャナの価格は、同じ種類の中でも、用途とセット内容によって変わります。2026年9月1日に確認できた公開例では、国内の小物向け手持ち機の140,000円(税込、セール価格)から、地上据え置き型セットの6,984,890円(税込)まで開きがありました。米ドル表示の製品は税と輸入費の扱いが違うため、そのまま国内価格とは比べられません。種類ごとの例は「種類別の価格の違い」の表をご覧ください。

導入を検討するときは、本体のほか、ソフト、付属品、パソコン、研修、保守、校正、データ処理、成果物の作成までを、同じ期間でまとめて計算しましょう。使う回数が少ない場合は、レンタルと計測委託も、受け取りたいデータの形をそろえて比べるのがおすすめです。


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bestat 編集部について

bestat株式会社は、東京大学 松尾研究室発の産業用3Dデータに特化したAIスタートアップです。製造業・インフラ・土木の現場で、画像・動画・点群・360度動画など、現実空間で取得される多様なデータを高精度に3D化し、取得・生成・処理・活用までを一気通貫して支援する「3D.Core」シリーズを開発・提供しています。https://bestat-data.com/3dcore

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